鉄道がある風景  

←BACK  
PHOTO→  


   Page Start 2010.7.31 最終更新日【2011.2.9】  

「The Savannahlander」
 サバンナランダー号(ケアンズ~フォーサイス)

DATA
Queensland Rail
Cairns-Forsayth 423.26km
Operated by Cairns Kuranda Steam Train Limited

路線案内図


QLD North RailMAP (ARM)
クイーンズランド北部を4日かけて往復する「サバンナランダー号(The Savannahlander)」は辺境の地を走る「ガルフランダー号」に並ぶ、アウトバックを行く有名な観光列車です。

何といってもその特徴は全行程850kmの道のりを4日かけて運転されること。1960年代に作られた2000系ディーゼルカー「The Silver Bullet」を使い、当時のままの内装でその懐かしさを醸し出します。

運転は例年3月中旬から12月中旬までの雨季を外した時期に運転されます。雨季には集中豪雨が多くなり突然の雨で線路が流されることがしばしばあり、安全を考慮し運転されません。

お客さんは初老の人たちが多く、かつて乗った懐かしの列車でちょっとワイルドなアウトバック旅行をする というテーマが受けています。

この列車の運行はQRではなく、「ケアンズ・キュランダ・スチーム・トレイン社(Cairns Kuranda Steam Train Limited)」がQRの路線を借りて運行しています。

もともとこの会社は名前の通り、ハイシーズンにケアンズから観光地のキュランダまでのSL観光列車を運行していたのですが、本業のほうを数年前に撤退。今はサバンナランダー号を運行する観光鉄道会社となっています。

運転パターンは独特で、水曜日の早朝にケアンズを出発。いくつかの停車と観光ポイントを周ってのツアーとなっており、金曜の夕方にケアンズに戻ります。すべての行程に参加する人が多いですが、一部だけの乗車も一応OK。

感覚としては鉄道に乗るというのではなく観光バスツアーに参加するイメージが正しいでしょう。運転手はヘッドマイクで喋りまくり、ユーモアを交えた楽しい旅行を体験できます。

大半の路盤はくたびれており、乗り心地はかなり悪いといってもいいでしょう。またエアコンもないため乾季の晴天時の乗車では干からびそうになります。しかし、途中での小休止や観光を織り交ぜ、退屈しないよううまく旅程が練られ、長い往復旅行でも飽きない工夫がなされています。


沿線風景

サバンナランダー号はケアンズを早朝6:30に出発、まだ観光客が寝静まってる中をキュランダ観光鉄道と同じルートで山を登っていきます。

途中、パンフレットに必ず載ってるストーニークリーク滝の鉄橋で停止。鉄橋上に下車でき、列車と滝との写真撮影もできます。キュランダ鉄道だとここは通過なので貴重な体験ができます。

続いてキュランダ鉄道が必ず停止するバロン滝で同じく小休止。バロン滝駅から名物の滝見物を行います。次の停車駅はキュランダで、ここから参加の観光客を乗せます。

その後はブッシュやサトウキビ畑などが続く風景の中を最高時速50kmというゆっくりとしたスピードで進んでいきます。

次の停車駅であるマリーバ(Mareeba)はアサートン高原の玄関町。乗降がある場合のみ停車となります。続いて時刻表ではディンバラ(Dimbulah)が停車となってますがお客さんの乗降は基本的にありません。

マリーバの先、アリガ(Arriga)まではサトウキビ工場向けの貨物列車が季節運転されています。そのためアリガまではしっかりした路盤の上を走りますが、アリガから先は丘陵をアップダウンしながらのヘロヘロ線路に変貌。まさにアウトバックの中を走る荒野の鉄道となります。木製鉄橋を渡るサバンナランダー号

ぐにゃぐにゃ線路をゆっくりと進み山間の小さな駅アルマデン(Almaden)に到着。ここで昼食タイムとなります。

そして列車はこの日はここで運転終了。大半のお客さんはセットになっている洞窟ツアーならびに少し奥にあるチリゴー(Chillagoe)で泊まるためバス移動です。

翌朝アルマデンからはチリゴーからのバスが到着後に出発。途中運転停車を行って小川べりなどを散策する「朝のティータイム」が設けられています。

小休止の後、次の駅である変わった名前の街マウント・サプライズ(Mt. Surprise)へ。昼食をここで取るためしばらくの小休止となります。2日目にして久々の街となるマウント・サプライズも2分も走れば街はずれに。列車は再びブッシュの中を進み次の駅エリナスレイ(Einasleigh)へ向かいます。

エリナスレイの手前にはこの路線の目玉でもある木製鉄橋があり、その手前で一旦停車となります。まずは鉄橋手前で下ろし、鉄橋がかかるカッパーフィールド(Copperfield)川の川床にある溶岩台地へ案内されます。もともとマウント・サプライズ周辺は大昔火山でその名残がこのあたりにいろいろ残っています。へろへろすぎて困っちゃう!線路を行くサバンナランダー号

