令和スペ:ポーランド④-マゾフシェ鉄道

【注意事項】ポーランドでは2023.7に鉄道撮影禁止法が採択され、鉄道にかかる撮影が法的に禁止されました。対ウクライナ紛争を意識したものと思われますが、現地では同法施行以降拘束される人が出てるなど、厳格な運用を行っているようです。特にLHSはウクライナの軌間と同じで軍事物資が行き交うため厳重に注意を払ってください。

ワルシャワ都市部から近郊エリアをカバーする、首都圏鉄道でもあるマゾフシェ鉄道のご紹介。これ、もともとPKP(国鉄)のローカル運用部門が分離独立したもの。今のPKPは特急だけしか運用しないので、普通列車や快速列車に相当する部門は大半が県などの地方自治体が運営します。で、ワルシャワは、所在となる県がマゾフシェ県・・・ということで、近郊電車はマゾフシェ鉄道の支配下ということになります。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

現在のポーランドの県は一般的な国の州の規模と県の間ぐらい?まあ、管理する公共団体が県というだけの話なんですが、ローカル運用は国はしないよ、受益者になる自治体がやってっていう感じで棲み分けてるんです。PKPと競合するような急行運転とかは基本やってはいけないルールなんですが、最近快速列車走らしたりして疑似的にPKPとの競争を促進しているみたい。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

全国に16県あるんですが、各県がそれぞれ運営するというより地域の事業団みたいな形にもなったり、アリバなど海外のオペレーターに運営を任せる地域も出てきました。ま、いろんな文献を読んでも複雑でちょっとわからない(・・・とにかく土地勘がないから地名がわからんところが多い。それに、となりのウィッチ県なんかは路面電車やバスとかの地域事業者との集合になってるし・・・) で、各事業者は独自の塗装が使われています。ここマゾフシェ県は黄緑と黄色がトレードカラー。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

マゾフシェ県の中心地であるワルシャワ近郊では高頻度運転が行われ、さながらSバーン状態。利用するにあたってはワルシャワ市内は共通チケットが使えるので会社を意識して乗車を考えなくてもOKなのが便利。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

使われる車両は共産時代の大量生産電車や改造車含めいろんな車両が使われています。こちら、一大勢力のEN57系、3両編成で1ユニットにて、1452編成も作られた一大勢力。登場は1961年ですが、同じタイプを作り続けるという共産主義的管理のもと、まだまだ大量に運用されています。運転台が3窓のものは登場が古い第2世代の車両。大きなお目めが特徴的ですが改造されたりして原形を保ってるものはかなり少数派となっています。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

こちらはEN57第三世代の二枚窓タイプ。原形タイプはかなり減ってしまいましたが朝夕ラッシュ時には必ず出てきますね。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

共産時代らしい外観なんでこっちが好きなんですがなかなか日中はお目にかかれない存在。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście、2019.10)

未改造車両なんで今後の新車投入で置き換え対象として優先されると思われます。 ↓

(写真:Warszawa Ochota、2019.10)

つづいてこちら、EN57をJR西の103/113大改造のように大きく更新改造したシリーズの1つ、EN57AKM。マゾフシェ鉄道の最大勢力。電装系と内装を大きく更新していて、性能的には旧EN57とは大きな差があります。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

第2世代と第3世代からそれぞれ改造を受けてますが、外観は2タイプあって・・・こちらは改造初期型なのかな?外観差は種車とあんまり関係ないみたいで・・・ ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

こちら、おそらくヘッドライトの形状から改造が後期のものと思われます。内装もだいぶ手を入れて新車のようになってます。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

さらにヘッドマークを取り付ける?フックありとなしの差が・・・正直EN57って改造しまくってるのでよくわかりません! ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

こちら、EN57ALも改造車。AKMとはオデコのところが違いますね。末尾3つ目のアルファベットでさらに細かく分類されるようですが・・・ここでは省略! ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

EN57ALは直近のEN57改造車なのでスタイリッシュな先頭車となってます。まあ、側面窓なんかはそのままなんですが、内装はがらりと変わってます。EN57とその改造シリーズは国内の他の県でも多数使われています。まあ、1400編成もあったし、電車はパファワグ(現ボンバルディア)という国内メーカー製とだったというのもあって大事に使われてますね。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

こちら、EN71はEN57の派生形式。登場時は正面3枚窓もEN57AKM風に改造されて大きく雰囲気が変わってます。EN57は第二世代から側面コルゲートがなくなりましたがこのEN71には第1世代同様のコルゲートが残っています。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちら、2008年登場のシュタッドラー製ER75。4両1ユニットで10編成が活躍します。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

現在、この最新機種のER160が大量投入中。EN57未改造車やAKMの初期改造の置き換えを進めていると思われます。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

そしてこちら、ペサ製のEN76。2012年導入にて4両1ユニットにて16編成が稼働中。ワルシャワ高速都市鉄道の35WEと似てますね。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

こちら、ニュワグ製の45WE。2015年導入にて5両1ユニットにて12編成が稼働中。ペサもニュワグもポーランドメーカーだからなのか、外観がよく似てますね。ワルシャワ高速都市鉄道の27WEとは色違いみたいにそっくりさん。 ↓

(写真:Warszawa Śródmieście~Warszawa Ochota、2019.10)

旧PKPだけあって車種が豊富で楽しいマゾフシェ鉄道。電車以外もワルシャワ郊外だと客車+ELのプッシュプル、DCも走ってます。旧型顔の車両たちは他県でしか見れなくなったようですが、更新はゆっくりなので追っかけはできそう。ま、遠い国なんでまた行くなんて難しいかな・・・次回はワルシャワ地下鉄&トラムのご紹介。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)