解説

日本製紙伏見工場専用線は、JR氷見線伏木駅から南に伸びる専用線で、伏木駅の貨物ヤードから工場まで約1.5kmを結んでいました。工場が氷見線沿いに建っていたため、線路は氷見線に平行して敷かれていました。

荷主の伏木工場が2008年9月末にて閉鎖となり、同じく伏木駅での貨物扱いも廃止され専用線も廃止となりました。

もともとは専用線途中にある東亞合成の荷も扱っていて、線路上に東亞合成のタンクに横付けする側線がありましたが、新しくできた高岡貨物駅に荷物が集約され晩年は使われていませんでした。

この専用線の特徴は、D351という日車製のDLが伏木駅構内の入換から専用線での運搬も一手に引き受けていたこと。このあたりの港を仕切っている伏木海陸運送のグループ会社である高岡鉄道産業(株)がその業務を行っており、朝9時から夕方4時過ぎまで休憩挟んで結構活発に動きました。土曜日も朝夕とも運転されていました。

構造も少し変わった形となっており、伏木駅の東側に行き止まりタイプのヤードがあって、ヤードは駅から独立した構造になっていました。また、工場までの線路はこのヤードから伸びる形になっており、本線上での入換業務が発生しない構造でした。

なお、D351は廃止後、富士の製紙工場へ再就職を果たし現在も活躍中です。


入換風景

ここでの入換業務は、まず、朝9時くらいからJRの貨物列車が到着するまで朝イチの場内入換が始まります。基本は前日のやり残しを行うような形で、入換るものがなければヤードにかかる陸橋の下にDLを移動させるだけで終わり。朝にヤード北西隅にある車庫のシャッターが開いてない場合はウヤの可能性大でした。

その後、10時過ぎにJR機が到着、すぐに切り離され入換が始まります。入換はすべてD351が行い、JR機は休憩。入換中にJR機は持っていく貨車の頭につけられ、その脇ではしばらくD351の入換が続きます。

10:51、JR機が発車、その後しばらくしてD351が単機で工場まで コンテナ貨車を取りに行きます。

工場入り口には不自然に貨車が留置されており、これをDLが連結してヤードへ戻ります。

実はこれ、日本製紙伏木工場内での入換はさらに別の工場内専用のDLがいて、場内入換を行っているのでした。外にはまったく出てきませんが工場入り口付近がDLの定位置らしく、伏木海陸運の社紋の入ったDLが並行する道路から簡単に覗けました。

工場内での入換は朝8時半~10時半くらいに行われ、前日朝と午後到着の荷物を場内に牽引・入換、午後と翌日朝出発の荷物を工場出入り口に固める運用をしていました。

工場から押し出された貨車たちが出入り口付近に留置され、これを別の専用機がもっていくという、なぜかちょっと面倒なことをやっていました。

貨車を引いてヤードに戻ってきたらいったんお昼休みとなります。

次に動くのは午後の便が到着するとき。午前と同じ入換を行い、JR機が持っていく編成を仕立てます。JR機が行った後、再び単機で工場へ行き、午前中と同じく工場出口付近に留置された貨車を持っていきます。

その後、今度は空コンテナが載った貨車をプッシュする形で工場へ持って行きます。工場入り口前にて貨車を切り離し、今度は単機で戻ってきます。切り離された貨車は翌朝までそのまま放置されます。

単機で戻ってきた後は多少ヤード内での入換が残っていれば入換を行い、終われば運転終了で、だいたい16時半にはすべて終わっていました。

なお、この伏木駅の小矢部川対岸にある高岡貨物駅の場内入換も同じく高岡鉄道産業が担当し、D351と同型のD352が活躍していましたが、2014年春にD352の運用は終了してしまいました。

PHOTO GALLERY

■伏木

・専用機が出庫、この車庫のシャッターが下がってたらウヤでした。

     -2008.8.2

・入換?と思ったらこの日は機関車の待機場所への移動だけでした。

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・機関車の待機場所は跨線橋の下、そう、暑さ対策も兼ねてました。

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・10時を過ぎJR機がやってきました。夏場の待機は結構大変。わたしも機関車と同じく陸橋下で待ちました。

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・JR機はヤード先端まで突っ込んでいきます。機関車から貨車を切り離したら後は待ちぼうけ。D351がすべての入換を担当します。

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・D351の入換スタート。伏木駅南側すぐにある踏み切りを跨いで入れ替えを行います。その間JR機は側線で休憩です。

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・入換が一段落するとJR機が動き出します。高岡に向けての整えられた編成の頭につけられ、発車時刻を待ちます。

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・こちらは午後の出発前。午後は少し絵面が変わりますが基本的には午前と一緒。

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・ヤードから工場への貨車の送り込みは機関車が後押しして進んでいきます。

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・午後の工場送り込みが一段落すると場内の入換開始。炎天下での作業、ごくろうさまです。

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・明日の列車の仕立てが終わると今日の作業はおしまい。

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・JR伏木駅は昔ながらの佇まいで味があります。

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・JR貨物の駅舎は旅客と別棟となっていました。旅客出入り口と反対側にありますが、かつてはこちら側が駅前だったそうです。

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■伏木~伏木工場

・専用線はおなじみのヘロヘロ。草ボウボウがいいですね。

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・まずは単機が工場へ行き、朝に工場内で仕立てたコンテナを取りに行きます。専用線らしい風景がいいですね。

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・コンテナは単に機関車を連結するだけなのですぐに折り返してきます。制限速度が低いのかかなりゆっくりとしたスピードで戻ってきます。

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・工場へバックで貨車を押して行きます。運転手さんは少々きつい姿勢・・。

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・再び単機で戻ってきました。工場への運転はこれで終わり。

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■伏木工場

・入り口に留置された貨車。境界越しに機関車同士が貨車をやり取り、しかもお互い顔も合わさないとは、なんとも不思議な運用でしたね・・・。

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・入り口付近にある建物はどうやら場内入換を担当する伏木海陸運の詰め所の様。場内専用DLはここに留置されていますが、全景の撮影は許可を得て場内に入らない限り不可能でした。

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□JR:伏木~能町

・伏木工場入り口からの撮影。街裏を走る雰囲気がありますがなかなか撮影がむずかしかった・・。

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・この案内板もなつかしのものに・・・。

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・小矢部川を渡るシーン。臨海鉄道の雰囲気がありました。

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□おまけ

・伏木のヤードを跨ぐ歩道橋はボロボロでとても渡れませんでした。もちろん写真のような通行止めの標識が出されていますが、なぜか日本語とロシア語が・・・。

   -2008.8.2

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