フランスの鉄道 TITLE
Last Modified :2011.11.12
フランスの鉄道とは?

フランス国鉄路線図(PDF(C)SNCF) フランスは全線で約4万kmを要する鉄道を持つ、また、世界一早いTGVなど を開発した鉄道大国です。フランスの鉄道はそのほとんどが国や自治体によって 運営されています。全国をカバーするのはSNCFの略称であるフランス国鉄が 担います。また、南西部やコルシカ島にはナローの鉄道も現存します。


フランス国鉄(SNCF)

フランス国鉄(SNCF, Société Nationale des Chemins de fer Français)は、日本の旧国鉄同じ国有鉄道となっています。運営は上下分離となっており、線路や駅などの鉄道インフラはフランス鉄道線路事業公社(RFF)が保有、フランス国鉄は、列車の運行、鉄道車両の保有・管理を行っています。パリとベルギー・オランダを結ぶタリス号が夕暮れの北駅に到着。将来の民営化を目した上下分離ですが、国有意識の強いフランスではなかなか進みそうもありません。

路線はその半分が電化され、パリ近郊とフランス南部が直流、東部や高速列車専 用線のLGVは交流となっています。全長31,840kmで複線区間は2割となってい ます。通行は一部区間を除き(Alsace~Moselle)左側通行です。軌間はすべて 1435mmとなっています。シャルル・ド・ゴール空港へ乗り入れるRER

パリ市内のRER(エル・ウー・エル)はC線、D線、E線はSNCFが運行、A線と B線はRATP(パリ市交通公社)との共同運行となっています。またパリ近郊 列車はトランジリアン(Transilien)と呼ばれ、RERの中心部地下乗り入れがない バージョンと思っていただければいいでしょう。H、J、K、L、N、P、R、Uの8系 統があります。

路線はパリを中心に放射状に伸び、ベネルクスやドイツ方面への路線が発達して います。南部への路線はパリから地中海の町ニースへ至る路線が幹線です。主要 都市にはTGVが乗り入れ、途中区間もLGVと呼ばれる高速列車専用線を走り ます。

車両はTGVのような流線型のスタイルの良いものからゲンコツタイプと呼ばれ る見てくれの悪い機関車までバラエティーに富んでいます。配色はそれぞれ特徴 ある配色となっており、特に蛍光色や淡色系を上手に使っているところがフラン スらしいところです。ローカル線はいい感じ

列車運行は都市交通を除き基本形は機関車+客車であり、ローカル線などでDCが運転されてい ます。TGVもプッシュプルタイプの機関車+客車+機関車であり、動力分散型 の列車はRERや都市部の近郊電車となっています。ローカル線ではたいてい の場合2両セットのDCや電車が運行します。

TGVはフランス域外へ向かう方向(国際列車)やタイプによって名称がありま す。たとえばユーロスターは専用のTGV編成を使用(ユーロスター社が運 行)、ベルギー・オランダを結ぶタリスも専用のTGV編成を使います(タリス 社が運行)。航空券のようなSNCFの中長距離用乗車券。

もちろん列車によっては快速運転などやって実質急行列車というようなものが存 在します。また国際急行列車を表すECタイプの列車(機関車+客車編成)はフ ランス内では「コラーユ(Corail)」と呼ばれます。国内急行のインターシティ クラスはTER(テー・ウー・エル)と呼ばれ最高速度200km運転も行います。

その他夜行列車など国境を越えて走るもにはそれぞれ愛称がついていたりします。

列車の料金区別は日本のように特急か普通かのような区別がなく、TGVか否か という料金差です。TGVは料金が少し高くなりますが速達性を考えればそんなものかと。ただ座席はリクライニングも転換できない固定クロスシートが多く、ドイツのICEに比べると住空間はあまりよろしくありません。


パリ市交通公団 (RATP)

パリ市交通公団:Régie Autonome des Transports Parisiens (RATP:エル・アー・テー・ペー)はパリとその近郊における公共輸送を担う、公共団体です。

メトロと呼ばれる地下鉄、バス、トラム、RERの一部を統括しパリ全体を網羅します。1948年3月に創設され、以降、パリの公共交通は国鉄管轄を除きすべてRATPが運営管理しています。

