令和改元スペ:ノルウェー-オスロ首都圏

北欧第一号はノルウェー首都オスロの鉄道ご紹介。オスロは周辺都市を合わせた首都圏とみるとノルウェー人口の半分が住むエリア。そのため鉄道路線は放射状に伸び、中心地だけでなく郊外もしっかりとカバーされています。まずは地下鉄の役割を果たすテーバーネ(T-bane)。全長80kmの路線網を持ち、中心部経由で5系統が運行されています。↓

(写真:Majorstuen、2018.3)

地下鉄と言ってもドイツでいうUバーンよりSバーンに近い感じで、ダウンタウンを出るとほとんどが地上路線を走ります。かつては東西で運用が分かれ、東は第三軌条のゲタ集電、西はトラムクラスの架線集電とバラバラだったようです。現在の形に統一が完了したのは2010年。写真のMX3000車両統一にてやっと地下鉄らしい風貌に変わったという、苦労ある都市交通だったりします。↓

(写真:Majorstuen、2018.3)

現在はすべての車両がシーメンス製のMX3000となってしまい、写真的には陳腐化してしまいました。3両1ユニットで最大6両まで、ラッシュ時以外は3両編成が主体です。ちなみにそっくりさんがウィーンの地下鉄で走ってるんですが、同じシーメンス製とのこと。ウィーン紹介時にまた(いつになるやら)。↓

(写真:Majorstuen、2018.3)

前述の通りテーバーネは集電方法が第三軌条に統一されたんですが、もともとは普通の鉄道設備が大半だったので架線や踏切の撤去などかなり大がかりな工事をしていたようなんですよね。あと気になるのが雪。短絡とかしないんでしょうか・・・何か特別な技術があるのかな。大雪は降らないけど積もった雪が春まで溶けないので除雪などどうやってるのか気になります・・・↓

(写真:Majorstuen、2018.3)

さてテーバーネよりも細かなカバーをする路面電車もオスロ市内を走ります。トリッケンと呼ばれ(英語でいうトラムってことなんですけど)全長43㎞で6系統、系統13番は路線西端のJar駅よりテーバーネの線路にも乗り入れます。オスロの町は意外と起伏があり旅行者にとってトラムのちょい乗りは便利です。↓

(写真:Jernbanetorget、2018.3)

現在車両は2形式あり、こちら写真のSL79からご紹介。SL79はドイツデュワグ製の1次車と国内製造の2次車があり、若番号のこちらは1次車。↓

(写真:Holbergs plass~Tullinløkka、2018.3)

こちらは2次車。1次車との見た目の違いは・・・ない?側面が違うらしいんですが車両更新工事のときにいじった?SL79は2両の連接車で収容人員が少なくシーズン中は混雑します。SL79は製造から40年ほどとなり、CAF製の低床車への置き換えが決まってます。↓

(写真:Stortorvet、2018.3)

そしてもう1形式のSL95。伊アンサルド製で外観がちょっとユニーク。↓

(写真:Stortorvet、2018.3)

ただ故障が多くて導入20年少しと新しい車両なんですが、すでに2024年までの置き換えが決定しています。↓

(写真:Tinghuset~Tullinløkka、2018.3)

・・ということで、オスロの路面電車は2024年にはすべて新しい電車が走ることになります。それにしてもCAFの低床車は世界的に人気がありますね。↓

(写真:Jernbanetorget、2018.3)

続いてノルウェー国鉄。ヨーロッパにありがちな国営企業改革にて構成はちょっとややこしいんですが、Vy(旧NSB(Norges Statsbaner))と呼ばれる鉄道で、まあいわゆる国鉄。上下分離を行っておりインフラは国が管理、Vyは列車の運行を担います。2019年からはNSBからVyにブランド名称を変更、車両カラーリングも赤基調から緑基調へ変更され始めました。インターシティサービス(日本でいう特急や急行)を含む中長距離を担う「リージョナルサービス(Regiontog)」、都市部の「コミューターサービス(Lokaltog)」の2つに系統が分けられています。幹線はオスロから放射状に西へ向かうスタバンゲルとベルゲンへの路線、北へ向かうトロンハイムやボーデへ向かう路線、南の隣国スウェーデンのヨーテボリやマルメへ向かう路線の4つとなってます。で、写真右がVyのタイプ73でインターシティに使われるよく見る車両。で、左が・・・↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

・・・オスロ国際空港とオスロ市内を結ぶ高速線用のタイプ71。で、運行会社がVyと違ってフリートーゲ(Flytoget)という別会社。イギリスのヒースロー・エクスプレスみたいな感じですが、鉄道省管轄。会社を分けたのは新設した高速線経由となることから別採算で見ましょうって感じですね。空港からオスロ中央駅までVyだとコミュータートレインで40分ほどかかりますが、こちらだと20分ほど。もちろん料金は高くなりますが特急仕様の座席で荷物スペースもあるので旅行者ならフリートーゲ利用がお勧め。最近はタイプ78の新系列が増備されたようです。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

オスロではコミュータトレインも多数走ります。首都ならではなんですが、幅を利かせているのがこちらのシュタッドラーのタイプ75。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

このタイプ75そっくりのタイプ74というのもあり、リージョナルサービスで主力のタイプ70を置き換えていってます。タイプ75はベルゲン近郊区間にも進出しタイプ69を置き換えてしまいました。(写真はタイプ75)↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

オスロ駅で写真を構えていても日中はこのタイプ75ばっかりなんでちょっとつまらない・・・まあインテリアはすばらしいんで利用者にとっては〇!↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

続いてこちらタイプ72。タイプ69初期車の置換に導入された4両1ユニットの電車。伊アンサルド製でオスロの特定系統で集中的に使用されています。ちなみにアンサルドって日立が買収したイタリアの鉄道車両メーカーです。オスロの路面電車しかり故障が多そうで日立は大丈夫かな・・・↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

これまでは赤主体の車両の中で結構目立つ存在だったんですがVyになったあとのカラーリングがどうなるんでしょう・・・赤基調のNSBカラーよりはこのままでもマッチしそうです。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

そしてまだまだ多数派のタイプ69。1971年から運用開始も複数のタイプが作られて1993年まで増強が続きました。通勤型の主力で日本でいうと国鉄113系とか東武8000系あたりのイメージなんでしょうか。ここんところタイプ75の増強速度が増し、運用離脱が進んでいます。4つの製造グループがあり、69Aと69Bの初期車はすでに引退してしまいました。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

運行路線もすでにベルゲン近郊からは消滅、オスロ首都圏を残すのみとなったようです。写真こちらはラスト1993年最終増強組の69Dグループ。このタイプ69ってデザインがなんか強烈なんですよね、もともとデビュー時の顔つきはヘッド中央に前照灯1つで湘南型っぽい外観だったんですが・・↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

・・こちらの69Cのグループがもっともグロい正面になったのかも。まあ、このカラーリングのまえは赤茶色一色で車番が先頭車両にデカデカと書いててまるで囚人みたいな風貌だったんで、だいぶマシになったと思います。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)

最後は貨物列車。こちらはスウェーデンの貨物グリーン・カーゴ。ノルウェーの貨物事業オペレーターはカーゴ・ネット。ヨーロッパの貨物は国境をまたいでさらにややこしいんですよね、独自のぺレーターもいるし棲み分けがわからんです・・・ということでオスロ首都圏終!次回は北に上がってベルゲン都市圏をご紹介。↓

(写真:Oslo Sentralstasjon、2018.3)