解説

集集線は台湾中部、縦貫線二水から濁水渓沿いに内陸部に向け分岐する支線で、観光地として名高い日月潭に近く、またそのローカル風情の良さから台湾でも人気のある路線です。週末になると観光客がわっと押し寄せ、ローカル線と思えないほど列車は混雑します。この線のシンボル的存在である集集駅は訪れる人が絶えません。

台北からは高鐵で台中まで、台鐵に乗り換えて(台鐵駅は新烏日駅)集集線直通列車で来るのが便利です。利用には何度も乗り降りできる1日乗車券がお勧めで高鐵乗換駅の新烏日駅、集集線起点の二水駅で購入できます。

この集集線は1999年9月の台湾921大地震で震源に近いこともあって壊滅的打撃を被りました。路盤の崩壊やレールの屈折、駅舎の倒壊などひどい状況で廃止も検討されましたが地元住民の復興に向けた活動や沿線に観光地もあることから存続が決定。復旧工事も無事終え2002年2月に運転を再開、現在に至ってます。特に日本統治時代に作られた集集駅の木造駅舎は倒壊したものの見事復活させ、震災前の姿に戻しました。

列車はすべて新型気動車(DR1000)で運転され、車種はすべて普通列車である區間車扱いとなっています。高鐵が完成してからは台中からの快速仕様の乗り入れ列車が運転されるようになり、台北からの接続性は格段によくなりました。

2008年には増え続ける観光客対応で濁水駅の交換施設を復活。併せてタブレットも復活しました。これにより本数もぐっと増え利便性が高くなりました。休日は最大の4両編成で運行。それでも多客時には立客であふれます。

なお、龍泉~車埕において大規模な線路補修で2010年4月からバス代行となっていましたが2011年7月9日から平常運行に戻っています。

沿線風景・路線紹介

さて沿線風景ですが、起点の二水駅前はちょっとした街になっており、屋台もいくつか出ていますので乗車前に買いこんで社内で食べるのもいいでしょう。いろんなものを調達できます。二水を出た列車はしばらく縦貫線を並行して走り源泉に到着。

その後縦貫線と別れ大きく山間に向け線路を左に切っていきます。田んぼや檳椰(ビンロウ)畑を横目にのどかな田園風景の中を進んで行きます。

次の駅濁水はまあまあの集落の街でマクドナルドもあります。かつては無人駅だったのですが多客対応で駅舎改装と交換設備を復活。駅窓口も復活して硬券乗車券も復活。さらにタブレット交換まで見れるようになりました。

濁水を出ると途中車窓左手には震災の記念碑が建てられており(921公園?)、車窓右手には地震で大きくひん曲がったレールや鉄塔がそのまま保存されています。すごい威力だったことがその曲がり具合でわかります。(最近手入れがしっかりされてないのか、ちょっと荒れてます)

それを過ぎると「緑色隧道」と呼ばれる有名な道路両脇に並木が続く、心地よい風景の中を走ります。眺めを堪能するためには車両先頭か最後尾がお勧めです。緑を抜けると龍泉駅に到着。軍の施設が近くにあり、週末は兵役休暇で自宅に帰る人で混み合います。なお手前の分岐点からは軍の基地に引込み線が続きますが施設に向けての撮影厳禁なのでご注意。

龍泉から集集まで濁水渓を横目に山間の中を走ります。集集駅はかつての交換駅。今は列車交換がありませんが有人駅です。有名な木造駅舎は日本の昔の駅と同じで懐かしい感じがします。この駅には硬券乗車券がまだ健在です。

駅舎の周りは観光客相手のお店が多数並びます。かつては鐵路文物博物館や戦車などが並んでいましたが、戦車類はもう少し東の戦史公園に集められ、再整備されました。駅舎向かって左手には「集集觀光小火車」が集集線に沿って1kmほど走ります。休日のみ運行の遊戯鉄道風の客車をSLが牽引します。

集集を出た列車はビンロウの木が続くのどかな田園風景の中を走ります。次の水里は大きな町で日月潭方面への入り口になる街です。水里を出ると山が迫り終点の車埕に。かつては木材の積み出し拠点やダム建設で栄えた構内はちょっとした公園に整備されました。小さな駅舎が終着駅らしく、また目の前にそびえる高い山々や明潭水庫のダムが印象的です。有人駅で硬券乗車券が発売されています。

列車到着時はハイキングに出かける人が大きなリュックを背にどどっと降車、乗車目的だけの人はホームで写真を撮ってとあわただしくなります。なお車埕駅から日月潭へは少し距離があり、また駅前からの交通アクセスもありませんのでご注意(水里からバスが出る)。


撮影ガイド

二水~源泉が手軽な撮影ポイント。二水駅から線路沿いに自転車道が走っているのでそのサイドから。源泉~濁水の田園風景もいい感じですが、ちょっと駅間がありますので少し歩かねばなりません。

