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Page Start 2006.3.12 最終更新日【2011.11.29】
「南海高野線 三日市町〜橋本」(単線区間)
DATA
南海電鉄高野線
三日市町−橋本:単線区間

1979.5.26.
天見〜紀見峠、複線化
1983.6.5.
千早口〜天見間、紀見峠〜御幸辻、複線化(橋谷信号所廃止)
1984.3.6.
三日市町〜千早口間、複線化(加賀田信号所廃止)
1995.9.1.
御幸辻〜橋本間、複線化

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解説
南海高野線三日市町〜橋本までの区間は、かつては今の橋本以南同様の、単線で急カーブが続く山岳鉄道の様相でした。工事を取り掛かった1970年代当時、南海では難波駅の改築工事、南海本線の連続立体化工事、この高野線複線化工事と3大プロジェクトの推進が並行する華やかな時代でした。

もともと高野線の複線化の歴史は沿線の宅地開発に合わせて行われてきました。1974年3月に河内長野〜三日市町間の複線化が完了し、難波から20m車が乗り入れるようになりました。それに併せ、高野山までの急行列車の切り離し(6両→4両)が堺東から三日市町に変更となりました(たぶん。他にも狭山行きが金剛行きになったり三日市町行きになっていった・・)。河内長野や三日市町周辺ではニュータウン建設がさかんに行われていました。

その後三日市町〜橋本までの複線化工事が具体化し、まず安全対策(当時近鉄の青山トンネル衝突事故などで単線トンネル区間の改善ムードが高かった)として紀伊山脈を貫通するトンネル部分の天美〜紀見峠が1979年5月に先行開業します。この区間は急カーブが多く、複線化といってもトンネルが中心の新線建設といっても過言ではない大プロジェクトでした。

続いて、林間田園都市の宅地開発で81年11月紀見峠〜御幸辻に新駅「林間田園都市」駅が開業、遅れて83年6月に千早口〜御幸辻の複線化が完成しました。当時は複線化工事が遅れていた三日市町〜千早口がボトルネックとなって林間田園都市に20m車が入線できず、また急行自体の本数も少なかったことから人気のないニュータウンとなってしまいました。なおこの複線化にあわせ、紀美峠と御幸辻の間にあった橋谷信号所が廃止されました。

その後、84年3月に念願の三日市町〜千早口の複線化が完了、同じく宅地開発型の新駅「美加の台」が同年9月にこの区間に新設されました。これでやっと林間田園都市まで20m車両が入線できるようになりました。残る御幸辻〜橋本は用地買収に時間がかかり、かなり遅れて95年9月に完成、20年がかりでやっと複線化ができました。念願の20m車橋本乗り入れが実現(正式には92年から)し、路線名も「林間サンライン」という名称をつけ現在に至っています。

ただ、完成はしたものの、計画当初のような郊外の宅地開発ブームは下火となってしまい、結果、林間田園都市は目標入居戸数に達せず、美加の台も予想を下回っています。河内長野周辺のニュータウンも高齢化が進み、昨今の都心回帰現象からも今後も輸送量が伸び悩む傾向が続きそうです。すでに今は高野線自体のラッシュ時混雑も昔ほどではなく、ダイヤ改正のたびに日中の運転本数も減る傾向にあります。

写真の中心は今の美加の台駅近くにあった加賀田信号所〜千早口が中心です。当時は横を流れる千早川での釣りにはまり、しょっちゅうこのあたりに行ってました。その合間にカメラで収めたものが展示の品々です。当時の高野線の顔といえば流線型の21000系。丸サボの「急」というのがなかなかよくて、好きな車両でした。その後増解結がしやすいよう増強された22000系ははずれ車両とか言って毛嫌いしていましたが今思えば南海らしい車両でした。

いかしたデザインだった「こうや号」 「こうや号」も、当時としてはいかしたスタイルで、欧風らしい顔つきで21世紀でも通用するデザインでした。すでにどれも高野線から引退してしまい、21000系は一畑電鉄で、22000系は熊本電鉄と、南海本線の各支線や汐見橋線、貴志川線で第二の人生をおくっています。

現在この付け替え後の単線区間廃線跡はサイクリングロードとして整備されています。ただ、昔は鄙びた感じがあった風景も今はすっかり様変わりしてしまってます。もう20年以上経ってますので仕方ないですね。


「鉄道がある風景」/RailScape
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