国鉄広尾線
帯広~広尾 84.0km
17駅:帯広、依田、北愛国、愛国、大正、幸福、中札内、更別、上更別、忠類、十勝東和、大樹、石坂、豊似、野塚、新生、広尾
保存施設公式サイト
旧幸福駅・愛国駅(帯広市サイト)
愛国交通記念館(GoogleMap)
大正ふれあい公園(GoogleMap)
幸福交通公園(GoogleMap)
忠類鉄道資料館(GoogleMap)
大樹交通公園(GoogleMap)
広尾線鉄道記念館(北海道サイト)
広尾線鉄道記念館(GoogleMap)
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国鉄広尾(ひろお)線は北海道帯広駅から襟裳岬方向へ十勝平野を南進し、海が迫る港町広尾までを結ぶ、全長84kmの路線でした。ほぼ平坦な路線を進むため、風景は特に特徴的なところではなかったのですが、沿線の鉄道への思い入れが強かったのと愛国・幸福きっぷブームで観光地化していたことから数多くの鉄道設備が保存されることとなりました。
国鉄廃止路線対象は路線長があったことから第二次路線としてエントリーされました。確か三セク案もあったと思うのですが、道路の整備も行き届き、平地を走ることからも冬季除雪の不安も山岳路線に比べて低かったことから、バス転換はスムーズに進んだのでしょう。
晩年は帯広と広尾で6往復と、路線長からは少ない本数でした。交換駅は大正、中札内、上更別、忠類、大樹の5駅あり、タブレット閉塞での運行となっていました。使われていた車両はキハ22と40がメインで、根室本線や士幌線との共用でした。概ね2~3両での運行だったと思います。起点の帯広駅は今と違って乗換主要駅としてちょっとした車庫なども併設してましたが、高架化でかつての雰囲気は消滅しています。
保存施設
旧広尾線の保存設備は道内最多の5施設。「愛の国から幸福へ」の縁起切符の効果もあったのでしょう、愛国駅と幸福駅は観光バスツアーに組み込まれるなど今だ人気スポットです。ただ一部老朽化も進んでおり、耐震性能からも、いつまで保存してくれるか微妙な感じです。
愛国交通記念館(旧愛国駅)
旧愛国(あいこく)駅を整備して公園化したところ。「愛の国から幸福へ」のブーム(たぶんいい日旅立ちの頃?)でかつては活況だったのか、駅前に連なる店が古い観光地のような雰囲気です(とはいえ大半が廃業している)。駅舎は当時のままで健在。おしゃれな赤屋根の特徴的な外観です。
またこの旧駅舎内には当時使用していた閉塞器やタブレット、写真パネルなどが展示されています。駅構内はできるだけかつてのままとしており、線路上に9600形SLが静態保存されています。
シーズン中は幸福駅に立ち寄る人々がここへも訪れるのでしょう、しっかりした駐車場が完備されてるにもかかわらず結構混み合います。構内レイールエンドには芝が敷かれ、簡単なピクニックも可能です。
ここへの足は車が便利。路線バスも走ってますが本数が少ないので事前に調べてから旅程を組みましょう。
大正ふれあい広場(旧大正駅跡地)
旧大正駅跡地に作られた公園。1997年まで当時の駅舎やホームが残っていたのですが解体整備され、単なるオブジェがある交通公園になってしまいました。以前訪れたときは日没エンドで撮影できなかったのですが、もったいないことをしてしまいました。
国道からは少し奥まったところにあるので見つけにくいですが、地図の特徴からなんとなくわかるようなところにあります。
幸福交通記念公園(旧幸福駅)
旧幸福(こうふく)駅をそのまま利用し公園化され、現在もほぼ当時のままの姿で保存されています。ここの魅力は何といっても今にも走り出しそうなキハ22とモーターカーが静態保存されていること。うちキハは駅のホームに1両とレール上に1両が保存されています。特にレール上のキハはちょうどカーブの上に止まってる感じに置かれ、パッと見には今でも生きている感じがします。
塗装も何度か施されているのか年数が経っている割にはきれいな状態です。 2007年に痛んでいた車両の塗装など新たに施されきれいになりました。
駅も当時のままの乗降場風のプラットホームをそのまま残しており、脇にある駅舎もそのままです。駅舎の向いにあった売店もそのまま残って営業を続けており、この売店では今だ記念乗車券を買うことができます。ほんとに何もかも昔のままなので広尾線はまだ健在?という気分になります。
