神岡鉱業(株)専用線
岐阜県飛騨市(旧:吉城郡神岡町)
神岡鉱山前~神岡鉱業 約0.8Km
2004年8月31日 コンテナ扱い終了
2004年10月15日 車扱(濃硫酸)終了
2005年1月1日付廃止
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神岡鉱業(株)専用線は、旧神岡鉄道神岡鉱山前から精錬工場に延びていた企業専用線で、高原川(神通川上流)を越える大鉄橋を持ち、距離は短いながらも専用線としては本格的な線路を持っていました。 DE10の重連で有名だった富山~神岡鉄道に乗り入れる貨物列車は、すべてこの神岡鉱業(株)発着の荷を運んでいました。
この神岡鉱業(株)は三井金属鉱山(株)の子会社で、かつてイタイイタイ病の原因となった同社の神岡鉱業所が今のそれになります。すでに当時のカドミウム汚染は解消されていますが、精錬の際の煤煙等の影響が今でも残り、周りの山は少し荒れています。
また、ここの鉱山内には、採掘跡を利用した「カミオカンデ」「スーパーカミオカンデ」という宇宙線観測施設(ニュートリノ観測装置)があります。場所は神岡地区ではなく茂住地区にありますが、天文分野では、世界的に超有名な施設で、日本の天文学発展を担う権威あるところでもあります。
ここでの荷は精錬所でつくられる鉛、亜鉛、カドミウム、硫酸等の原料鉱物関連で、濃硫酸が専用タンク車だった以外はすべてコンテナ化されていました。車両の老朽化などで2004年にトラック転換が確定。異彩を放った貨物列車は2004年10月に廃止され、空車返却などで12月に貨物輸送が完全廃止となりました。それにあわせこの専用線もその役目を終えました。
駅から工場まで、大鉄橋を渡って進めるその姿は、どこかの小私鉄のミニ貨物の様相でした。雰囲気はよく、この専用線にもレールバスが走ってくれたらなぁという雰囲気でした。
その後神岡鉄道自身も廃止となりましたが、鉱山自体の採掘は現在も行われおり、主として亜鉛、鉛が産出されています。鉱山内には鉱山軌道があって鉱石運搬に現役で使われているそうです。 シンボルだった大鉄橋は撤去され、ヤード部分も別の建物が建ってしまったようです。
入換風景
入換はJR機がそのまま使われず、神岡カラーの専用スイッチャーが使われていました。25t機のKM251、252の2両在籍してましたが、うち252は中越パルプ高岡(二塚)工場へ再就職し、塗装は変わったものの現役で使われています。
この専用線の運行スタイルは、神岡鉱山前駅に貨物が着く少し前に始まりヤード内で入換。すぐに送り出す貨車を鉄橋を渡って駅まで出します。一旦単機で戻ってきて休憩。続いて到着した編成を受け取って、鉄橋を渡って場内に入れ込みます。その後入換を行い、折り返し便に間に合うよう、工場から再び貨車を引っ張り出して駅まで運行。(だったと思います)
鉄橋の重量制限があるのか貨車の出し入れは短い編成にちょんぎられ、高い鉄橋を何度も往復していました。添乗する係員さんは高所にそうとう強い方ですね。
工場ヤードは平行して走る道路と隣接していましたが、道路がちょっと低くて、場内をギリギリを覗けない、イライラするところでした。
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