さよなら客車改造キハ

先日発表されたJR北海道の737系ワンマン電車の導入。室蘭本線でお勤め中のキハ141系143形の置き換え目的で来春登場の予定。で、対象のキハ143形、実は客車改造の気動車ということでレア車の存在。正面から見るとよくある軽快気動車っぽいマスクも・・・↓

(写真:御崎~輪西、2020.8)

・・・サイドに回れば種車の雰囲気が・・・↓

(写真:苗穂~白石、2022.9)

そう、種車はレッドトレインこと、50系客車(北海道は窓が2重構造で形式はオハ/オハフ51形)。ドアも手動だった旧型客車を一掃すべく、国鉄末期に大量導入された客車です。写真は高架前の札幌駅のワンシーン。高速夜行バス対抗で走っていた快速ミッドナイトに函館から乗ってきたときのもの。当時車両不足で機関車牽引の客車がまだまだ札幌では頻繁に走っていました。↓

(写真:札幌、1988.10)

なるほど、141の側面をアップにすると50系じゃんって感じになりますね・・・↓

(写真:苗穂、2022.9)

客車エンドはこんな感じ。まあ今の頭のキハ141系かなあって見えなくもない。↓

(写真:札幌、1988.9)

残念ながら50系の北海道で走行シーンを撮ったものがないので草津線の写真で代用しますが、こんな感じの編成で車両不足時のラッシュ時対応に活躍していました。こちらは暖地仕様なので窓が2段サッシで51形と違うところ。民営化後もあちこちで見られた50系ですが、機回しが必要で、かつ2ドアで乗降効率が悪いなどの理由で一気に淘汰されてしまいました。↓

(写真:貴生川~三雲、1989.3)

北海道でも711系の普通列車への転用や721系の増備で電化区間の客車廃止が進められましたが、余剰となった50系客車が改造のち集められたのがこの快速海峡号だったんですよね~、タイミングがうまく合いました。元51形は写真の編成の窓が小さいのがそれですね。↓

(写真:函館、1988.9)

さらに宅地開発が進んだ学園都市線(札沼線札幌口)での増発/増結用キハの不足を補強すべく、50系を改造して気動車化するという手段でキハ141系を投入、混雑緩和に活躍。このときはうまく立ち回りができたんですよね。↓

(写真:石狩太美~釜谷臼、1993.10)

その後学園都市線が電化。大量のキハ141系が失業となります。1エンジンのキハ141形と2エンジンのキハ142形はキハ22や56などの廃車流用品を使った車両群で、もともと中継ぎ的存在だったというのもあって全系列運用離脱。後述のJR東日本への再就職組以外は大半がミャンマーへ。キサハ144形というほぼオハ51の増結用車両は役がなくなり、JR東へ移籍した車両以外は廃車となります。キハ141や142が定期運用に就いていたときは休日の車両余裕時にこうしたバーベキュー列車などの臨時スジでよく使われてました。↓

(写真:新得~十勝清水、2001.10)

キハ141系のうち、143形はキハ150仕様の足回りで作られた新車に近い存在だったので、室蘭本線室蘭口の711系置き換え用に転用。当時は朝夕ラッシュ対応は711系電車、日中閑散時間帯はワンマン対応のキハ150or40の単行or2連という棲み分けだったと思いますが、この711の代替として投入され全列車のワンマン化も実現。しかも150/40は非冷房だったので冷房車の143でサービス維持にもなったんです。↓

(写真:冨浦~登別、2015.6)

とはいえ電線が頭上にあるんだから・・・ってなことで電車なぜ走らない?論でブツブツいわれて早10年ってことで今度の2両ワンマン電車の導入だったりします。↓

(写真:登別~虎杖浜、2020.8)

まあ電化施設を使うのが特急すずらんだけってのももったいないですからね。↓

(写真:荻野~白老、2020.11)

でも、今の旅客数だったら、北海道新幹線開業後は特急北斗もいらなくなって余った特急車両ももったいないから、すずらんメインの785系をキハ261で置き換えるってのもあるあるの話・・となると電線いらないよねってなります。すでに普通列車は電車でなくてもいい状態なんで・・・↓

(写真:苗穂~白石、2022.9)

