さよなら のせでん妙見の森ケーブル
能勢電鉄が経営する妙見の森ケーブル。1922年開業という歴史あるケーブルカー、昨年WW2戦時中の運行停止期間含め100周年となるもコロナ禍で旅客が減ったまま、今年春に廃止申請が受理され、さらに前倒しにて最終運行日が12月3日(日)と決まりました。 ↓
もともと近鉄生駒ケーブルみたいに下部軌道と上部軌道の2つに別れたケーブルカーだったんですが、WW2時に不要不急路線としていったん撤去。1960年に能勢電鉄が下部側をケーブルカーとして、上部はコストの関係からリフトとして復活させ現在に至るって路線。 ↓
リフトもかなり古風・・・常設のチェアリフトでかつ、シングルシートって、かなり減ってるんじゃないかな、知ってるところで天橋立や御在所岳、剣山、御岳・・・ペアシートなら高尾山や茶臼山とかあちこちにまだありそう。遊園地内だとか地方の観光公園とか、探せば結構ありそうだけど数は減らしてるだろうな。冬スキーメインで夏場観光開放ってのはあちこちにあるんだけどね。。。全国のリフトを集めるって趣味もなかなかいいかもね。ま、この手のものってスキー場以外はかなり年代物が多い。ここも手を入れてるとはいえ60年選手ですからかなりの昭和感出てます。支える鉄骨とかもなかなかのもの。 ↓
ただ上部軌道代替となったリフト。設計上は直線状に作らなければならない仕様とやらで、直線状になる場所まで乗り場となる接続ポイントがケーブル山上駅とずれちゃってるんです。ケーブル山上駅からケーブルカーの勾配と同じ坂道を登ってリフト乗り場まで行かなければならないんですが、これがキツい・・・ちょっと優しくない設計となってるんです。これ、ほんと、登るには結構きつい坂道で・・・ぶらっと観光という雰囲気ではありません。後述になりますが妙見口から黒川までの徒歩上り勾配が終わってホッとしてもここでさらに負荷をかけられるんです・・・健康にはいいけど。。。ちなみにリフト乗り場のふれあい広場近くにバーベキュー場があるんですが(緑に囲まれて気持ちいいけど)、黒川からクーラーボックス持ってそこへいくのにこの坂が地獄となります・・・台車必須の、初見殺しの坂なのでご注意の程。ま、これも、妙見あるあるなんですが・・・ ↓
とにかく鉄路とも接続が悪いこのケーブルカーが令和の時代まで残ったのが不思議なくらい。阪急&のせでんの集客活動あっての賜物でしょう。たとえば起点となる黒川駅は接続駅ののせでん妙見口から1.4kmと微妙に離れている上、途中県境がある小さな峠を越えなければなりません。連絡バス的なものは運行も電車とケーブルカーと運行ダイヤは一致せず、最近はバスも本数がかなり減ったから、基本「歩いて行ってね」的な案内なんですよね。これって昔からなんですが、ケーブルカー利用であっても妙見山への道のりは健脚でなきゃ結構しんどいんです。 ↓
さらに本ケーブルカー、最近は冬期運休で春から秋の行楽シーズンのみ運行、かつ平日水木運休という消極的運行の路線。ある意味ちょっとした秘境感もある。また都心から比較的近場で周辺は本格的なハイキングコースとして整備もされているので、ハイカーからは根強い人気があったりする。日本一の里山と謳ってる妙見山なのですが、険しすぎない、楽そうで楽でもない、広葉樹中心の里山らしさがしっかり出ている・・・なんてことで、シニアには特に人気のようです。また春は桜、夏はアジサイ、秋は紅葉と四季を楽しめるところもいいんだとか。もともと妙見山へのお参り路線だったんですが、今はバスが山頂まで行くので、わざわざケーブルとリフトに加え健脚が必要というコースであるがゆえ、晩年はハイカーご用達と化してかえって長生きしたかもしれません。ちなみにかつてはケーブルの存在をないがしろにする山頂のお寺直通バスってあったけど、一足早く臨時化されてイベント時のみ運行となってます。 ↓
妙見山って関西育ちだと一度はいったことがある人も多いんじゃないでしょうか。大阪府北部だと遠足で行ってたでしょうし、ハイキングで行ったことあるんじゃないかな。私も物心つかないときにハイキングで行ってましたし。かつては妙見の森ケーブルじゃなく妙見ケーブルとして運行、こんなレトロな配色でした。架線柱もお寺の朱色をイメージしてたみたい。 ↓
