![]() この林口線は全線非電化の単線で、開業は1961年と比較的新しく、林口への火力発電所に石炭を運ぶ目的で作られました。石炭列車は台中港から縦貫線を経て林口までをつないでいましたが、使用する石炭が2008年に開港した台北港(発電所から8km先)から運ばれることになり、以降は大半の石炭が船輸送に切り替えられ、金・土・日・月限定での変則運行となってました。 また沿線工場への引き込み線での荷扱いも中油や嘉新水泥、台湾水泥へ伸びてましたが、2009年3月末に石炭以外の最後の定期顧客であった台湾水泥の貨物も廃止され、この時点で当初目的の貨物線としての使命は終えました。 ![]() 旅客列車の運行自体は台鐵が代行、当初台湾製のDC「DR2511/2512」が専用で使われ、予備車扱いだったDR2510形車両は開業に合わせてきれいなマーキングフィルムで化粧アップされていました。その後車両の調子が思わしくなくなり、通常はもっぱらDR1000の2両編成が運行されていました。 2009年8月には旅客区間が長興から先3.9kmの海湖駅まで延長され運転区間が拡大。 設けられた乗降駅は桃園、桃園高中、寶山、南祥、長興、海山、海湖の7つで、旅客開始にあわせホームが新設されました。ただ路盤は支線のままなので高速運転ができず、速度はかなりゆっくりでしたね(最高時速は30km/hに設定されている)。 運行ダイヤは平日朝夕の2往復(たまに学校休校日などに長期運休がありました)、単純に桃園から海湖へ行って帰ってくるだけの、まさに試験運転というダイヤでした。無料のため、夏場の夕方便では冷房の効いた車両で夕涼みする親子連れなども乗車してました。使われる車両は朝夕とも樹林から桃園へ回送され、発車前に林口線へ転線。往復の運用が終わるとすぐに桃園駅待避線へ転線し樹林へ回送されます。 ![]() なお、林口線は沿線の住宅開発が進んでいることから、一時電化複線化の検討もありましたが、あまりに路盤が貧弱なため電化・複線化(捷運化)が見送られ、路線の一部を使ったBRTなどが検討されているようです。 ただ、捷運建設までには時間があることから、終点林口までの旅客延長や日中の運行計画があったり、火力発電所付近の海沿いを走る部分でのトロッコ列車の運行といった企画も出ています。(一応トロッコ列車は「2008年中に運行」とのことでしたが未だ走らず状態、代わって台鐵が旧型客車の臨時列車を運転しました)。 なお、この林口線は公式には桃園駅の高架化工事のため2013年1月から5年間運休となってますが、桃園駅にあった貨物ヤードは撤去され、将来性もないことからこのまま廃止されるものと思われます。 貨物輸送での林口線はこちら でご紹介 沿線風景・路線紹介 起点となる桃園駅は台鐵桃園駅より少し外れたところにありました。正面出口を出て右手に駐車場を横切って乗り場まで進みます。小さな案内の看板と、ホーム際にある大きな案内ポールがあるので迷うことはありませんがまわりが結構私有地っぽいので乗客がいないとここでいいの?って感じでした。 桃園駅ホームは1面1線で2両分しか有効長がない小さなホームで、まるで仮設ホームの様相。駅を出た列車は本線と少し平行で走ったあと左へと大きく曲がり市街地へと入っていきます。 最初の駅、桃園高中はその名のとおり学校の前に設けられた駅で、朝夕とも桃園高中の生徒がかなり乗り降りしてました。特に朝は桃園~桃園高中が結構ギュウギュウ詰め状態でした。 桃園高中からは南祥にある南崁高中の生徒たちが乗ってきます。列車は左手に高層マンション群を眺めながら市街地を進んでいきます。南祥では南崁高中の生徒が乗り降りします。路線延長したとはいえ、実質旅客扱いが機能しているのは桃園~南祥までと思われます。 寶山を過ぎると右手に工業地帯が見えてきます。中油(旧 中國石油)の製油所への引込み線跡、つい最近まで荷扱いがあった台湾水泥の専用DLなどを見つつ工場裏手を進んでいきます。 ![]() 新幹線のガードをくぐってしばらく走ればかつての終点長興駅。駅前には特に店があったりするわけでもない、ただ線路脇に仮設ホームを作ったような駅で、少々お粗末です。夕方だとここでパラパラと人が降り、線路脇に止めておいたバイクに乗ってみんな家路についていきます。 かつて折り返し点だった「客車折返點」の看板を右に見つつ、しばらく走ると2013年開業予定の空港連絡鉄道(機場捷運)の工事中の高架橋をくぐります。 このあたりからは一気に田んぼが広がる田舎の風景になってきます。海山を経て終点海湖駅も回りに民家がある程度のホームだけの駅で、なんとも愛想がない風景でした。 列車は踏み切り操作の関係上、お客をおろしてさらにその先に進んでいきます。2.5kmほど先に新しい「客車折返點」が設けられ、ここまで列車は行ってしまいます。時刻表では折り返し時間が結構あるように見えますが、折り返し点での停車時間5分を見込んだダイヤ設定となっていました。新「客車折返點」は海岸沿いへ入るぞというちょうどギリギリのところにあり、なんなら林口終点まで走ればいいのにという距離でした。 桃林鐵路では林口側終着駅では下車せずにそのまま乗って折り返してもよいルールがありました。私の乗車時も結構乗っていってしまう人がいました。この事情がわからないと「あれれ?しまった!?下車したらすぐに列車が行っちゃった!まずい!」となるのですが折り返し列車として戻ってきます。これは折り返し列車は踏切操作のため途中駅と同じ客扱いをして客車折返點なで列車を前に進めるため。ちょっと日本人には不思議な仕様でした。 ちなみに終点に着いても乗りっぱなしのお客さんは旅行者や鐵道迷だけでなく、地元の単なる夕涼み組や暇つぶし組の常連も結構いました。さすが台湾。 |
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■桃園 |
・乗り場は台鉄と分けられており、いったん改札を出て乗り場まで少し歩く必要がありました。看板があるので大丈夫ですが初めてだとこんなところに駅があるの?と不安になりますが、指示通り、駐車場の中を突っ切ると駅がありました。 1 -2007.4.30
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・駐車場の奥にホームが見えてきます。大きなポールが立っているのですぐにわかります。無料運転ということで改札もありませんでした。
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1 -2007.4.30
