解説

海沿いを行く風景は運転士だけの贅沢 キウイ・レール South-main Line は南島最大の都市クライストチャーチから南へ、ティマル、ダニーデンを経て南部の街インヴァーカーギルに至る路線です。かつてはトランツレールのサザナー号で有名な路線でしたが、旅客減で2002年2月10日に100年超の歴史に幕を閉じ、Kiwi Rail貨物専用鉄道になってしまいました。併走する国道も車はまばらで、旅客が廃止される理由もわかります。沿線の風景はすばらしく、羊たちが草を食む牧歌的な風景は絶景です。南部は特に人口が希薄で、人工物すらない、牧場や草原の中をひたすら列車が走ります。また一部海岸付近も走行し、日本のようにコンクリートでがちがちにされたところが少ないので、ありのままの自然の中を列車がいく美しい風景を拝めます。

起点となる(であろう)リトルトンは、クライストチャーチ郊外にあって、アーサーズパス越えでやってくる石炭列車がメインで発着します。港北側に石炭専用埠頭があります。他にもインヴァーカーギルからのフレート列車、北島からフェリーでやってくるコンテナ列車も一部入線してくるようです(たいていはインヴァーガーギル方面へスルーしていると思われる)。 羊の横目に短いフレートライナーがひた走る トンネルを越えての分岐点がモーアハウス(Moorhouse)駅で、フェリーミード歴史公園の一部にもなっています。リトルトンのトンネルができるまでは、フェリーミード歴史公園があるところが埠頭となっていて各方面からの列車が発着していました。終点付近の廃線跡は公園内の休日に列車が運転されています。

モーアハウスの先、ウォールストン(Woolston)駅でコンテナ扱いが、クライストチャーチダウンタウンにほど近いフィリップスタウン(Phillipstown)は大き目のコンテナ扱い駅です。機関庫も併設しています。 North-main Lineとの分岐点はアディングトン(Addington)駅で機関車やトランツレイルの客車などが留置されています。駅構内のNorth-main Line側にクライストチャーチ駅があります。駅舎はちょっとした小さな博物館風のきれいな建物ですが、駅のホームは1本1線の、始発駅とは思えない簡素なつくりです。 クライストチャーチ旅客駅西側のミドルトン(Middleton)には大きめのヤードがあり、ピクトン方面からの列車はここでスイッチバックします。また列車同士の交換もここで行われます。

基本はフレートが中心 この線で一番本数の多い区間がミドルトン~ローレストンで、列車の大半は西海岸のラパホエ(Rapahoe)とンガカワウ(Ngakawau)からやってくる石炭列車です。日中は1~2時間に1本の頻度で運行されています。

西海岸のグレイマウスへの分岐点ローレストン駅を出るとインヴァーカーギルまでだいたい1つの街単位で交換設備がある感じで進んでいきます。ティマルまでは牧草の平坦な風景の中を国道とほぼ平行して走ります。 少し大きめの街、ティマルではコンテナ扱いがあり、必要に応じて積み下ろしが行われます。また、運転手の休憩があるのでしょうか、到着した列車は結構停車時間が長が目に設定されています。

海を遠めに牧草地帯を再び走ります。途中沿線にある工場などから専用線で運び出された貨車などをまとめ進んでいきます。しばらく走るとオアマル。ここからは丘陵地をクネクネと走り、または海沿いを行く美しい風景の中を進んでいきます。沿線の家々が増えてきたら南島第2の都市ダニーデン。この駅は古い駅舎が有名で、ここから観光鉄道のタイエリ峡谷鉄道が発着します。

ダニーデンを過ぎるといっそう鄙びた風景になってきます。丘陵地をクネクネと進みニュージーランドらしい景色の中を進んでいきます。バルクルーサ、ゴアと小さな町をくぐりぬけ、町並みが続くようになってくると終点のインヴァーカーギルに到着。この先も支線が延び貨物輸送が行われています。

なお、途中のアシュバートン、ティマルには保存鉄道があり、週末などに運転されています。また、タイエリ渓谷鉄道が夏季シーズンにはダニーデンから北へパーマストンまで、SouthmainLineを使ったSeasider号を走らせます。海沿いを行く美しい風景を堪能できます。


観光ガイド

マウント・クックへの道は最高の景色! クライストチャーチから南は公共交通も少ないためレンタカーが圧倒的に便利です。南島最大の観光スポットであるマウントクックやミルフォードサウンドは内陸になるため、この鉄道沿線ではありません。

クライストチャーチを出てインヴァーカーギルまでのポイントは、アシュバートンとティマルにある保存鉄道、運転は日曜限定。オアマルは小さな町でカフェで一服するにはいいところです。

ダニーデンはゴシック調の有名な駅舎のほか、街中にもスコットランドを思わせる重厚なつくりの建物が点在します。ちょっとニュージーランドらしくない町ですがのんびりしたい、いいところです。この近辺のオタゴ半島には希少動物がたくさんいて、有名なのがペンギンパレード。夜にペンギンが巣に帰るところを見学できるツアーがあります。また、併せてタイエリ峡谷鉄道での風景美を楽しむのもよいでしょう。

