解説

タイ国鉄メークローン線はバンコクの西、ターチン川河畔にある小さな町バーンレームからメークローン川河畔の町メークローンを結ぶ、全長30km強の路線です。

バーンレーム駅はマハーチャイ線マハーチャイ駅とターチン川で隔てたところにあり、それぞれの町をつなぐフェリーが運行されています。マハーチャイ線同様、他の国鉄路線と接続しない飛び地路線となっています。もともとはメークローン川を越え、国鉄南本線パークトー駅とつなぐ計画がありましたが、実現するのは難しそうです。

路線は全線単線非電化で、途中に交換駅もありません。30km強の区間全体が閉塞区間となって単純に列車が行ったり来たりしているだけの路線です。そのため1日に運転される列車は4往復のみ。メークローン駅にはレールも被る大屋根があって車庫代わりとなるため、列車の始発終点はメークローン駅となります。

運行時間は620-1740までと日中中心のダイヤ。30kmを1時間かけて走ります。路盤がとても悪いので途中に減速区間が多数あり、出発は定時もその後どんどん遅れてひどいときは1~2時間くらい平気で遅れてしまいます。

さらにこの路線に投入されているDCは2両1編成と予備車1両のたったの3両。車両検査時は青空のもとバーンレーム駅構内で検査し、検査期間中は運行中止となります。車両故障となるとトレーラーで運び出されて帰ってくるか代車が車で運休しちゃいます。

そんなことで、まったくやる気のない路線でいつ廃止されてもおかしくない状況ですが、10バーツで乗りとおせる格安料金と、終点のメークローン駅の列車が通る時だけテントをパタパタ閉めて店じまいする、有名な商店街のおかげで何とか運行しているような状況でしょうか。地元乗客はメークローンに近づくほどお客さんが増え、メークローンへ出かけるために乗っている人が大半です。

また、例のパタパタ市場を列車から体験する観光ツアーにも取り入れられ、途中駅からメークローン駅まで、またはその逆で利用する観光客もチラホラいます。アジアの下町鉄道といえばこのイメージが定着したのではないでしょうか。とにかくメークローンに列車が発着する時間は駅周が観光客でいっぱいになります。


沿線風景

バーンレーム駅はターチン川に線路がぶつかる形の場所に設置されています。切符の窓口はありますが、4本の列車しか来ないので今は無人駅となっています。駅からターチン川に延びるハシケはかつては列車接続で船が発着してたらしいのですが、今は使われてないようです(少し離れたフェリーのほうがフリークエンシー運行で便利)。

駅を出ると半分路面電車風の地道を進み民家の軒先をかすめるように進みます。最初の駅ターチャローンはマーケットに隣接した駅です。ここを出るとほぼエビの養殖場や塩田の中を突き進む風景となります。

マハーチャイ線以上に民家が少なくなり、途中駅のまわりにも民家があまりないような風景となります。湿地帯に直引きしたような路盤でとても乗り心地が悪いです。またスピードがあると脱線してしまうのでかなり遅いスピードで走ります。

1つずつ丁寧に仮乗降場のような駅に止まってお客さんをひろって行きます。バンカロン駅は主要幹線道路の高架下にあり観光客乗車はここで乗降します。ラドヤーイ駅を過ぎるとメークローンの町に近づき車窓に建物も増えてきます。

大きな有人踏切を越えると例のパタパタ市場界隈。線路わきに買い物客や観光客が壁にへばりついていますので運転はとても慎重に。タイフォーンを鳴らしまくって商店街を無事に抜けるとメークローン到着。

メークローン駅は有人駅で、この沿線でもっともマシな作りです。宝石屋などがならび、青空カラオケ屋もあってなんとも言えない雰囲気です。パタパタ市場は駅からすぐのところにあり、列車発着前後はすごい人になります。


旅メモ

バンコクからメークローンへの訪問だけならツアーに申し込むほうがいいですが、列車で訪れる場合はメークローンの例のパタパタ風景を見るには1本乗り過ごさなければなりません。

オール公共交通機関利用ならBTS運行時間の都合からウォンウィエン・ヤイ駅発は830ぐらい⇒ターチン川フェリー⇒バーンレーム2本目列車利用1010発にてメークローン1110に到着。1往復のやり取りを見て、帰りの次の列車はなんともう最終列車となって1530発。所要1時間でバーンレーム、フェリー利用でウォンウィエン・ヤイに戻ってくると1900前到着となります。ほぼ1日仕事です。

時間を稼ぐならウォンウィエン・ヤイ始発列車を利用するのがベター。ホテルからタクシーで国鉄ウォンウィエン・ヤイ駅までと地図を渡せばたいてい連れて行ってくれます。早朝は渋滞がないのでサイアム周辺の中心地あたりからだと主要20-30分見ておけば十分でしょう。これだと夕方前に帰ってこれて少しバンコクでの時間を取れます。


※ターチン川フェリーの利用とバーンレーム駅へのルート

マハーチャイ駅を出て正面通りを右手に曲がってまっすぐ行くとフェリー乗り場に到着します。→MAP

料金は現金払い、小銭を持っておきましょう。改札に立つ人にお金を渡しておつりがあればもらいます。フェリーはそのまま他の人と同じく乗って、向こう岸に着けば下船。小さな商店街のような路地を抜けて道路に出たら今度は右手に進みます。→MAP

なんとなく駅がありそうな広場のようなところにでればバーンレーム駅。乗車券は車内車掌から買います。メークローンと言って50バーツコインを出せばOK、おつりと切符をくれます。帰りは行きと逆ですが、バーンレーム駅からフェリー乗り場へ向かう際の路地を見落とさないよう。

PHOTO GALLERY

■バーンレーム

・町中、駅前広場も何もないようなところにあります。かつては有人駅だったんでしょうか、今は無人となってます。鶏があちこちに・・・列車も1日4本だけなのでほとんど近隣住民の庭みたいになってしまってます。

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・車両は1編成のみ。点検は野ざらしでジャッキアップしてここでやっちゃうらしいです・・・すげぇ!

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・駅出てすぐのところは道なのか線路なのかよくわからないことになってます。車両も激しく揺れるし大丈夫なの?って感じなんですがこれた日常なんですよね~

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・この始発駅周辺、とにかく途上国の鉄道って雰囲気がMAXなんです。ちょっとしたカオス・・・

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■車内・途中駅

・車窓はこんな感じ・・・暑いから車両の扉もすべて全開。。。ホームのない駅もあるんですが、バンコクから離れていくメークローンに近づくにつれお客さんが増えていくという不思議路線。

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■メークローン

・有名な列車が通ると店をたたむというパタパタ市場があるところ。観光バスでその様子を見に来る人もいて列車発着時の混雑が半端ない!警官の言うことも聞かない輩もいるしもうメチャクチャ!

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・発着時刻の少し前からビニールシートの屋根がたたまれていきます。駅から遠くなるにつれお客さんが減ってくるみたい。写真を撮るなら駅から離れたところがお勧め。

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◆マハーチャイ駅~バーンレーン駅の風景(お参考)

・マハーチャイ駅からバーンレーン駅に渡船を使ってたどり着くまでの徒歩風景です。ご参考まで。

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