たださすがに新幹線開業までまだ10年ほどあるんで電車導入ってことかもしれません。↓

(写真:御崎~輪西、2020.8)

JR北で運用に就く143形は5編成。151+101・・・↓

(写真:札幌~苗穂、2022.9)

152+102・・・↓

(写真:虎杖浜~登別、2015.6)

153+103・・・↓

(写真:虎杖浜~登別、2014.5)

154+104・・・あと156+157ってのがあるんですが運悪く見たことない・・まあみなさん見た目そっくりで違うのは車番だけって感じです。↓

(写真:虎杖浜~登別、2014.5)

キハ143形の主戦場は室蘭本線苫小牧~室蘭ですが、朝と夜に苗穂の送り込みスジで札幌~苫小牧を走ります。こちら朝イチ苫小牧行き。↓

(写真:札幌~苗穂、2022.9)

小ネタですが、札幌~苫小牧はワンマン運転ではないので方向幕は「普通」って表示になるんです。2両で車掌って最近珍しくなりましたね。↓

(写真:苗穂、2022.9)

この始発は苗穂工場から出てきますので出庫前はこんな国鉄な並びが見れるんですよ。↓

(写真:苗穂、2022.9)

出庫後札幌へ向かう回送。ここに写る苗穂の長ーい踏切は来春廃止になる予定。↓

(写真:札幌~苗穂、2022.9)

苗穂駅近くのここはこの時期はもう日が当たらないので廃止直前までちょっとお預けな構図。雪の風景は撮ったことがないので最後に収めておきたいです・・・↓

(写真:苗穂~白石、2022.9)

そしてこちら、JR東日本で活躍するキハ141系700番台。元キハ142形、143形、キサハ144形が種車。釜石線を走るSL銀河の客車として活躍する異色の存在。もともと客車だったからか、外観は違和感ないですよ。↓

(写真:宮守~柏木平、2022.10)

JR北と時を同じくして客車のキハ141も引退となってこのSL運転も終了、釜石線の名物がなくなってしまいます。C58-239はどうなるんだろう・・・しかし、いつも思うんですが、走るSLを実物でみると本物の圧というのか、特別感がやっぱりありますね、写真になると物足りなくなるんですが、あの圧に魅了されて追いかけするひとが出てくるんでしょう。↓

(写真:岩根橋~宮守、2022.11)

SLはマニア以外も食いつくんで客寄せパンダには最高の代物。ただ、たまにならともかく、毎週となれば沿線住民にとっては観光公害になって迷惑な人が出てくるんでしょう。そういう考慮も合わさっての運行停止の判断かな。磐越西線のSLもトラブル多いとか聞きましたが大丈夫?↓

(写真:小山田~土沢、2022.11)

通常SL運転だとSL+客車+補機って組み合わせなんですが、補機レスにすることと、機関車の負荷を下げるため自走できる気動車を組み合わせた編成にしたとか・・・。SL編成は盛岡から花巻まで回送で送られるんですが、この区間はSLの動力は基本加速が必要な出発時だけに使い、大半は気動車として客車が自走。気動車はキハ2両で3エンジンだけなのでスピードが遅いんで、途中いろんな列車に抜かれていきます。全力疾走しないのはSLの動力周りを守るためなんでしょう。↓

(写真:紫波中央~日詰、2022.10)

それとこれ、客車先頭として走ってるのですが、花巻駅の線形から機回しもいらないのでなかなかのアイデアです。盛岡への帰りはお尻にSLの正面が付くのでいい被写体に。ただ夕方遅くになるので夏場だけのお楽しみかな・・・ま、私は客車が撮りたいのでこの往路狙いなんです。↓

(写真:日詰~石鳥谷、2022.11)

各車両の外装には星座などのモチーフが施されています。窓のない空きスペースにうまくフィットしています。↓

(写真:宮守~柏木平、2022.10)

方向幕が残っているので自走時はキハ141系青バージョンみたいになってます。外観はそんなに変わらないも内装はまったく違ったものとなってます。SL最終運行は来年の春休みとのこと、本家北海道の141系のほうが一足先に引退となりそうです。興味ある方はお早めに。↓

(写真:紫波中央~日詰、2022.10)