ちょうどその溶岩スポットから木製鉄橋が遠目に伺えるのですが、乗客サービスとしてわざわざ鉄橋に列車を移動させて鉄橋をわかるシーンを撮影させます。なかなか憎らしい演出で、撮影が終われば再び鉄橋手前に戻ってお客さんの帰りを待ちます。

20分ほどの観光の後、今度は列車に乗ってこの木製鉄橋を渡ります。このカッパーフィールド鉄橋はすべて木でできているため列車が走るとちょっと軋むのがスリリング。ゆっくりと渡り切ると小さな集落の街エリナスレイに到着です。

エリナスレイでは開拓時代の歴史ある建物が駅前にあり、その見学に運転停車。10分ほど停車した後、終点のフォーサイス(Forsayth)へ向けラストスパートです。

ここから先はまるで獣道に線路を敷いたようなカーブとアップダウンが続きます。マウント・サプライズからの線路もぐにゃぐにゃカーブしていたのですが、この区間はさらにエスカレート。ユーカリ林をウネウネと進み少し時間のかけて進みます。もう嫌気がさしてきた頃ディレーニー峡谷を渡り、ようやく終点のフォーサイスに到着。

フォーサイスは終着駅らしく小さな駅で、荒野の開拓時代の雰囲気がある、なんともいい感じのザ・終着駅です。ここからは観光バスに乗り換え、コボルド峡谷ボートツアーなどの観光がセットされ、ここフォーサイスで宿泊となります。

帰りはフォーサイスを朝に出発しマウント・サプライズまでを走ります。途中のエリナスレイで別の観光ルート参加者をピックアップ。その後マウント・サプライズまでの途中にある鉱山跡にて小休止。次の停車はマウント・サプライズで3日目はここで終了となります。

マウント・サプライズ下車後は壮大な洞窟などがある観光地アンダラ(Undara)へ移動し観光後宿泊先へ。ツアーに参加せずマウント・サプライズにも残れるようですが、見所あるアンダラ訪問がお勧めです。

最終日は宿泊先からマウント・サプライズへ移動。列車は朝8時過ぎにマウント・サプライズを出発します。アルマデンで再び停車し昼食の小休止を行います。その後ディンバラでティータイムの停車を経て、列車は旅の終わりに向けラストスパート。キュランダを過ぎるとケアンズに向け一気に山を降り、夕方遅くにケアンズ到着。みんなお疲れ様という雰囲気で4日の長旅がやっと終わります。


旅メモ

マイナーな観光地までを押さえつつ、ダイナミックな風景の中を4日もかけて走るサバンナランダー号は一度は乗ってみたい鉄道。シーズン中はなかなか予約が入らないため、できるだけ早めに予約を押さえておくのがポイントです。

またいろいろ区間乗車を交えた旅行パッケージもあるのでケアンズなどで手配することも可能のようです。ケアンズ~キュランダまでのショートトリップもできるようです。

逆にパッケージ・ツアー「アウトバック・サバンナ・チャレンジ」という、サバンナランダー号にガルフランダー号の乗車までつけたロングトリップもあります。

なお乗車には必ず予約が必要で、当日乗車券を買ってふらっと乗ることはできませんので注意。


撮影ポイント

アウトバックを行く列車なので車は必須。手軽に撮影できるのはケアンズ郊外。比較的線路の際を道路が走るため、好きなところで車を止めて撮影に興じてください。 キュランダの奥、マリーバ周辺も線路脇が開けており、並行する道路からやクロスする踏切からも手軽に撮影できます。こんなトレーラーが頻繁に走っているので州道走行時は要注意

アウトバックの雰囲気を撮るならマウント・サプライズ~エリナスレイがお勧め。車でのアクセスが容易です。ただ、並行する道はすべてダートで、また枯川に橋のないアップダウンの荒れた道です。きついカーブも多く、運転はかなり疲れます。ただエリナスレイの木製鉄橋は周りが開けているので撮影にうってつけ。

なお、要注意なのがエリナスレイからフォーサイスまでの道路。かなり荒れており、フォーサイスへは面倒でも州道1号線ジョージタウンからフォーサイスに分岐する道路からアクセスするのが賢明です。(アウトバックの道は途中で通行止になってることも多いです)




「鉄道がある風景」/RailScape
Copyright ; © Yukihiro Minami, All rights reserved. / 版權所有 不得轉載

当サイトの写真・ページ等の転載、商用でのご使用はご遠慮いただいています。また写真の貸し出し等は理由如何に問わず行っていませんのでご了承ください。リンクはフリーですが、トップページにお願いします。なお「相互リンク」は管理上お断りさせていただいてます。ご了承ください。
Copyright Notice: All images on this site are © Copyright and remain the property of the photographer "Yukihiro Minami" and other photographers, copyright persons. These images may be downloaded and be used for non-profit personal use. Any other use of these images is strictly forbidden.