復活絶望、みつぎグリーンランド森林浴鉄道
旧 御調町(現 尾道市)にある市営総合アウトドア施設「みつぎグリーンランド」。2018年夏の豪雨災害からもう5年にわたって閉鎖が続いています。公園のシンボルでもあった川沿いのキャンプ場エリアに大量の土砂が流入。治山治水や復旧に多額のコストがかかることから、二次災害防止の土砂撤去は終わるも壊れた施設はそのままの放置状態となっています。この公園、とても不便なところにあるんですが、被災前は行楽シーズンや週末に一定数の人を集めるちょっとだけ人気の場所だったんです。おそらく、もう1つのシンボルであった「森林浴鉄道」ってのがあったからでしょう! ↓
ここの森林浴鉄道はみつぎグリーンランド内に敷設された遊戯鉄道。公園自体は御調ダム建設時に併せて整備されたんですが、鉄道敷設は1993年導入で比較的新しい部類の遊戯鉄道です。当時バブル崩壊にて地域創成なんかが謳われ、公園の利用促進のテコ入れ策だったんでしょうか?設備は徳島の朝日テック製ボールドウィン号タイプの機関車が客車3両をけん引するスタイルで、軌間は600mmの遊園地仕様、機関車はSL外観の電気モーター車で第三軌条集電となってます(たぶん低電圧直流かな)。 ↓
外観は「森林浴」を謳ってるからでしょうか、デザインはシックなトーンでまとめられ、遊戯鉄道らしくない外観でした。機関車にはおなじみの朝日テック銘板が取り付けられてましたね。 ↓
機関車車番の「60874」はボールドウィン社のロット番号で、王滝森林鉄道で活躍していたSLのよう。朝日テックが作る他のボールドウィン号スタイルの機関車はなぜかこの「60874」の銘板を付けてます。 ↓
車庫兼事務所をかねるここ「つくし」駅が起点駅。東の公園入り口付近にある「どんぐり」駅まで所要10分ほどの運行区間。晩年は土休日のみ10時~16時までの1時間毎のダイヤ設定でしたが、客がいないと動かないという遊園地仕様で走行シーンを撮影するのが結構大変だったりしました。 ↓
公園の中をこんな感じで線路があったんですが、よくある周回ループ構造じゃなくエンド部両端でループさせる構造になってました。GoogleMapに落としたものはこちら(だいたいの線路経路)。 ↓
特徴的だったのがどんぐり駅のエンド部はループ線じゃなくわざわざデルタ線を作って方向転換をしてたんです。つくし駅からやってきた列車はどんぐり駅をさくっと通過。 ↓
行き止まりまで進み今度はバックでデルタ線に入って・・・ ↓
で、再び正面向いて方向転換、どんぐり駅到着っていう、かなりマニアックな設計となってました。 ↓
途中にはちゃんと稼働する踏切もあるし・・・ ↓
・・・トラス橋まであったんですよ。さながら巨大な模型森林鉄道って感じ。 ↓
公園のそばを走る姿はまあ遊戯鉄道って感じもあるけど・・・ ↓
基本はガチ森林鉄道風。「森林浴」ですからね~ ↓
公道からも写真撮れました。 ↓
機関車には「なかよし ほっぽ」という愛称がついてましたが、森林浴なのか、なかよしほっぽなのか、イマイチブランド確立できてなかったですね。駅名のどんぐりはいいけどつくしって原っぱに生えてるけど・・みたいな。ま、来場者は子供が「汽車のりたい!」って言って乗るから名前はなんでもいいってのもありますけど。 ↓
ちなみに10年以上前の訪問時ですが、1回1区間の乗車に大人420円、往復なら630円という財布に優しくない料金でした。おじいちゃんおばあちゃんが孫のために・・・ってサポート必須の列車ですね。 ↓
ま、こんな山奥で汽車を運転してくれるんだから文句言ったらだめですけど。とはいえ、2013年?以降は機関車の故障が続き実質運休状態になったようで・・・ ↓
そして2018年の災害へと続き、線路等の施設は一部残るも再開目途はまったく立たず。園内も荒れたままなんで少なくとも鉄道施設はこのまま廃止が濃厚です。 ↓
ちなみに機関車はググったら同一機種と思われるハロー安曇野で走っていたボールドウィン号が那珂川清流鉄道保存会で静態保存されているようです。さあ、みつぎの機関車はどこいったんでしょう?まだ公園内に放置されてるのかな?ふつうはもう解体撤去されてるんだろうなあ・・・東広島界隈の遊戯鉄道って福山のみろくの里が廃止になってここもなくなると、近隣は岩国近くの山口県和木町の蜂ヶ峯くらいになるのかな。遊戯鉄道も少子化でどんどん減っていきます。。。 ↓