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・夕方便の長興行はあまりお客さんが集まりません。
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1 2 3 4 -2007.4.30
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・駅のプレートは台鉄に準拠したもの。
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1 2 -2007.4.30
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・折り返しの列車は桃園高校などの生徒で盛況。
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1 2 3 -2007.4.30
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・久々に再訪問。朝の折り返し列車は乗客もなく閑散とした状況。
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1 2 3 4 5 6 -2009.3.20
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・海湖延長での再訪問。今度は朝発での挑戦。桃園高中生徒が列を成して乗車待ち。進学校だけあって勉強も熱心。
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1 2 3 4 5 -2010.4.2
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□車内 |
・DR1000のロングシート版はなんだかだだっぴろく安っぽい感じ。DR2510も同様の内装だ。隅っこの席はカップルに人気。 1 -2007.4.30
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・列車は高校生でいっぱいになりますが、混雑というところまでは行きません。どこで買ってきたのかわかりませんがカップラーメンをすすっている学生もちらほら。派手なジャージ系の制服は台湾ならではのもの。原色・ド派手なジャージは日本人には奇異に見えます。
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1 -2007.4.30 2 -2010.4.2
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■桃園~桃園高中 |
・市場付近を走るこのあたりは遊歩道が整備され、桃園駅からも歩けない距離ではないため、撮影に適しています。この日は石炭列車がウヤ。代わりに同じ筋に工臨が入ってました。 1 2 3 4 5 -2011.5.3
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■長興 |
・ホームだけのシンプルな駅。かつての終点駅。 1 -2007.4.30
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・一日2往復の列車が印象的。
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1 2 -2007.4.30
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・列車発着時には台湾らしいおっさんが登場。列車の折り返しの際のホームでの安全確認が任務。
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1 2 -2007.4.30
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・昔はここで折り返すとはいえ結構遠くまで行っちゃうので不安になりました。折り返し地点で列車は長興発車時刻あたりまで待機しています。
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1 2 -2007.4.30
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・折り返し列車がやってきました。これが本日の最終列車でもあります。お客さんを乗せたらすぐに発車。
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1 2 -2007.4.30
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■海湖 |
・いまの終着駅。1面1線の単純な構造。昔の長興駅折り返しと同じく、列車到着後すぐに林口方面へ発車してしまいます。なんと、そのまま乗っていくことも可能でした。 1 2 -2010.4.2
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・まだ出来たてという感じの駅ですが、利用者がいるようには見えません。
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1 2 3 4 5 -2010.4.2
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・林口方面から折り返し列車が戻ってきました。時刻表上では折り返し列車が到着後海湖駅に停まったままと思ってしまいますが、発車時刻に実際に列車がやってきます。
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1 2 3 -2010.4.2
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・乗客が乗り込むとすぐに発車。どの駅にも保安要員としてバイトのおっさんが列車発着時にやってきました。
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1 -2010.4.2 |