令和改元スペ:エストニア-タリン市電(tlt)

エストニア首都タリンには国内唯一のトラムが走ります。全長20kmほどのこじんまりした路線網で4系統、市の公共交通ですがオペレーターはTLT(市の100%所有会社)が行っています。このトラム、タリン市民と国内高齢者などはなんと運賃無料。ただしタリン市民以外の国民(一般)、外国人は有料なのでご注意のほど(抜き打ち検札チラホラやってます)。2017年に空港への路線が開業、併せて低床車両が導入され、旧型の置き換えが始まりました。↓

(写真:Viru~Vabaduse väljak、2019.3)

導入された車両はスペインCAF製アーボスAXL。ストックホルムでも大量導入されてますね、なぜかCAF製トラムは欧州では人気です。ここタリンでは20編成が導入されましたが、3連接車で収容力があがり、特にラッシュ時は効果があったようです。また全車両とも低床車両とあって高齢者には好評とのこと(そりゃそうだろう)。↓

(写真:Põhja puiestee~Balti jaam、2019.3)

こうした全面広告車両もチラホラ走ります。こちらのスポンサーはラトビアのLCC、エア・バルチックですね。↓

(写真:Ülemiste linnak~Lennujaam、2019.3)

タリンのトラムはすべてエンドループ構造になっているため、車両乗降口はすべて進行方向右側についています(右側通行)。こちらは乗降側ですが・・・↓

(写真:Viru~Vabaduse väljak、2019.3)

・・・反対側は窓だけ。まあ、こっちのほうが座席数を稼げるのと運転台を1つにできるので、車両効率としてはエンドループ方式のほうがいいんでしょうね。まあイレギュラーな移動には不便そうですが、そう滅多にないでしょうからね。↓

(写真:Põhja puiestee~Balti jaam、2019.3)

で、従来車の主力は今もタトラ製のKT4シリーズ。タリンを走るKT4シリーズはソ連時代導入のものと旧東ドイツのメーターゲージ中古車が混じります。さらにそれらを3連接車改造&内装/電装部品等交換したもの(=KT6TM)、2連接のままも内装/電装交換(=KT4TM)、レトロ調に大改造したもの(=KT4TMR)が混じるという具合・・・まずこちら、ソ連時代から走る元KT4SU。ソ連向け仕様車は車番123番までが該当なんですが、いろんな文献から推測して、改造してないKT4シリーズはKT4Dとしてまとめられている模様。(もしくはSUはすでに廃車されてるかも)↓

(写真:Põhja puiestee~Balti jaam、2019.3)

元KT4SUの中間に低床車両を組み込んだものがこちら。(ドイツ語引用で不安なんですが)モデル番号はKT6TMとなっているようです。末尾のTMはタリンメトロのTとMなのかな。↓

(写真:Põhja puiestee~Balti jaam、2019.3)

中間車両組み込み時に機器類も更新されシングルアームパンタに交換されています。シングルアームに更新済みだが2連接のままのモデルはおそらくKT4TM、2編成だけのレア車両です。↓

(写真:Lennujaam、2019.3)

もともとKT4シリーズは連接車両で1車両1台車という構造。中間車は補助輪みたいな台車が入るだけなんで、登板能力とか大丈夫なの?って感じなんですよね~、結構ちゃっちいつくり。もちろん中間車組み込み時にモーター高出力化とか電装品も改造/更新されているので問題はないんですが、見た目大丈夫なのかなって思ってしまいます。↓

(写真:Viru~Vabaduse väljak、2019.3)

こちらはドイツからの転入組。ロット番号124番以降がそれでモデル番号はKT4D。パンタはデカパンのままです。↓

(写真:Hobujaama~Paberi、2019.3)

車両が一回り小さいんでラッシュ時にこいつがくると車内はかなり混雑します。↓

(写真:Tallinna Ülikool~Hobujaama、2019.3)

KT4D(未改造車)は将来の置き換えが決まってますが、現時点ではまだまだ多数派の部類。ドイツからの転入組は3連接改造されてないので原形のまま。高齢者にはちょっとしんどい昔ながらの車両です。↓

(写真:Balti jaam、2019.3)

マニアにとっては見納めが近づいているので記録しておきたい車両、頻繁に走ってもらった方がよかったりするのかな。↓

(写真:Põhja puiestee~Balti jaam、2019.3)

あとこちら、KT4シリーズの異色の存在であるKT4TMR。開業130周年記念事業として6両が改造されました。種者はドイツからの転入組です。↓

(写真:Viru~Vabaduse väljak、2019.3)

KT4TMや6TM、この4TMRは電装品も手を加えているのでしばらく走り続ける予定。↓

(写真:Hobujaama、2019.3)

カラーリングは以前のブルーを基調にしてます。先頭部分は随分いじくられた感じなんですが、パンタはデカパンのままとし、屋根部分はハリボテにてコストを抑制しています。レトロ車両については他にも保存車両を持っていて、何かの催しの際に出てくるようです。今度新しく導入の多連接車はポーランドPESA社Twistシリーズになったみたいで、未改造のKT4Dをすべて置き換える予定。ただKT4シリーズそのものは残るので、ツイストが新たに加わって走りだす感じなのかな、にぎやかになりそうです。ツイストは2024年以降とのこと、導入後にまた行ってみたいなあ。・・・ということでエストニア終わり。次回はラトビアです。↓

(写真:Viru~Vabaduse väljak、2019.3)