台湾の鉄道 TITLE
鉄道がある風景

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Page Start 1999.7.31 最終更新日【2016.1.2】
台鐵 宜蘭線 イーランシェン





DATA
台灣鐵路管理局
宜蘭線:八堵-蘇澳 95.0km
複線電化

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解説
宜蘭線は、縦貫線八堵から分岐し蘇澳までを結ぶ路線で、東部幹線を成す最初の路線です。全線複線となっており、途中羅東まで2000年5月に電化、2003年7月に宜蘭線全線と北廻線花連まで電化されました。

宜蘭線を走る列車はほとんどが台北からの乗り入れで、大半は自強號となっています。普悠瑪號、太魯閣號、PPタイプが入線し、EMU1200などの旧電車自強號は乗り入れません。一部列車にはDC自強號が使われますが台東線電化後は大幅減便されました。かつてはすべてDL牽引だった莒光號も高速運転のためすべてEL牽引となっています。

普通列車は區間車と區間快車が走ります。通常區間車はEMU500の4両編成、區間快車はEMU700または800の8両編成で運行されます。

また、平渓線に乗り入れる列車はDR1000型を使ったDCが走ります。以前は瑞芳発が大半でしたが今は朝夜の列車は八堵発着、日中は海科館発着の折り返しとなっています。

電化以前は普通車の旧型客車がたくさん走りましたが、今は風景が様変わりしました。ただし山間を行く雰囲気はそのままで、ちょっとした台北からの逃避行にはいいところです。

沿線風景・路線紹介

八堵(パートゥ)を出た列車はまず基隆河に沿って峠を目指して登っていきます。八堵から福建あたりまでは最近の複線化に伴って直線化され、川や山を貫く新線並に整備されています。三貂嶺まではひたすら峠を上り詰めるといった感じで、基隆河の渓谷美を楽しみながらの車窓が続きます。

途中の瑞芳(レイファン)は映画で有名となった九份(チーフン)方面への乗換駅。ここからバスで20~30分ほどで行くことができます。駅前にはコンビニがあり、食料調達等に便利です。 また、ここからは、海科館駅へ伸びる深澳線が分岐します。もともと深澳線は濂洞までを結ぶローカル線でしたが1989年に旅客輸送を廃止し、深澳~濂洞が廃止。残った発電所への貨物輸送も2007年に廃止され休止線扱いとなってました。その後路線上の八斗子近くに海洋科技博物館ができることになり、その旅客対応のため、2014年に一部が復活となりました。

瑞芳を過ぎ急に山深くなってくると次の駅侯硐。ここはもともと野良猫がたくさんいたのですが、猫ファンが徐々に集まりだしていまや猫好きの観光名所に。ほとんど店などなかった駅前はちょっとした若者の町になってしまいました。

さらに進んで山が迫ってくると三貂嶺。ここからは平渓線が分岐しています。この三貂嶺駅へは車道がなく、線路脇の小道が唯一の駅への道です。駅もこじんまりとしたローカルムード漂う駅で、乗車券販売の窓口は日本の昔のローカル駅そのものです。

三貂嶺を過ぎるとすぐにサミット、長いトンネルを越えると牡丹駅。ここからはゆるいカーブを描きながら福隆まで山を下って進んでいきます。

ある程度の列車が停車する福隆は海水浴場で有名なところで、夏場は海水浴などのレジャー客で混雑します。また、駅弁が有名で、列車到着時には「便當、便當(「べんとん」と発音している)」と売り子が売り歩いています。到着前にお金を握り締めて戸口まで行けば弁当売りがいますので、停車時間が短くてもしっかり買うことができます。ここの弁当は安くておいしいのでぜひお試しください。

石城付近から大理にかけては海の傍を走りいい眺めです。遠くに龜山島を眺め、雰囲気としては紀勢線の紀伊田浦付近のような車窓の雰囲気でしょうか。列車の撮影にもお勧めのところです。大理駅近くにはセブンイレブンがあり旅行者にとっても便利です。

外澳を過ぎると海と離れ、田園風景の中を進みます。遠くビル群が見えるようになってきたら線名由来の街、宜蘭(イーラン)。ここでは結構乗客が乗り降りします。宜蘭を出た列車は再び田園の中を走り、大きな川を渡って風景が街並みに変わってくると中核都市の羅東に到着。台北からの乗客の半数ほどがここで降りてしまいます。

車窓は羅東を出るともっと田舎の感じになってきます。次の駅の冬山は東部地域初めての高架駅。昔は力霸水泥のセメント貨物を扱うにぎやかな駅でしたが、2007年に専用線が廃止されてしまいました。ここの専用線は田んぼの中を進み、黄色のDLが休日でも頻繁に入換を行うなど、味があって訪れやすいところだったのですが知らない間に廃止されてました。

次の北廻線との分岐駅、蘇澳新站もセメントを扱う貨物が発着。こちらの入換は平日のみですがセメント工場と本線との貨車入換が行われています。この蘇澳新站から先、南へ行く列車はそのまま北廻線に乗り入れて花連方面へ向います。右手にこの北廻線の分岐を見ながらカーブを左手に下って行くと終点の蘇澳に到着、この駅は基隆と同じ終着駅形態となっており静かなたたずまいの駅となっています。

蘇澳駅はかつては終着駅としてそれなりの優等列車の発着もあったのですが、電化完了後は優等列車の発着も減ってしまい、今は朝晩のみしか乗り入れません。ただし宜蘭線の區間車は大半が蘇澳発着となって、実際は昔より本数が増えてるかもしれません。


撮影ガイド

四腳亭駅または線路沿いからの撮影や瑞芳の候硐より、候硐~三貂嶺、三貂嶺駅南の平渓線分岐付近が台北からのお手軽撮影地。トンネルを越えての牡丹駅からの撮影も手軽。海沿いなら石城~外澳付近がいいでしょう。

旅客列車以外に平日は午前中から夕方にかけてセメント列車や砕石列車が1~2時間に1本程度、午後遅くには台湾では珍しいコンテナ列車も走るようですがこちらは未確認です。



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