ただ、今はもう完全に観光地化され、シーズン中はひっきりなしに観光バスがやってきます。外国からの旅行者(台湾・香港・韓国など)も多く、土産物屋さんも潤ってそうです。
この旧幸福駅への足は、帯広駅から広尾方面行きの十勝バスに乗車して幸福下車すぐ。車なら国道236号線を走り、南愛国を過ぎ幸福付近で左手にキハ22が見えてきたら路地を左折します。なお売店は夏季のシーズン中のみ営業しているようです。
ちなみに2013年度中に駅舎の建て替えが決定。今ある部材を極力使ってとのことですが、どこまで残るかわかりません。妙にきれいなただのオブジェにだけはならないでほしいです。
忠類鉄道資料館(旧忠類駅)
旧忠類(ちゅうるい)駅の駅舎と構内を保存した施設。交通公園として整備されるも敷地はかつてより少しコンパクトに縮小されています。廃止後はそのままの状態だったそうですが、大正駅同様老朽化で取り壊しになる予定だったのを地元住民の反対で残されることになったそうです。
ここの特徴は駅舎がリアルにしっかりと残っていること。当時の面影がそのまま残っている感じで、営業してるの?と思うくらいのすばらしい保存状態です。国道から少し交差点を入ったところにあるので見つけにくいですが(目立つ案内板がない)、バス停の待合室近くの交差点が駅への入り口となります。
構内にはワムやヨなどの貨車が数両静態保存されており、鉄道公園らしい風景です。ただ駅舎ほど力が入ってないのがちょっとだけ残念。もう少し構内が大きければいい雰囲気を残したのでしょうね。
私が訪問したときはホームの矢板が膨らんで崩れかけてましたが、駅舎の状態がいいので、ぜひとも整備されて元に戻ることを望みます。特に駅舎内は旧富内線富内駅に匹敵するすばらしい保存状態です。
大樹交通公園(旧大樹駅)
旧大樹(たいき)駅を公園化したところで、駅舎は最近まで当時のままの姿で十勝バスのターミナルとして使われていました。道の駅「コスモール大樹」が開業してからバスターミナルが道の駅へ変わり、現在はバス停留所として使用されなくなりました。現在駅舎は衛星放送会社?へ貸し出され、中に入れなくなってます。
バスターミナル時代は当時の思い出を綴る写真パネルやグッズ、資料等も展示され、待合室もバス待合室として使われていました。また窓口では鉄道時代と同様に硬券乗車券が売られていたため、駅舎内だけは当時の雰囲気が残っていました。
また、ホームには旧型客車が静態保存され、夏季シーズン中は休憩施設として使われていましたが老朽化のため2000年に撤去されてしまいました。 今は貸し出された駅舎と草に埋もれた線路が残ってるだけとなりました。コスモールのほうがにぎやかになって、かつての駅前のほうは静寂な住宅街の一部となっています。
ここへの足は案内板などがなくなったため、少々わかりづらくなっています。地図の地形を見て探すしかありません。なお住宅街に溶け込んでしまっているので空きスペースに車を停めての寝泊まりは不向きです。すぐ近くの道の駅のほうが便利です。
広尾線鉄道記念館‐広尾バスターミナル(旧広尾駅)
旧広尾(ひろお)駅の駅舎は廃止後は広尾バスターミナルの待合室として、また1987年7月に一部を改造して「広尾線鉄道記念館」を開設して当時使用していたタブレット類や写真パネル、模型などが展示されて現在に至ってます。バスターミナルからは広尾郊外や帯広方面の十勝バスと、襟裳岬や日高方面のJRバスが発着します。
駅舎自体は1977年竣工ということで当時は新しい建物だったことからそのまま残ることになったと思われます。廃止後しばらくは駅構内が残され、キハ22や貨車などが置かれてレールも残っていましたが、その後手入れされず老朽化し、現在はすべて撤去となっています。構内はアスファルトが敷かれて駐車スペースとなり、駅舎以外は駅らしさがなくなっています。
ただ駅舎内には改札口も残り、切符売り場では十勝バスの硬券乗車券が今だ販売されるなど、駅舎内は鉄道が走っていたときとあまり変わらない雰囲気があります。
駅構内一部はパークーゴルフ場とセットとなった広場「鉄道記念公園」となっています。
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