まだまだ現役、旧 西鉄連接車①-熊本市交通局

元西鉄福岡市内線/北九州線の連接車だった筑豊電鉄2000形、昨秋引退時は懐かしの塗装で有終の美を飾りましたが、西鉄連接車は筑鉄以外に広島電鉄と熊本市交通局へも譲渡されています。 ↓

(写真:筑豊香月~楠橋、2019.4)

まず熊本市交通局のほう。福岡市内線が縮小・廃止となり余剰となった連接車を1976年から79年にかけて4編成譲受。1957年製と当時は製造から20年ちょっとという掘り出し物でした。西鉄時代は1000形を名乗りましたが熊本では5000形を名乗り、下二けたの車番と連接組み合わせのABは西鉄時代のままとなりました。 ↓

(写真:国府~新水前寺駅前、2017.7)

1997年に低床車の9700形が導入、5000形の置き換えを始めます。製造から40年を越え、近いうちに部品類が手に入りづらくなることを見越して、また、世界的に流行だった低床車導入かつ日本初導入ってのもあったんですが・・・ ↓

(写真:県立体育館前、2017.7)

欧州設計・部品だからなのか?9700形は故障が相次ぎ5編成導入もすぐに3編成が休車の状態となってしまいます。まあ、欧州でも欧州製車両は故障が多いんで欧州ではそういうものなんでしょうけど、日本だとそれはないってことで・・・ ↓

(写真:西辛島町~辛島町、2022.9)

で、順次引退予定だった5000形は辛くも生き延ることに。でもこちらも予見した通り老朽化の故障が多発。0800形が導入されるまで綱渡り運用となってしまいました。 ↓

(写真:本妙寺入口~県立体育館前、2019.4)

2009年に新しい低床車の0800形が導入、車両繰りが落ち着いたからでしょう、5000形3編成が立て続けに引退。1編成(5014AB)は予備として残すもこいつが故障してしまいます。しかし9700形の状態はその後も悪く、しびれを切らして2017年大規模更新を実施、復活させるんです。 ↓

(写真:田崎橋、2019.4)

とにかく朝夕の中心部行き混雑は半端ないんで、連接車は有難い存在。特に健軍から市内への列車は新水前寺駅前で豊肥本線からの乗り換え客が重なると殺人的混雑になるんです。単車だと積み残しが出ちゃうんでなんとしても連接車は動かしたいんです。 ↓

(写真:新水前寺駅前、2017.7)

熊本市内はほぼ交通政策の失策としかいいようがない渋滞が多発しているので、特に朝夕に定時制を考えると路面電車一択になる。幹線道路が右左折多くて渋滞しやすいうえにバスが市内にみんな乗り入れるから鶴屋百貨店の前なんかほとんどバスだらけ。 ↓

(写真:国府、2019.4)

この都市サイズでこの渋滞ってどうなんてんの?ってくらいひどい。路面電車の延伸や上下分離なんかでいろんな改善は進めてはいるものの、もうちょっとバス含めて俯瞰的に指導力もって対応してよって感じ。 ↓

(写真:味噌天神前~新水前寺駅前、2019.4)

ってなことで運よく生き延びた熊本の連接車。パンタは交換され冷房化されるも、塗装は西鉄時代のままでほぼ原型を保つ貴重な存在になってます。今は平日朝のみのB系統1往復になったようですが、大がかりなレストアをやってるのでもうしばらく安泰かな。もしかしたら来年度導入の3連接車の状況を見て引退があるかもしれませんが、路面電車延伸時に追加導入されるであろう新しい低床車まではなんとか走り続けてくれるとうれしいな。・・・つづく ↓

(写真:辛島町、2022.9)