2013年にテコ入れで日本一の里山「妙見の森」としてバーベキュー場など含め再整備したんですよね。ただ車両や設備など大がかりとなる更新はされず既存施設を生かしたものとなりました。かつての姿と雰囲気は違うんですが車両など設備は昔のままです。 ↓
車両は2両、再稼働時の1960年製のものが使われています。こちら、No1のほほえみ号。昔は愛称なかったんで妙見の森整備時に命名したのかな? ↓
前照灯の位置が山側と谷側で違ったところについてます。金太郎塗装から木目調に外装を変えたらかなり雰囲気変わりました。 ↓
内装もレトロ調に。モケット青がほほえみ号です。 ↓
こちら、No2のときめき号。ほほえみ号とカラーリングが逆になってますが外装デザインは統一してますね。 ↓
ただ車内は違って赤基調。 ↓
駅舎も更新、黒川駅はレトロ感ある内装と塗装でかなり雰囲気が変わりました。 ↓
あと、ここケーブルカー、軌間が1435mmの広軌が使われているのが珍しいとのこと。言われてみればそうだよな、レール幅が確かに広いわ。 ↓
戦争時に撤去された上部軌道の設備類や車両台車などはその後箱根の十国峠ケーブルカーに流用、1435mm軌間のケーブルカーが爆誕します。 ↓
確かに軌間が広いかなあ、ちなみにかつてのライオンズカラーは1956年開業当時の塗装に戻されています。塗装も相まって?御年57歳の車両がまだ現役というのも昭和感MAXなんかな、なんか懐かしい風景なんですよね、ここは。2022年に西武グループの伊豆箱根鉄道から富士急に経営権が移り、ちょっと今後が心配な路線となってます。ちゃんと車両更新して経営維持するのかなあ。晴れれば山頂の眺めはかなりいいんですが観光客頼みなんでちょっと先行き不安。 ↓
で、妙見に戻って・・・ふれあい広場にはかつて走った遊戯鉄道のシグナス鉄道の遺構が残ります。 ↓
軽便風で雰囲気最高だったんですが、結局運行時に訪問できずじまい・・・2001年から運行してたのになあ、ちょっと後悔。 ↓
あと、妙見山のシンボルが北極星ということでこんな施設が・・・ ↓
片側のエンド部分は銀河鉄道999風に加工されてます。 ↓
ちなみにこの軌間も広軌!かなり珍しい部類になるのでは?ま、のせでんの施設を流用したんだろうけどね・・・妙見の森事業撤退ってことでこうした施設も撤去されてしまうかもしれません。 ↓
今回の妙見の森ケーブル廃止・・・というか、妙見周辺のいろんな事業から撤退するってことでこの先既存ののせでん本体にも影響が出てきそう。まあ、先だって懐かし塗装の2編成、50形モデルと・・・ ↓
・・・1500系モデルのカラーが2連で走ってましたが、この夏の全検でどちらの編成もマルーン一色に統一されちゃいました。 ↓
マルーンが外れるとどこの鉄道?!ってなるんで、ほんと、阪急にとってマルーンって大事な色ですね。 ↓
日常塗装が違うってだけでも変化があって面白かったんですが・・・ ↓
この並びは過去のもの。ま、元色車両時代はこうした並びはあり得ませんでしたけどね。 ↓
ケーブルがなくなると、今ある妙見口の駅の意味もなくなるんですよね、かろうじてバスが接続するかもしれないけど、周辺は大阪府内でありながらかなり過疎化が進行してるし、新興住宅地もない・・・山下~妙見口はラッシュ時でさえ2両で十分。たまに走る4両だとかなりのキャパオーバーなんですよね、あきらかにやばい雰囲気。 ↓
現実的にはときわ台~妙見口は廃止して今の神業的な妙見口2分折り返しをちょっと楽にしてあげると・・・ま、ときわ台や光風台のニュータウンも少子高齢化の影響を受けてるから、山下~妙見口廃止ってのも近い将来あり得ない話ではなさそう。日生中央側でもそんな感じになりつつあるからなあ、縮小均衡って未来の絵が描けないわ。 ↓
・・・ということで、ケーブル廃止でもまだまだ のせでん の憂いは尽きることなく・・・妙見山は秋の紅葉時に最後行ってみたかったけどちょっと無理かな。5月に廃止が決まってからは平日含めお名残乗車の方がぐっと増えたらしいですが、何かしらみんな思い出があるからなんでしょうね、。。。ほんと、お疲れさまでした。 ↓