近々見納めか?283くろしお

スーパーくろしお号の後継車として1996年に登場した「オーシャンアロー号」こと283系特急電車もそろそろ登場から30年。非貫通先頭車両はイルカを模した抜群のスタイルで速達性とマリンカラーが南紀のリゾート感を醸し出していたんですが最近は引退の話がチラホラと聞こえてきてます。 ↓

(写真:東淀川~新大阪、2019.11)

283系って6両編成が2本、増結用の3両編成が2本の4編成だけの小グループ。運用も限定運用で入るも1日2運用でかなりキチキチで回してた感じ。コロナ後は季節運転とかが入ってきて走行距離が減るも2運用をキープ。 ↓

(写真:紀三井寺~黒江、2018.4)

朝イチ新大阪に入る列車はリゾートというよりすっかり通勤客用となってます。通常期の6両編成は天王寺方に貫通車が先頭となります。 ↓

(写真:鶴が丘、2015.9)

ドルフィンノーズと比べるとかなりマイルドな顔つき・・・最近は貫通扉とはいえホロ着けて行き来できるようにしないんで運用上での先頭部扉有無はあんまり関係なしかな。 ↓

(写真:紀伊浦神~紀伊田原、2020.9)

増結用3両編成は2本、天王寺方ドルフィンノーズと先頭車どちらも貫通扉仕様ってのがそれぞれいて、多客期増結時にどっちの頭が来るかは運次第。たまに検査タイミングで増結×2って編成もあるけどね。 ↓

(写真:黒江~紀三井寺、2017.12)

ただサイドから見たらあんまり気にならないのかな。 ↓

(写真:見老津~江住、2011.3)

ま、編成美が美しいってことなんかなあ・・・283は振り子でやくもの後継車候補にもなってたんですが方針転換で増備は中止、紀勢線くろしお限定運用になっちゃったちょっとかわいそうな奴。今も「オーシャンアロー」なんて名前を持ってますが、最近は振り子も停止してただの特急車両になってしまいました。 ↓

(写真:紀伊田原~古座、2020.9)

さらには関西から南紀方面への道路整備が進んで鉄道利用者が年々減少。特に白浜以遠への観光需要もガタっと減って今や紀勢線の白浜以南は大赤字路線になっています。白浜方面へは高速道路が整備され近々串本迄つながるし、新宮へは内陸経由が早いということで、線形悪くスピード遅い鉄道はますます不利になる状況、そろそろ特急列車の運行もやばくなりそうな雰囲気。ちょっとした宗谷本線状態なんです。 ↓

(写真:見老津~江住、2011.3)

最近不安を煽りすぎ感がある南海トラフ地震も、ここ紀勢線は津波に飲み込まれる甚大な被害となる地域でもあり、沿線住民はしばらく心穏やかでない状態が続きそうです。 ↓

(写真:岩代~南部、2024.1)

ちなみにこのくろしお用283系、登場時は特急名を列車名と同じ「オーシャンアロー号」として運転されてました。老朽化した381系を置き換えるための前哨戦だったんですが、当時の置き換え対象はこのスーパーくろしお。パノラマ化でやくもと同じく国鉄色から特別塗装に変更してもらってました。スパやくと同じようなコンセプトでアコモ改造してもらってました。 ↓

(写真:南部~岩代、1995.7)

紀勢線って昔から少し時代遅れの列車が走ってましたね、南海から乗り入れるきのくに号、寝台普通列車はやたま、165系急行車両なんかも多数入ってたかな。 113や105系も最近までがんばってましたからね。写真のマリンくろしおは夏場だけ走る全車指定席のくろしお。当時阪和道が御坊あたりまでしか開通してなくて車だと夏場クソ渋滞するから鉄道利用もそこそこいたんです。↓

(写真:南部~岩代、1995.7)

オーシャンアローが入ってからイメージ刷新でオーシャンアローチックな「くろしお色」を標準カラーに。ただ内装はゆったりやくもみたいに改装されずじまいで・・・↓

(写真:鶴が丘、2015.9)

