惜別！留萌本線(2)
今でこそボロボロになってる留萌本線も20年前はSLを走らせていたことがあったんです。1999年4月から放送されたNHK朝ドラ「すずらん」の撮影舞台として留萌本線でロケが行われ、それにあやかったSL運行を開始。そしたらこれが大ヒット。↓
このドラマは沼田町をロケ地として、架空の駅「明日萌（あしもい）驛」が起点となったヒロインの壮大な人間ドラマ（かな？）。明日萌駅舎は恵比島駅にオープンセットを組んで新たに作られ、ロケは当駅で２回行われました。１回目は1998年12月。営業路線での撮影だったため、運行の合間を使ったきついスケジュールの撮影だったようです。SLも当時JR北に使えるものがなく、真岡鉄道から借りてきた大がかりなロケでした。恵比島駅ってもともと貨車駅舎の駅。そこにプレハブで映画のオープンセットかぶせて撮影したんですが、このセットはロケ終了後、沼田町によって観光用に復元されそのまま残されることになりました。↓
SL運行時はこんな感じでちょっとした映画村状態。駅前の建物も時代背景だった大正末期の建物に再構築され、ドラマのセットが使われているということも相まって人気となります。SL到着時は上下列車ともしばらく停止時間（確か20分）を設け、乗客は少しの時間ですが駅周辺を散策することができました。列車添乗員さんとこうした記念撮影もやってくれていたんです。今の恵比島駅の状況からは想像がつかないと思います。↓
運行に使われたSL 「C11 171」は標茶で静態保存されていたのを、C62 3の後継機みたてでJR北が譲り受け、SLすずらん号用に復活させるべく、1998年11月後半での引き取り、翌年４月火入れとかなりスピーディーにレストアされました。本当は１回目のロケのときに使いたかったんでしょうけどそっちは間に合わなかったってことなんでしょうか。ただ２回目のロケは廃駅となったシーンでSLは必要なかったんじゃないっけ？ちょっと忘れてしまいました。↓
で、運行開始が5/1と決まってたんで、習熟運転の時間があまりなかったんでしょうか、４月後半は連日試運転してた記憶があります。訪問時ももともと札沼線べったり狙いだったんですがＳＬ走るよって情報から急遽撮影に行ったんですよね。↓
試運転時は大正塗装が間に合わなかったのか、客車はブルーの元C62ニセコ号で使われたカフェカーのスハシ４４＋１４系客車の構成。↓
当初の運行は深川～留萌。留萌に転車台はないので、留萌からの戻りは頭反対状態で運行。↓
もちろん頭反対でも煙モクモクで迫力あります。↓
ブルー客車短編成だとかつてのローカル線を走ってたSLみたいに見えちゃいます。ただ5/1運行開始時にはすでに大正時代の塗装に変更されていたようで青編成はラッキーだったみたいです。↓
2000年にはドラマの映画化のため再びロケ地に。SLの重連運転も行われるなど観光化に成功します。客車も4両体制に。さらに車掌車ヨがフリースペースとして連結。さらにさらに2001年からは増毛まで延長運転に。増毛では機回しができないので補機としてお尻にDLが連結されるようになります。↓
今思えばこの2001年が留萌本線最後の盛り上がりだったんだと思います。↓
増毛までの延長運転は、日中列車の設定がない留萌増毛間の遊休活用で増毛エリアの観光増進を目的にスタート。ただ増毛ってあんまり観光のイメージがなかったし、ドラマとも関係がなかったんで大した増客にはならなかった模様。↓
ただ鉄道被写体としては最高だった・・・↓
海辺を走るイメージがありますが、意外と海岸沿いを走るところは多くないのと、車窓からだとあまりパッとした景色でもなかったりする。（撮影では海を入れていろいろ撮れたけど）↓
増毛到着後は機回しできないのですぐに折り返し。DL先頭で留萌駅まで戻ります。留萌到着後は補機とSLを前後交換し再びSLを先頭にする機回しをしてました。↓
やがてブームは去るもの、SLも年々運行日数が減り、2006年9月をもってSL運行は撤退となりました。ただ活躍したSL＋客車は冬の湿原号などで使われまだまだ活躍中。一方で留萌本線はその後前述の通り少子化と道路整備が進み存続が難しくなりました。2016年12月には留萌～増毛が廃止。今年度末に石狩沼田～留萌が廃止予定確定、残る深川～石狩沼田も時期をずらしての廃止がほぼ決まりました2025年度末の廃止が決まりました。なんとか廃止を逃れるべく恵比島のセットを活用って話も出てたようですが、ドラマってもう20年前の話となり、存在すら知らない人が多い。ロケセットが残ってるとはいえ、大正村にするほどの大きさとインパクトはない・・と。ただ建物を撤去するのもまだもったいない感じがするんで、もし廃線となるなら廃車となるキハ４０なんかを持ってきて保存施設として転用されるといいですね・・・つづく↓
