「輕鐵」は九龍半島の西部、新界地区にあるライトレールで、このエリアいったいをカバーする、かなりしっかりした路線です。1988年の新界開発に伴い運行を開始。以降路線延長を繰り返し現在の形になりました。すでに新界地区は100万人以上が暮らしており、この輕鐵はこの地域になくてはならない鉄道となっています。運営はもともと九廣鐵道が行っており、2007年12月の合併で香港鐵路の管轄となりました。 以前は香港中心部から新界までの交通機関はバスと船しかなく、少々移動が不便でしたが、2003年に西鐵線が開通してからは早い鉄道を利用しての移動が可能となり交通の便がとてもよくなりました。また西鐵線開業に合わせ天水圍ニュータウンの追加開発も行われ、輕鐵も天水圍エリアの路線延長と線路付け替えで大きく変わりました。 現在の系統は全部で13系統、西鐵線接続駅に系統が集まるように作られています(西鐵線との乗り継ぎ割引制度がある)。ここの特徴は電車がすべて片運転台で終点には必ずループ線があることです。区間運転や折り返し点でもループ線が分岐していたり、系統も複雑なので路線分岐のところもレールがごちゃついてなにか実物大の鉄道模型といった感じさえします。 車両は122両の大所帯で、製造時期によって4タイプあります。車番 1001~1070 までが開業時に導入されたオーストラリアComeng製、1071~1090、1201~1210が日本川崎重工業製、1091~1110が第3期増強用のオーストラリア Goninan製、西鐵線開業で近年増強されたのが車番1111~1132のオーストラリアGoninanの中国製車両です。 通常1両または2両で運転され、車両間の移動はできません。ほとんどが専用軌道を走り、また高架橋も走るため意外とスピードが速かったりします。 車両外観は最近導入の中国製以外はほぼ同じステン車体に紺と赤のストライプが入った重厚な外観、中国製は白地にピンク系のラインが入った軽快な塗装となっています。 車両の色はもともとはオレンジ基調でアメリカチックなライトレールでしたが途中でかつての九廣鐵道カラーの、藍色と紅色に塗り替えられました。 内装は進行方向が一定ということからバスタイプの進行方向に椅子が向いた固定シートでプラスチックの駅のベンチみたいな椅子が使われています。ドアも進行方向左側のみについています。 輕鐵はライトレールということですが床は鉄道と同じくらい高いので、ホームは普通の鉄道のようになっています。なので専用軌道部分では小さなローカル私鉄の雰囲気があります。 運賃はエリア制になっていて乗車の際に乗車券を購入しますが、ほとんどの乗客はオクトパスカードを使っています。信用乗車システムを導入しており駅には改札がありません。ばれなければ無賃乗車もできますがもちろん違法、罰金は運賃の50倍となっており、結構なお金を払う羽目になるので絶対にやめましょう(抜き打ち検札がある)。 なおオクトパスカード利用の際は乗車のときにもホームパネルにタッチするのを忘れずに行いましょう。検札時に乗車記録がないと無賃乗車扱いになって罰金です(端末にタッチさせて検札します)。もちろん下車時も忘れずにタッチを。次に乗るときややこしいことになります。 「輕鐵」路線系統図 ©香港鐵路 KCR時代「輕鐵」路線系統図 ©九廣鐵路 (参考)西鐵開業前路線系統図 沿線風景 車窓は尖沙咀あたりのザ・香港といったような喧騒とした雰囲気はまったくなく、「人工的に作られた」というのが直接伝わってくるような、モノトーンな町並みが続きます。60階建てクラスの超高層マンションがいたるところで乱立し、ちょっと違和感を感じます。 屯門あたりは古くからの開発エリアで団地群はちょっとくたびれた感じがあります。天水圍あたりはビルとビルの合間の緑地帯に列車が走るといった風景で、一味違った香港を楽しめます。 元朗あたりは香港らしいごちゃついた感じがあり、お店も多くちょっとした繁華街という感じです。このあたりでは路面電車風に道路の真ん中を走ります。 なお、「屯門碼頭總站」からは空港へのフェリーがあり、ラオタン島へ行くことが可能です。また元朗に併設されているバスターミナルからは「東鐵」の上水駅へ接続するバスが運行されています。香港の交通システムは日本と同様に発達していますので乗りこなしていろいろ探検してみてもおもしろいでしょう。 撮影ポイント トラムなのでいろんなところで撮影ができます。気に入ったところでカメラを向けてみましょう。 旅メモ 半島一周の乗り物の旅で訪れるといいでしょう。詳しくは東鐵線のほうをご覧ください。 輕鐵区間においては、観光スポットらしきものはありませんが、気の向いたところでふらりと降りてみてもいいでしょう。天營(旧天水圍總站)近くにはスーパーマーケットがありますので異国での買い物も楽しめます。 |
|
■大興南(2002.2.24) |
・このあたりは高層ビル群というより低層アパートが並び、街の雰囲気も少し違います。なんとなく欧米のニュータウンっぽい雰囲気があります。 1 2 3 4 5 6 7
|
■銀圍~大興南(2002.2.24) |
・このあたりは専用軌道を走りますが小さなカーブが続きます。 1 2
|
■澤豐(2002.2.24) |
・分岐点のRは結構きつい。車体は大きく線路をはみ出し遊園地のジェットコースターのよう。後ろの高架橋は建設中の西鐵。 1 2 3 4 5 6 7 8
|
■天水圍總站(2002.2.24) |
・西鐵開業に合わせこの天水圍總站は現在「天營」と改名され、ループ線もなくなったようです。このあたりはザ・香港のニュータウンというようなところです。 1 2 3 4 5 6 7
|
■洪水橋~灰沙圍分岐(2002.2.24) |
・緑の木々の中を行くシーンが欧米チック。 1 2 3 4 5 6 7
|
■灰沙圍分岐(2002.2.24) |
・分岐は一旦外側にレールをまいてRを小さくする工夫がなされています。なんとなく実物大の模型のような感じもします。 1 2 3 4 5 6 7 8
|
■坑尾村~灰沙圍分岐(2002.2.24) |
・ちょうどこのあたりは開発に取り残された感じがして違和感があります。遠目には天水圍の高層ビル群が迫ります。 1 2 3
|
■灰沙圍分岐~塘坊村(2002.2.24) |
・日本の郊外のニュータウンのような感じもします。緑がきれい。 1 2
|
■屏山~塘坊村(2002.2.24) |
・区画がきれいに整理され街もきれいでのどかな風景です。 1 2 3
|
■屯門(2010.10.31) |
・郊外にある巨大なターミナル駅の感じ。乗り降りする人が多いので余計にそう感じます。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 |