![]() 運行は3~6両ぐらいの客車をDLが牽引するスタイルで、客車のほかに荷物車、夏場(日本の冬)は屋根つきオープンカーが連結され、同じ南島を走るトランツ・アルパイン号と共用されています。 基本車両は1996年にリニューアルされた大窓の空調つき車両で、夏場に旧車両が増結されます。もともとは赤一色の車体でしたが民営化時にライトブルーに塗り替えられ、その後経営主体が変わった後もそのカラーリングを継続しています。 運行は曜日に関わらず毎日1往復の設定があり、クライストチャーチを朝7時に出発。ピクトンに12時過ぎに到着します。ピクトンではウェリントン行きのフェリーに接続し、乗り換えてウェリントンまで続けて行くことができます。 ウェリントンからの接続もこの列車が行い、到着後そのままクライストチャーチに折り返します。ピクトンを13時過ぎに発車、同じく5時間少しの時間をかけてクライストチャーチへ向かいます。到着は午後7時くらいとなり、同一編成が1日700km、10時間半も走ります。 この路線の特徴はコースタルという名のとおり、途中区間で海沿いの美しい風景の中を走ります。また、ホエールウォッチングで有名なカイコウラ(Kaikoura)、ワインで有名なブレナム(Blenheim)を通る観光列車の要素も持ちます。 しかしながら、トランツアルパインのほうが有名とあってこちらの人気は伸び悩んでおり、何かと廃止候補にあげられたり取り下げられたりしています。ただ、カイコウラ観光の人気が上昇していることから、首都ウェリントンとの接続も含めた新たな観光ルート開発など、今後増収が見込めるという声もあってなんとか生き延びているという感じです。 さて、この列車への乗車ですが、飛行機と同じようなスタイルで、事前に予約しておく必要があります。もちろん当日空きがあれば直前での乗車(といっても発車30分前には行っておかないとクローズしてしまう)も可能ですが、シーズン中は予約しておいたほうがベターです。 ![]() 大きな荷物は基本的には荷物車に預ける仕組みで車内は手荷物程度にとどめます。車内のワゴンサービスもあるようで(日本ほど頻繁に来ない)、またスナックコーナーでの飲食類の購入も可能です。 新タイプ車両は空調が利いており、夏場はこちらのほうがお勧めです。とはいえ、日本に比べればドライで温度も高くなく、窓からの風を受けての車窓もなかなか気持ちがいいです。さらに車外の空気を吸いたければオープン客車へ行くことができます。 沿線風景 始発のクライストチャーチ駅は小さな地方駅という感じで、1面1線のあっさりした途中駅という感じです。トランツコースタル号が走る北本線には貨物列車も数往復程度走りますが、貨物ターミナルは旅客駅より南にあるため、単なる途中駅のような風貌で十分ということなのでしょう。 また出発する列車は朝の7時台に2本だけとあって、この規模でも十分なくらいです。ただ列車発車前は駅舎内も混雑気味で、この駅の唯一のぎやかな時間となります。駅自体も町外れにあり、バスの設定もありませんので、市内から駅へ行くにはタクシー利用となります。 乗車する際、空港カウンターのような窓口で乗車手続きをします。予約番号やクーポンを乗車券に変える手続きを行いますが、まるで搭乗手続きと同じです。キップはすべて手書きとなっていて、レストランでの席割りのような感じで座席指定を行っていきます。いい席を取りたい場合は早めにいきましょう。 クライストチャーチをでると市街地の中をしばらく進みます。単線の線路をゆっくりしたスピードで走ります。アーサーズパスから流れてくるワイマカリリ川の鉄橋を渡ると町の外へ出ます。最初の停車駅ランギオラ(Rangiora)は、クライストチャーチ北にある最初の街。駅は昔のままの駅舎を使い、クライストチャーチ駅より大きなつくりです。 ランギオラを出ると草原の中を列車は進んでいきます。途中すぐにアッシュレイ川を渡りますが、カタログなどで紹介されている空撮の鉄橋を渡るシーンがこの鉄橋です。カンタベリー平原の北の端を走るようになり山が徐々に迫ってきます。 国道と並行して牧草地の中を列車は走り続けます。やっと家がちらちら見えてきたらワイパラ(Waipara)に到着。 ワイパラからはSL保存鉄道のウェカ・パス鉄道が接続します。ただ駅の周りには店などはなく、駅も無人駅のため、途中乗降には事前予約が必要です。クライストチャーチからの日帰り訪問も可能ですが帰りの列車できちんとひらってもらえるよう、確認が必要です。 ワイパラを出ると丘陵地のような感じのところを走るようになります。次のミナ(Mina)までは約60km近くあります。途中には交換設備が結構あり、貨物列車との交換もあります。 ミナもワイパラ同様、無人駅で予約がなければ通過してしまいます。ミナを出ると再び丘陵地のブッシュの中を進み、またすぐに牧草地の中など、ニュージーランドらしい風景の中を進んでいきます。山を抜け海を走りだすともうすぐカイコウラ(Kaikoura)。岩場の海岸沿いを列車は進んでいきます。海をそれて陸側に線路が入るとカイコウラ到着。 ![]() カイコウラを出ると線路はふたたび海へ向かって進んでいきます。海岸線に到達するとそこからしばらく海沿いを走ります。海岸線に沿って走っているため、海がすぐ目の前まで迫ります。また山が迫ってきているため、風景も富んでおり、風光明媚な風景が続きます。海沿いを行くシーンはカイコウラから約70km続きます。 次のセドン(Seddon)までは103kmもあります。もともとは途中駅があったのですがコミューター輸送は当の昔に廃止され、急行列車であったこのトランツコースタル号だけが残ったため、これだけの駅間が空いています。途中にはいくつも交換設備があり、貨物列車との離合が行われています。 海に飽きてくると丘陵地へ線路を切っていきます。再びニュージーランドらしい、羊が群れる牧草地を走ります。起伏が大きいので風景に面白みがあります。 セドンに近づくと塩田の中を突っ走る場所があります。バクテリアの赤の色で染まった塩田、真っ白な塩だけの風景は不思議な感じです。 サミットを越えるとセドン。ただセドンは乗降があまりなく、基本的に乗降客がいなければ通過となってしまいます。 