解説

岩山をくりぬいた勾配ある回廊を力強く上ってきます ウェカパス鉄道は南島NorthMainLineのワイパラ(Waipara)から分岐する保存鉄道です。1978年に廃線になったワイアウ(Waiau)までの路線跡を利用し、ボランティア等有志による再建で1999年9月18日に途中ウェカ峠を越えたワイカリまで復活させたものです。起点の駅「グレンマーク」はウェカパス鉄道の専用駅となっており、TranzRailのワイパラ駅から少し北寄りに独立した駅舎があります。機関庫はワイパラ駅構内にあってSLなどの列車の仕立てはここで行われます。

ここの保存車両はSLをはじめ一世代前のDLや客車などがそろっています。運転の基本は夏場(日本の冬)は毎週日曜日、オフシーズンは隔週日曜日の運転となり、午前便と午後便の2列車の設定があります。列車構成はSLが3~5両ほどの客車を引いて峠越えを行うスタイルです。ただし火災(乾燥)警報が発令中の時にはDL牽引に変わります。SL列車の後ろには火災予防のため必ず消防カー(トロッコみたいなモーターカー)が追走します。また、始発の30分前と運転終了後に保線モーターカーが運転されます。

ウェカ峠付近は牧歌的風景が広がる この鉄道の面白いところは、行きの途中に撮影タイムがあること。峠を上りはじめるあたりで小休止し、撮影したい人を一旦下ろして列車をバックさせ、煙を吐いて登ってくるところをカメラに収めさせるというサービスをしています。帰りはくだりで煙があまりでないので撮影タイムはありません。

また、沿線の景色の美しさにも定評があります。起点駅グレンマークあたりはニュージーランドらしい牧草地の中を出発。ウェカ峠に向け丘のふちを沿うようにして上っていきます。撮影タイムの場所を過ぎると岩がごつごつした風景に変わってきます。峠の辺りになると岩をくりぬいて作った回廊を列車が進みます。このあたりは勾配がきつく、煙はモクモクと立ち上がり、機関車もかなり苦しそうです。視界が広がり、勾配も落ち着いてくると終点のワイカリに到着。ワイカリは街とはいえ、過疎化が進んだほんとに小さな町で、駅前にはちいさな売店が1件しかありません。列車が到着すると店はたちまち人でいっぱいになります。

なお、2006年にワイカリ駅に新たに転車台が作られ、これまで行きだけが正面運転だったのが帰りも正面運転となりました。


ウェカパスまでの足

ここへは車での訪問がお勧めです。乗りに来る人たちはみんな車でやってきます(グレンマーク駅前に駐車場完備)。クライストチャーチから1時間ちょっとくらいでしょうか。レンタカーはちょっと・・・という場合は、たまに観光コースにも組み込まれていたりするのでそちらの利用も便利でしょう。

列車を使った訪問も可能ですが少々不便です。乗車は行きも帰りも予約を入れておかないと列車は通過してしまいます。ワイパラにはTranzRailの駅舎も窓口も何もなく、単なる無人駅ですので、予約が通っていないと帰りに列車が通過してしまい大変なことになります。あと、ワイパラ駅付近にある店は、ウェカパス鉄道の駅窓口兼売店が唯一。また終点のワイカリの売店でも食べ物等手に入りますがたいしたものはありません。訪問の際には食料を用意していきましょう。


撮影ポイント

路線の大半が7号線道路と併走するので、気に入ったところで思い思いに撮影してみてはいかがでしょうか。列車スピードも遅いので十分追っかけもできます。


  ◆ウェカパス鉄道WEBSITE / ⇒ウェカパス鉄道マップ

PHOTO GALLERY

■Waipara

・トランツ・コースタル号のワイパラ駅に隣接してヤードが作られています。SLは機関庫に保管されていますがそれ以外は屋外にそのままにされています。

         -2003.1.5


■Glenmark(Waipara)

・始発の駅はワイパラ駅から線路伝いに200mほど北に行ったところの「グレンマーク」。ここへの訪問者はほとんど車でやってきます。駅舎の中では窓口のほか、鉄道グッズや飲み物が売られています。

    -2003.1.5

・機関車の入れ替えは側線を使って行われます。

         -2003.1.5





■Glenmark-(PhotoStop)

・使われる石炭は煙が結構出るものを使うのでスタート時は迫力があります。

      -2003.1.5

・牧歌的風景の中を進んでいきます。

    -2003.1.5





■(PhotoStop)-(FrogRock)

・撮影スポットから再び発車したところ。勾配途中で止まるので迫力ある煙が期待できます。並行する国道から容易に撮影できます。

    -2003.1.5

・上記の下り方向列車。煙がなくなるとずいぶん雰囲気が変わります。

   -2003.1.5



・石炭係は次々に釜に掘り込んでいかねばならず、正念場といったところ。

     -2003.1.5



・下りは上りと違ってトロッコのようにスルリと山を下っていきます。

   -2003.1.5



・丘陵地をシューシューと音を立てて必死で上っていきます。

      -2003.1.5





■(FrogRock)

・蛙岩のあたりでようやく勾配も楽になってきますが、まだまだ上りが続きます。

   -2003.1.5





■(FrogRock)-Waikari

・石灰岩の岩肌をくりぬいて作られた回廊を上っていきます。

   -2003.1.5


・峠付近はもうもうと出される煙で大迫力。このあたりがもっともSLらしい姿が拝めます。道行く車もその迫力に止まって見惚れてしまいます。

      -2003.1.5



・このあたりはきつい勾配が一段落してちょっとほっとした感じ。

       -2003.1.5




・列車の後からは火災監視カーが追走します。煙に巻かれて結構たいへんだそうです。

    -2003.1.5




・下り列車は逆向き。現在は終点ワイカリにも転車台が作られ正面走行となりました。やっぱ後ろ向きだと迫力ないですね。

    -2003.1.5





■Waikari

・終点ワイカリに到着。おつかれさまと声をかけたくなる道中でした。終着駅らしい1面1線、入れ替え側線1線の小さな駅です。

       -2003.1.5

・駅を見上げるポイントから撮影。周りには羊がたくさんいます。

    -2003.1.5





・火災監視員は行きとは交代。下るだけの帰りはのんびりできそうです。

   -2003.1.5





・終点車止めには保線モーターカーが留置されています。保線モーターカーはSL運行前にグレンマークから運転され、保線係兼ワイカリ駅職員を運びます。SL運転終了後、グレンマークへ戻ります。

   -2003.1.5





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