地下鉄は14路線あり、ゴムタイヤ式列車が走ることで有名です。白地にライト グリーンの車両が象徴的です。地下鉄の高速線の役割を果たすRERは5路線あ り、そのうちA線、B線が国鉄との共同運行路線となっています。運転される列 車は国鉄のものが主体で基本はSNCFです。メトロマップ

トラムは現在4路線あり、T3、T4路線は2006年に開業した新しい路線です。 環境負荷低減の流れで全廃されたパリのトラムは見直され、貨物線のトラム転用 や廃線の一部を使った新線建設など進められ現在の形となっています。T1、T2ラ インはパリ市の外側でRATPのテリトリーから外れていますがRATPが経営します。 またT4はSNCFが運営します。フランスの都市交通のキップは日本のバスの整理券のような大きさの厚紙タイプがほとんど。写真は一世代前のインクタイプで今は感熱紙タイプが主流。

最近、RATPはパリだけに限らず、アメリカやドイツなどで公共輸送のパートナーとして参画するなど、積極的な経営展開を図っています。

なお、RATPのロゴはなんともフランスらしいデザインですが、この少し上を見上げる、女性の顔っぽい形にはちゃんとした意味があり、イル・ド・フランスを表すサークルとセーヌ川を模式化したもの・・・だそうです。

<地下鉄&トラム路線>

 Métro ;  1 · 2 · 3 · 3bis · 4 · 5 · 6 · 7 · 7bis · 8 · 9 · 10 · 11 · 12 · 13 · 14
 RER ; A · B · C · D · E (A・BはSNCFとの共同運行、C-EはSNCF)
 Tramway ; T1 · T2 · T3 · T4(SNCF)



その他の都市交通

パリ以外の街にも多くの都市で地下鉄やトラムなどの路線があります。地下鉄(Métro)は、Laon、Lille、リヨン(Lyon)、マルセーユ(Marseille)、(Rennes)、(Toulouse)に走ります。ゴムタイヤにガイドレール1本のトラム・・・これは鉄道か・・ナンシーを走るGLTシステムのトラムは鉄道なのかバスなのか微妙な存在。

一方トラムはモータリゼーションでフランスは積極的に廃止してきましたがここにきて環境対応で復権、パリ同様に路線復活が相次いでいます。Bordeaux、Caen、Grenoble、Lille — Roubaix — Tourcoing、Lyon、Montpellier、Mulhouse、Nancy、Nantes、Orléans、Rouen、Saint-Etienne、Strasbourg、Valenciennes となっています。

現在建設中のものとして、Angers、Le Mans、Marseille、Nice に、また計画されている都市としては、Brest、Le Havre、Le Mans、Reims、Toulon、Tours、Fort-de-France があります。

なお、これら都市交通は自動車のような存在と捉えられておりそのほとんどが右側通行となっています(リヨンの地下鉄は左側通行)。


私鉄・保存鉄道・観光鉄道

ほとんどの鉄道が国鉄または地方自治体が運営していますが、少なからず私鉄も存在します。 CFP(Chemins de Fer de Provence):プロバンス鉄道は地中海に面するニース(Nice)とディグネ(Digne)を結ぶ狭軌鉄道で全長151Kmのローカル線です。小さなDCが山岳地帯を走る味のある鉄道です。その北、グレノーブル(Grenoble)の南にあるChemin de fer de La Mure:ラ・ミュール鉄道はもともと石炭輸送用に作られた鉄道ですが石炭輸送終了後は観光鉄道として再生され、ELが客車を時速30Km/hとかなりゆっくりしたスピードで走ります。

地中海に浮かぶコルシカ島にも鉄道が走ります。全線非電化狭軌のChemins de fer de Corse(CFC):コルシカ鉄道は島を3方に横断する路線を持っています。運営管理はSNCFが行っていますが線路はへろへろ。車両もおんぼろばかりでしたが最近新型車両が導入されました。

アルプスの中でも有名な山のひとつ「モンブラン」のふもとを走る登山鉄道のTrain du Mont-Blanc (Ligne de Saint Gervais - Vallorcine):モンブラン鉄道は非電化ラックレール式のメーターゲージのめずらしい鉄道です。SNCFが運行しています。モンブラン鉄道からはモンブランへ上るケーブルカーが2路線あります。

この他にもSNCFのスペイン国境付近を走る路線(アンドラ付近)にラックレールの区間があります。

その他、各地に保存鉄道などもあるようですが、イギリスやドイツほど活発ではありません。


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