セドンをでるとすぐに鉄道・自動車一体橋を渡ります。この鉄橋は最上部を鉄道が、谷に近い部分を自動車が使います。線路が単線なので下の車道は狭く、トラックが前からくると橋の手前で待たなければなりません。 ![]() 鉄橋を越えると小さなサミットに差し掛かります。このあたりは樹木がなく、不思議な風景です。周りにはルピナスの花が咲き乱れます。 ゆるいカーブが続きぐねぐねと丘陵地を進みます。線路が直線になってきたらブレナム(Blenheim)の町。クライストチャーチを出て、久しぶりに大きな町に到着です。ホームは1線1面の小さな駅で、貨物扱いもないことから単なるホームと駅舎だけの駅です。 ブレナムには小さなワイナリーがいくつかあり、特に白ワインは有名です。ブレナムを出るとピクトン(Picton)まで約30分強の道のり。ゆるい谷間を国道に並行して走ります。 終点ピクトンはまさにウェリントンとのフェリー接続のためにある街で、ブレナムより小ぶりです。ウェリントンとを結ぶ「インターランダー」号は鉄道&カーフェリーとなっており、北島と南島との貨物をやりとりしています。日本では見られなくなった船への貨車の積み込みなども健在です。 旅メモ 列車の乗車は時間があるならクライストチャーチとウェリントンとの移動に使うのがベターでしょう。クライストチャーチ起点ならカイコウラのホエールウォッチングで使うことも可能です。ただバスツアーが結構あるのでホエールウォッチングメインならツアー参加のほうが便利です。 ![]() ウェカパス鉄道乗車の場合は帰りの便の確保をしっかりしておかなければなりません。あまり列車での訪問はお勧めできません。 なお、車で鉄道を追いかける場合は、カイコウラ~ブレナムにまともな店やGSがありませんので、燃料はクライストチャーチまたはブレナムで補給しましょう。 撮影ポイント ベストスポットはカイコウラ手前から以北。カイコウラからは70km近く海のそばを通ります。この区間で思い思いの写真を撮ることができます。 あと風景が富んでいるのがワラヌイ(Wharanui)~ブレナムの区間。塩田との絡み、俯瞰気味での撮影など、いろんなカットで撮れるのでお勧めです。 その他の区間もほとんどを人工物のない自然の中を走るので好きなところで撮っていいでしょう。極端にいえば撮影ポイントはどこでもOKといってもいいかもしれません。 鉄橋もところどころあり、撮影にお勧めですが、並行する国道はどこも橋の部分だけ建設費コスト削減のため狭くなっているため、橋の上からの撮影は困難ですので注意しましょう。 ◆トランツシニック;トランツコースタル号紹介ページ / ⇒南島レイルマップ |
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■Christchurch |
・ピクトンから列車が到着。すぐに客車を切り離し機関車は車庫へ引き返します。 1 2 3 4 5 -2003.1.1
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■Christchurch~Rangiora |
・クライストチャーチ駅すぐ北の跨線橋下から。遠くピクトンから 1 2 -2003.1.1
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・ワイマカリリ川鉄橋を越えるとクライストチャーチ市外へ。
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1 -2003.1.2
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・こちらはピクトンからの帰りの列車。鉄橋下では釣りに興じる人がちらほらいます。
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1 -2003.1.3
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■Rangiora~Waipara |
・牧草地を列車は進んでいきます。少し単調な景色が続きます。 1 2 -2003.1.2
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・牧草ロールがニュージーランドらしさを強調します。
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■Waipara~Mina |
・このあたりになると人はほとんど住んでません。国道ですれ違う車も少なくなります。 1 2 3 -2003.1.2
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・上記の場所で上りクライストチャーチ行きを撮影。
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■Mina~Kaikoura |
・牧草地の風景が続きます。ちょっと退屈・・。 1 -2003.1.2
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・途中にある跨線橋から。雑誌によく載ってる場所の1つ。
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・国道が線路を跨ぐと一足早く線路は海岸沿いへ。
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1 2 -2003.1.2
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・カイコウラ南側の最終交換信号所。かつては駅だったような広い構内です。
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・ちょっと窮屈なところをしばらく走ります。
