改元スペ:ラトビア①-PV(Pasažieru vilciens)

バルト三国の並び真ん中の国ラトビア。この国の鉄道はお隣のエストニアとはずいぶん違った雰囲気で旧ソ連色が色濃く残ります。というのも、エレクトリーチカと呼ばれたソ連時代の近郊電車がいまだ活躍しているからなんですよね。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

・・・というのも、車両正面についているゴロ「RVR」=Rīgas Vagonbūves Rūpnīca、日本語でリガ車両製作所とか製作工場とかいう意味なんですが、旧ソ連での近郊電車や気動車を一手に製造していた車両会社がこのリガにあって、旧共産圏に車両を供給してきた由緒ある会社だったんです。ソ連崩壊後もしばらく残るも西欧の近代的な車両会社に追いつけず現在は倒産してなくなっていますが、ラトビアを代表した会社への思いもあったのでしょうか、現在も基幹車両として活躍を続けてます。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

ラトビアの幹線は国が100%管理するほぼ国鉄スタイル。ラトビア鉄道グループ(LDz)がインフラと貨物など旅客以外のサービスを提供、このラトビア鉄道が出資するPV(Pasažieru vilciens)が旅客サービスを提供します。路線はリガから放射状に延び、首都圏の大半は直流3300Vの電化路線、軌間はロシアゲージとなっています。旅客車両のカラーリングはど派手な蛍光色黄色と濃ピンクと紺、白をあしらったアジアンチックなデザイン。かつては共産圏あるあるのオフグリーンだったんで以前から比べればかなり垢抜けしたのかもしれませんが日本人からしたらちょっと印象的な配色ですね。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

ラトビアでのエレクトリーチカはER2と・・・↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

・・・このER2T。ただ外観の差はよくわからない・・・↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

見た目の差はRVRのロゴ位置。おなかにあるのと・・・↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

・・おでこにあるのと。しかしER2とER2Tとの相関はなし。製造時期による形状違いみたい。それに行先表示機の場所違いってのもあるんです(おでこか側面かとか)。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

いずれの車両も側面はごついコルゲート仕様で古めかしさが出てます。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

乗降口もバリアフリーなんかにはほど遠い・・・↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

それと、顔つきが違う大改造されたER2Tもあるんですよね、このあたり分類ルールがよくわからん。文献も少ないのでなんか棲み分けがわからんのですが、ま、よく似たソ連時代の車両が走ってますってことなんです。ER2系はどれもかなり老朽化が進んでいるので新車導入が何度も議論されてきましたが、汚職やら不透明な選定などなど政治的に決着できずズルズルと今に至ってます。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

そしてこちらは非電化区間の主力のDR1AM。これもソ連時代から使われている車両。見た目も独特ですね。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

DR1AMは短編成化改造された車両で、中間車両の先頭車化部分とオリジナルの顔つきが違います。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

ロシアからの貨物列車もかなりの頻度で走っています。牽引機はこれもソ連時代から使われているM62を重連化した2M62。ゲージ幅が大きく、架線位置も高いので全体的に大柄です。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)

入換機もウロチョロ。ラトビアではリガだけしか訪問できず、時間もあまりなかったので、LDzやPVの撮影はリガ中央駅での駅撮りだけでした。中央駅は欧州では珍しい行き止まり型ではなくかなりこじんまりした感じ。国際列車も以前は乗り入れてましたがロシアゲージなため、ロシアやウクライナ、ベラルーシ方面の列車のみ。コロナで運休、さらにはウクライナ侵攻で全国際列車が運休しています。ロシアとの貨物列車はドル箱とあって今でも活発に運行されているようですが旅客については相当期間にわたりロシア圏への乗り入れはないでしょう。ラトビアにはPV以外にほぼ保存目的の狭軌鉄道も健在。レイルバルチックが開業するくらいにまたゆっくりと訪問したいですね。・・・つづく。↓

(写真:Rīga-Pasažieru、2019.3)