下北交通大畑線
最終日
・下北〜大畑
2001年3月31日
国鉄最終日
1985年6月30日
路線営業キロ:18.0km
各駅
下北(しもきた)
海老川(えびかわ)
田名部(たなぶ)
樺山(かばやま)
陸奥関根(むつせきね)
川代(かわだい)
正津川(しょうづがわ)
大畑(おおはた)
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2001年4月1日付で廃止となった下北交通大畑(おおはた)線は、青森県むつ市のJR大湊線下北駅から分岐して下北半島を北上し、大畑地区までを結んでいた路線です。もともと大間にあった旧海軍基地との連結のために作られた鉄道で、大畑から先は大戦激化で建設が中断し、大間までの未成線が今もところどころ残ります。
さてこの下北鉄道の前進である国鉄大畑線は、国鉄赤字ローカル線の1つとして廃止対象にノミネートされ、民間のバス会社、下北バスに引き継がれた路線です。このとき下北バスは鉄道経営参画ということで下北交通と社名変更し、1985年7月1日付けで下北交通が誕生しました。
国鉄赤字ローカル線から民間企業へ経営譲渡されたケースはこの大畑線と、同じ県内にあった黒石線(弘南鉄道が引き継ぎ:現在廃止)のみとなっています。
使われていた車両は、当時大畑線で使われていたキハ22を国鉄から3両譲り受け、ワンマン改造と塗装の変更など行いキハ85として導入。民間への鉄道譲渡ということでコストを意識し、新車の導入は廃止まで行われませんでした。
さて路線ですが、起点である下北駅はJR下北駅と兼ねたつくりとなっており、ホームにその違いがわかるよう別の表現をしていました。駅舎の隅っこに小さな専用窓口があり、そこで切符類をさばいていました。
構内もやや広い感じがあってもともとレールはJRと繋がれていましたが晩年1線1面のみの終着駅のような使われ方をしていました。また、国鉄時代は列車の発着は大湊駅からでしたが、民鉄になってからは乗り入れせず、分岐駅だった下北駅発着となりました。そのため大湊線への乗換えが多少不便となり、利用者から不満の声が出ていました。
下北駅を出るとすぐに大湊市街に入っていきます。静かな住宅街の中にある海老川に到着。朝夕の学生利用がメインか、平日日中の乗降は多くありません。
次の田名部は実質の大湊の中心地で、駅舎もしっかりしており、駅前にタクシーも並びます。ただ街中を行く風景はこの田名部までで、田名部を出ると急に閑散とした風景に変わります。
市街をバックに葦の原を横切り、勾配を登りつつ左手に湖(早掛沼)が見えてきます。桜が有名な早掛沼公園が湖畔にあり、シーズン中はあたりに提灯が吊るされます。ただ公園入り口は国道側にあったのでこの鉄道からの利用は不便でした。
湖を見て左にレールが曲がると樺山に到着。晩年は冬期は休止される駅でさみしいところにありましたがちゃんと待合室を兼ねた駅舎がありました。
丘陵地の雑木林の中を進み静かな風景の中に次の陸奥関根駅があります。勾配を下り集落が見えてきたら川代到着。跨道橋を通る部分で右手に海が開けます。
次の正津川は小さな集落の中にある駅。海に沿って広がる集落を抜け列車は終着駅の大畑に辿り着きます。大畑駅前はバス乗り場が整備され、終着駅らしい風格がありました。車庫は大畑に設けられており、駅舎が会社事務所を兼ねていました。
現在、路線跡は鉄橋や橋など撤去されたりしていますが結構残り、終点の大畑駅は大畑線キハ85動態保存会によって構内全部が保存されています。使われていた気動車3両もそのまま動態保存され、うち1両は国鉄急行色に塗り替えられ、特定日に構内で運転されています。
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