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・岩場の山が迫る海岸沿いをしばらく走ります。
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1 2 3 -2003.1.2
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・上記の上り列車。海たっぷりで帰りはこのあたりで満腹気分。
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■Kaikoura~Seddon |
・カイコウラ駅から下って海外にあたると広大な海が目の前に。 1 2 -2003.1.2
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・潮風をいっぱいにうけて美しい風景が続きます。
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・岩山が迫った風景の海べりを走ります。
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1 2 3 -2003.1.2
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・台風が来ないからでしょうか、特に防波堤もなく自然に線路が敷かれています。
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・このような国道とレールが並行する風景が続きます。
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・こうした信号所が途中いくつかあります。
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1 -2003.1.2
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・人の手が入ってないこうした海岸沿いを進んでいきます。日本だと必ず手が入ってるのでこうした景色に違和感がありますが、本当はこっちが正しいんでしょうね。
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・自然の地形のままに線路が敷かれているので小さなカーブが連続します。
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・牧草を手前にバックを海という写真はこのあたりどこでも撮れてしまいます。
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1 -2003.1.3
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・この鉄橋まで来ると海は終わり。ここからは丘陵地を進む起伏にとんだ風景に変わります。
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・こうした牧歌的風景の大俯瞰が意外とこのあたりで撮れるんです。
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・こうした編成写真はこのあたりのお好きなところで。
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・鉄道写真らしい写真が撮れるのもこのあたりの魅力。
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・こうした風景があちこちに。見かける動物は羊だけ、人家もありません。
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・塩で真っ白の大地を進みます。
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・塩田をつっぱしる区間。赤いバクテリアの塩田が目を引きます。
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・塩の積み出しヤードの前の小高い丘から俯瞰が楽しめます。
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・塩のコンテナは変則的な貨物扱い。ここには入れ替え機はなく、単にショベルカーが台車を押し引きします。
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■Seddon |
・セドン駅は低床の旧タイプ。利用者がいないと通過です。 1 2 -2003.1.2
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■Seddon~Blenheim |
・セドン駅過ぎてすぐの鉄橋。道路との併用橋で2階建て構造になっています。 1 -2003.1.2 2 3 4 5 -2003.1.3
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・沿線に咲くルピナスが花を添えます。
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・木のない山の間を抜けるこのあたりは不思議な風景。
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■Blenheim |
・ブレナム駅は駅舎はあるものの1線1面の小さな駅。 1 -2003.1.2
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■Blenheim~Picton |
・ブレナムを出てしばらくのところにある鉄橋。鉄橋付近ではBBQに興じる人もちらほら。 1 2 3 -2003.1.2 4 5 -2003.1.3 |