濁水~龍泉の震災紀念塔付近も撮影しやすいです。こちらは濁水から歩いて20分ほどです。龍泉駅から二水寄りの並木道あたりも路肩から撮影可能。集集駅構内で腕木式信号と絡めて撮影したりと思い思いで。集集の車埕側も直線で並行する道路から撮りやすいです。終点の車埕もいい感じです。

この線はいい感じのところが多いのに列車本数が少ないのが玉に瑕。並行する道路にミニバスが走ってるので使えると便利ですが乗り方や行き先がいまいちよくわかりません。(一応集集から龍泉まで乗りましたが運転手に行き先を告げおもちゃみたいなレシート発行機でキップを発券、それを降りるときに渡すルール。中は普通のマイクロバスで中国語が話せないとちょっとしんどい)

沿線は藪も多いので毒蛇には注意、無理をしないように。また棘草も要注意で刺さるととても痛いです。枯れてても強力。集集にはレンタルバイクやレンタル自転車があるので利用できると行動範囲が広がります。ただバイクの場合、台湾では国際運転免許証の使用は認められていませんので注意、有効な日本の運転免許証の中国語翻訳文を取得するか、台湾の運転免許証を取得する必要があります。



PHOTO GALLERY

■二水

・分岐駅としては広い構内を持ってますが乗降客自体は少ない駅です。

       -2013.5.1


・タブレットはこの駅から。ほとんどの列車は台中方面からの乗り入れとなるので、ホーム上でタブレットのやり取りをしています。

      -2013.5.1




■二水~源泉

・この区間は大半を縦貫線と並行で走ります。まわりはのどかな田園風景が広がります。

     -2013.5.1


・のどかな風景の中を進みます。

      -2013.5.1



・源泉駅ホームから。

     -2013.5.1





■源泉

・駅周りに遊歩道など設けられて整備されました。無人駅。

      -2013.5.1


■濁水

・かつての濁水駅はさっぱりした無人駅でした。

       -2002.3.22


・今は多客対応で列車交換が復活。硬券乗車券にタブレットまで復活しました。駅舎もきれいに。

       -2013.5.1



・列車到着時はたくさんの人であふれかえるのですが、これ、観光バスが駅に横付けできることからここから集集まで乗るショートトリップ客だったりします。

        -2013.5.1



・先に到着した列車の濁水~車埕のタブレットを受け取ります。

    -2013.5.1



・交換列車が二水方面からやってきました。

    -2013.5.1



・二水~濁水のタブレットと濁水~車埕のタブレットと交換します。

      -2013.5.1



・続いて上り列車は二水~濁水のタブレットを受け取って発車です。

    -2013.5.1





■濁水~龍泉

・濁水を出て勾配を上っていくあたりに震災の爪あとがそのまま残されています。ぐにゃりと曲がったレールはそのときのすさまじい威力を感じさせます。

      -2002.3.22


■龍泉

・駅前にはちいさなお菓子屋のようなものがあり、兵役帰りの若者がたむろします。

    -2002.3.22


■龍泉~集集

・ビンロウの中をゆっくりと走ります。

      -2002.3.22


■集集

・木造の駅舎と鄙びた感じがとてもいいところ。交換する列車は現在ありませんが、一昔前の鉄道風景の中にいるような感じになります。このころはブームになりつつあったころ。駅前はさっぱりしてました。

           10 -2002.3.22

・カップルに家族連れ、女子会などなど、この小さな駅にいろんな人がやってきます。

        -2013.5.1



・さっぱりした駅舎はそのままも・・・。

       -2013.5.1



・駅前はえらく変わってました。

   -2013.5.1



・でも駅舎の中は静かな昔の佇まい。こんな台鐵らしい昔ながらの駅もずいぶん減ってきました。

         -2013.5.1



・こんな硬券がずらりと並ぶ光景もなかなか。

       -2013.5.1



・スイッチャーが構内には置かれてます。ホームも昔ながら。日本っぽいですね。

       -2013.5.1



・ホームから水里方向を見るとこんな感じでみんな線路をウロウロ。線路沿いにあるお店が線路を勝手にわたらないと入れないので道と化しています。そして列車がやってきました。

        -2013.5.1





■集集~水里

・集集駅から水里方向に少し行ったところ。両方向とも並行する道路からいい感じで撮れます。

     -2002.3.22


・集集駅から上ってくるシーン。ちょうど集集小火車車庫あたりから望遠で。

           10 -2013.5.1



・明新書院の先で上り列車を。このあたりは結構きつい勾配を進みます。

       -2013.5.1





■車埕

・終着駅らしい鄙びた感じがいいところです。広い構内がいっそう旅情をそそります。

        -2002.3.22


◇車内

・DR1000はすべてEMU500のような内装となってしまいました。乗客のほとんどは・・・寝てます。台湾人は列車内は基本ぼーっとしてるか寝てるか食ってるかどっちかです。日本とおんなじですね。

      -2013.5.1


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