令和スペ:ポーランド①-PKP(Polskie Koleje Państwowe)

【注意事項】ポーランドでは2023.7に鉄道撮影禁止法が採択され、鉄道にかかる撮影が法的に禁止されました。対ウクライナ紛争を意識したものと思われますが、現地では同法施行以降拘束される人が出てるなど、厳格な運用を行っているようです。特にLHSはウクライナの軌間と同じで軍事物資が行き交うため厳重に注意を払ってください。

久々の海外編はポーランド。ポーランドの鉄道は旧共産圏ということもあってか、まだまだ公営企業が基本。さすがにEU下で政府直営はないですが、政府100%株式保有のPKPグループが大半の旅客路線を運営。PKPは「Polskie Koleje Państwowe」の略称、訳すと「ポーランド国鉄」となるんですが、欧州あるあるの上下分離でPKPは旅客のみ。インフラは政府100%出資の別会社が、コミュータ・ローカル旅客は各県がメインで、貨物は別会社という形で役割分社・担当分けされてます。「国鉄」という日本語の意味とちょっとニュアンスが違うのかな、まあ、ポーランドでPKP=国鉄=長距離向けってなるんで、細かい話はいいか。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

今のポーランドには高速鉄道線はありませんが、こちらペンドリーノを使って一部線形を改良して200km/hの高速運行をしています。軌間は1435mmの欧州標準軌、電化区間は全体のおよそ3分の2あたる12000kmと電化率が高いです。電化区間の供給電気はDC3kvという東欧に多い規格です。一部LHSと呼ばれるロシアンゲージの貨物線があり、こちらはウクライナからポーランド・フルビエシュフに入ってザモシチ、ビウゴライ、スタシェフ、センジシュフ、ボルブロムを経て、ガトヴィツェ郊外のスワフクフまで400kmを結びます。ウクライナやロシアへの鉄道貨物はゲージ幅が同じLHSを使って送られてると思われます。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

ポーランドはEU加盟から20年経ったんですが鉄道近代化は道半ば。駅の改良工事なども大規模に進めているところがいくつもあります。こちらはウッチの中央駅的な存在のウッチ・ファブリチュナ駅。壮大な建築物となってます。日本もこれくらいの駅を造れたらなあ・・・ま、大阪駅が大屋根つけて雰囲気ガラッと変わりましたが、スケールが違う・・・ ↓

(写真:Łódź Fabryczna、2019.10)

現在のPKPは前述の通りローカル列車を運行しないため、いわゆる日本でいう特急列車専門という感じになってます。機関車牽引の客車スタイルと動力分散型電車を使い、非電化区間用には気動車を持たず、DL牽引客車で運行します。こちら、機関車牽引の列車、まだまだ主流。牽引する機関車は一大勢力のEP07。もともとはEU07という形式のものを高速化対応で改造したもの。100両近くが運用されていますが、種車のEU07は1965年登場の古株。とはいえ、1994年まで作り続けたという、共産圏あるあるのロングラン製造。現在初期車は引退、旅客転向しなかったものはEU07として貨物列車などに使われます。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

EP07にはまだ旧PKP色の車両が交じって走ってます。古風な外観と共産チックなカラーリングが東欧らしいというか、芋臭いというか、マニア目線だと萌えキャラ系な機関車だったりする。自国製ということもあってか、高速化対応では新車投入ではなく既存車両の改造を中心にして進められました。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちら15両製造のみのレア機関車EP08。EU07の改良版として1973年に登場。高速走行用として開発もリミットは140km/hまで。あと改造のEP07に性能は抜かれてしまいました。外観はEU07/EP07とそっくりですが、側面のコルゲートがないので見分け方は簡単。ま、車番も見やすいけどね。なお15両のうち性能不足でEU07に形式変更されたのがいて、現在は9両のみの在籍となってます。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちら、現在の旅客主力機関車となっているEP09。1986年登場で47両製造された高速化対応モデルで160km/h運転が可能です。こちらもポーランド自国製とあって更新改造をして当面使い続ける予定。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

EP09は外観が角ばってちょっと新しい感じがでるも、一昔前のデザイン。とはいえ、まあ古風な顔つきのEP07がいるおかげで新しい感が出てるのが不思議。ちなみに最新モデルはEP44という、シーメンス・ユーロスプリンターシリーズで、最大250km/hの高速運転が可能。まあここまで速く走れるのはペンドリーノが走る区間くらいなので増備されていく可能性は当面ないかな。どちらかといえば老朽化したEU07/EP07の置き換え用にEU160という国産機関車が増備されています。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちらは非電化ロコのEP08版?のSU46。国産ディーゼル機関車として登場から50年近くが経とうとしています。共産時代に大量生産されたST44(ソ連M62)の親戚かな。共産時代ロコは非電化区間の貨物を中心にいまだ現役。西欧の高級ロコは予算が厳しいのか、既存ロコの整備・改造でしのいでいます。最近は自国製の「SU160ペサ・ガマ」という、独特の外観のハイブリット機関車が登場。非電化は電気式ディーゼルで、電化区間は電機として走行できるんですが故障が多いようで・・・まああるあるな話になってますね。 ↓

(写真:Zittau、2007.4)

そして動力分散型の電車は4形式。こちら、最速のED250 ペンドリーノ。最高速度250km/hの高性能も、まだまだ走れる区間が少なく能力は持て余し気味。7両1ユニットで20編成が運用に就いています。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちら、2014年登場の新しい車両ED161。160km/h対応で幹線で頻繁に走ってます。 ↓

(写真:Warszawa Główna、2019.10)

8両編成で1ユニット、20編成が運用に就いています。 ↓

(写真:Łódź Fabryczna、2019.10)

ED161はペサ製のポーランド国産。ワルシャワ界隈でよく見る車両です。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)

後述予定のローカル地域鉄道でも主力はまだまだポーランド製。共産時代は重工業担当だったので車両製造はあまり得意分野の1つではありませんが、技術力としてはしっかりしてるようです。ドイツ鉄道から受注取ってるしね・・・ ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

こちら、シュタッドラーのフリルトシリーズのED160、8両で1ユニットとなります。PKPでは2015年導入後は客車置き換え?で増備が続いています。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

このシリーズはローカル地域鉄道にも多数採用されており、共産時代の旧型車の更新で少しずつ増えてきてる印象です。 ↓

(写真:Warszawa Główna~Warszawa Zachodnia、2019.10)

ED160の他にはED74というペサ製の4両編成がいます。外観はED161似でしょうか、ワルシャワ近郊には入ってこないため、今回は出会えてません。・・・ということでPKPはおしまい。今回はワルシャワ首都圏だけしか訪問できてないのでまたいつか地方都市もチェックしたいですね。。。 ↓

(写真:Warszawa Zachodnia、2019.10)