スパくろはカラーリング変更後もしばらく走ってましたが・・・↓

(写真:南部~岩代、2011.3)

2012年春に381くろしお後継車として287系が登場し列車称号はすべて「くろしお」に統一。287って新車だったけど振り子じゃなかったんですが、この時点で鉄道と高速道路とのスピード競争は鉄道の負け確定となってたんで頑張る意味がなかったようです。↓

(写真:紀三井寺~黒江、2017.12)

また、287の投入時ではすべての381が置き換えられるのではなく非パノラマ編成が優先的に置き換えられスパくろ崩れのパノラマくろしおが残りました。これは将来北陸新幹線金沢開業で余剰となる681/683の扱いを見越した判断だったんでしょう。↓

(写真:野田~西九条、2015.10)

で、2015年春に新幹線金沢開業で余剰となった683系2000番台を直流化改造し289系として投入、同年秋にすべての381が運用離脱となりました。福知山線&山陰線381などの直流特急も同じような置き換えで撤退となりました。特にこの頃のくろしお381車両はかなり陳腐化してたんでこの一連の更新で多少増客につながったことでしょう。↓

(写真:弁天町~大正、2015.8)

289が入ってきたときは681/683独特の流線形先頭車になんだか違和感がありましたが・・・↓

(写真:和佐~稲原、2019.12)

まあイルカ顔の仲間っちゃあ、仲間かなあ、次第と慣れていったというか・・・帯色がいいのかな。↓

(写真:稲原~印南、2019.12)

289先頭車の貫通タイプのほうは見た目が287と似てるんで、289導入完了でなんとなく特急くろしお号としての統一感が出ました。まあ289って転属組とはいえ製造が2002-3年あたりだから古すぎるってことでもなく、特に内装がガラッと雰囲気変わったんで刷新感出ました。で、もし283系置き換えるとなると、289追加増備っぽくして北陸新幹線敦賀開業で余剰となる683系0番台と予想されてますが、283って必要なのは2運用分だけなんで、新宮発着1運用廃止と季節列車廃止&通勤仕様の1運用をはるか車両に置き換えれば増備なしでも対応できるかなあと。だとしたら急いで運用離脱する理由もなくなると。。。どこかのタイミングで減便となって283引退ってほうが可能性のほうが大きいですね。↓

(写真:周参見~紀伊日置、2020.9)

和歌山以南って高速道路の2車線化が進んでますます車が便利になって、紀勢線の旅客減が止まらないんです。最近、287のパンダ編成を増やしてるのもアドベンチャーワールドへ行く鉄道利用者掘り起こしのため。ブームの熊野古道って田辺から入っていくから白浜までの列車がカバーしてるけど貢献はわずかみたいで、ほんと、くろしおって実はちょっとヤバいんです。特に白浜以遠、減便や3両化とかすぐにでもありそう。今の日常レベルだと非電化にして2両の特急南紀を延長で走らせるようなレベル、山陰線の出雲以西のような雰囲気なんです。そうはいっても地元民としては特急廃止だけは勘弁してほしいんだけどなあ。↓

(写真:紀伊日置~周参見、2021.4)

381時代はこんなシートまで作って力入れてたけど。。。ちなみにこの席、運用でホームライナー的にサラリーマンが帰宅時に使うとかなりシュールな絵面に・・・ここ指定席だったから駅員もあえて販売してなかっただろうけど、仮に席が割り当てられたら相当恥ずかしい・・・座る勇気がかなり必要だわ。↓

(写真:新大阪、2011.3)

もし減便考察中で北陸特急からの転用がないならあと2-3年くらい頑張ってオーシャンアロー残してもいいんじゃない?しばらく臨時枠ででも残るといいんだけどねぇ、紀勢線限定でなくてもやくもの臨時枠用に残したっていいんだしね(塗装色は似合わんから新緑やくもかい?).....紀勢線ってここ数年銀河を運転したり観光の掘り起こし頑張ってるけどちょっとインパクトあんまりっていうか・・・なんとか南紀エリアの観光需要が生き返ってほしいな・・・↓

(写真:紀伊日置~周参見、2021.4)