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ダーウェント線は、もともとダーウェント川を遡ったメイデナ(Maydena)の街とホバートを結ぶ路線でしたが旅客の廃止ならびに貨物のトラック化などで現在ニュー・ノーフォーク(New Norfolk)までの路線となっています。
ニュー・ノーフォークといっても列車はその手前のボイヤー(Boyer)にある製紙工場までの使用となっており、さながらローンレストン~ホバート幹線から伸びる工場専用線といっていいでしょう。
ニュー・ノーフォークには保存鉄道のダーウェント・バレー鉄道(Derwent Valley Railway)の拠点があり、駅自体が同鉄道の保存施設となっています。この鉄道はニュー・ノーフォークから以西のメイデナ手前のナショナル・パークまで運行してましたが、2005年から線路の老朽化で政府から運行停止命令を食らい、活動休止状態となっています。
またダーウェント・バレー鉄道はニュー・ノーフォークからこの線を介して本線上へのツアー列車も運転されてましたが、こちらも同じく運行停止状態となっており、また指摘された保全を完工するには費用も必要とあってこのままシャットダウンになりそうな雲行きです。
すでに製紙工場から以西は荒れ放題となっており廃線状態となっています。ダーウェント川を渡る鉄橋がいくつかあり、景色もいいので保存鉄道としてはなかなかいいのですが・・・州からの援助でなんとか復活してもらいたいものです。
さて、このダーウェント線ですが、運行される列車はボイヤーにある製紙工場の貨物輸送のみで、資材や出荷製品をコンテナで、他、石炭、木材などは貨車を使って編成が組まれます。運転日は需要動向によって変わりますが、概ね月・水・金・日、1~2往復の設定があります。
ここの製紙工場はノルウェーの製紙メーカー「スコグ社(Norske Skog)」のボイヤー工場で、主は新聞紙用紙ロール、特殊用紙を生産しています。
系統は、バーニーからデボンポート、ウェスタン・ジャンクションを経て工場まで来るルート、ベル・ベイからローンセストン、ブリッジ・ウォータージャンクションを経て工場まで来るルート、ホバートから工場へ来るルートの3つのパターンがあります。
また、バーニーやベル・ベイからの列車は、コナラ・ジャンクションでフィンガルからの石炭列車を一部連結してボイヤーまで運ばれます。またトンガナの木材工場からも木材が運搬されます。
ホバートからの列車はブリッジ・ウォーター・ジャンクションの先、バーニーなど北から来る列車と列車交換となるブライトン信号所(Brighton Siding)で簡単な貨車入れ替えを実施します。ホバートからの貨車をここで切り離しボイヤー工場行きに連結、逆にバーニーやベル・ベイからホバートまで運ぶものを切り離してホバートに持って帰ります。
ホバートからベル・ベイやバーニーへの列車の設定もありますが、基本はボイヤーの製紙工場仕立ての列車に増解結されるケースが多いようです。
なお、この支線もかなりの重量物を運ぶにも関わらず路盤は貧弱で、なんか応急処置的な対応をしているところが結構あります。運転スピードもあまり速くなく、大量に物流するという点だけが訴求ポイントになっているようです。
現在、タスマニアの鉄道を支えているのは、この製紙工場の貨物とフィンガルの石炭、レイルトンのセメント、ジーハンの亜鉛鉱石となっており、この工場の取引がなくなるとコナラ・ジャンクション以南の路線は廃止されることでしょう。物量が多いため当面貨物輸送がなくなる心配はなさそうです。
旅メモ
せっかく島に来たなら州都ホバートへ行きたい、という際に立ち寄る鉄道です。本数が多く、列車をつかみやすいのが特徴です。運行は夕方が中心のため、日の長い夏場(日本の冬)がお勧めです。ただし、運行が隔日運転であったり突然のウヤも多いのでキャッチするならしぶとく待つしかなかそうです。
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