ダニーデンから先は草原がひろがりアップダウンをしながら海が見え隠れするニュージーランドらしい風景が続きます。道を走っているだけでも気持ちがいいです。ゴアからは道を右にクイーンズタウンのほうへも走り抜けれます。SL保存鉄道のキングス・フライヤーへの近道です。


撮影ポイント

河川をまたぐ鉄橋がたくさんありますので気に入ったところで撮影ができます。鉄橋は意外にもまだ木製のものが多く、被写体として絵になります。海を行くシーンはティマルから南のあたりで道沿いから俯瞰が可能、ダニーデンのクライストチャーチ側手前付近でも海岸をぺったり這って走ります。あと、沿線は牧草地などで開けているため、いたるところで撮影可能です。

なお、ローレストンからは本数が少なくなり、日中はあまり走りません(保線に時間を当ててる可能性大)。隔日運転の列車もあり、列車を見つけたら追っかけるというのが最適かもしれません。確実に狙うなら夕方から夜にかけて。比較的本数が多く(といっても上下3~4本確認)、夏場の日の長いときを狙うのがお勧めです。


  ◆⇒南島レイルマップ

PHOTO GALLERY

■Lyttelton

・リトルトンは海コンや石炭を捌く港湾ターミナル駅。ヤードも小さなもので到着した列車は作業が終わればすぐに引き返していきます。山間には別荘が建ち並び風光明媚なところです。

   -2003.1.4  * -2003.11.26


■Weedons-Rolleston

・南島でいちばん本数が多いのがクライストチャーチ~ローレストン。南からのフレート、西からの石炭列車など、日中も比較的本数があります。夕方5時くらいに貨物が何本が通過していきます。本数はありますがあまり撮影に向いているところがありません。

    -2003.1.9

・石炭列車は西海岸からアーサーズパスを越えてやってきます。

     -2003.1.9




■Rolleston

・西海岸への分岐駅。分岐駅といってもただ交換設備のある無人駅です。夕刻に南へ走っていく場合、ここにある大きめのガソリンスタンドで食料とガソリンを補給しましょう。深夜まで営業するGSはこの先ダニーデンまでありません。

    -2003.1.9

■Ashburton

・ローレストンから南は比較的夕刻以降の列車が多く設定されています。夜7時くらいの列車交換です。

   -2003.1.5


■Timaru

・小さなヤードがあり、コンテナの積み込みが行われます。クライストチャーチからやっとまともな駅までやってきたという感じです。凸型DLは入れ換え専用機です。作業員はバギーに乗って広い構内を動き回ってポイント切替など行います。

     -2003.1.8

・北島からのフェリーを経てピクトンからはるばる来たと思われるフレートライナー。ティマル駅は運転手の交代・休憩ポイントともなっています。

      -2003.1.8



■Scarborough-Pareora

・海をバックにすばらしい光景を走ります。ティマルを出て南へ少し走ったところの国道沿いからこんな写真が撮れてしまいます。

     -2003.1.8   


■Pareora-St.Andrews

・羊が目に付くようになってきます。南島らしい光景が続きます。

   -2003.1.8

・花畑なんかもところどころにあって、手軽にいい写真が撮れます。

    -2003.1.8



・草原の中をひた走ります。

   -2003.1.8




■St.Andrews-Otaio

・海を遠目に牧草の中を走っていきます。のどかな風景が続きます。

    -2003.1.8



■Makikihi-Hook

・北海道のローカル線のような感じもします。長いコンテナ列車だとこの風景に少し違和感があります。一両のDCでも走れば絵になるんでしょうが、すでに旅客は廃止されています。

    -2003.1.8


■Hook-Studholme

・平原を突っ走ります。

   -2003.1.8


■Glenavy-Waitaki

・鉄橋は比較的多くありますが、並行する国道などは工事費を安くするため道幅が狭く作られています。撮影の際はご注意を。ちなみにこの写真は午後8時過ぎに撮影。 夏場(日本と逆)はサマータイムで日没が午後9時ごろになります。

       -2003.1.8


■Masgiel-East Taieri

・ダニーデンの南、丘陵地を越えたところ。

    -2003.1.7



■Allanton-Henley

・ダニーデンから南はかなり鄙びた景色になってきます。地図にある街もこれまでとは違うかなり小さな町になります。夕刻のドライブではガス欠要注意です。

    -2003.1.7


■Waihola-Clarendon

・小さな湖にはキャンプをする人もいます。ニュージーランドらしい風景が広がります。

    -2003.1.7


・街を抜ければすぐに牧草地帯です。

   -2003.1.7





■Clarksville-Crichton

・小さなサミットがあってゆるい勾配を一生懸命列車が登ってきます。

       -2003.1.7



■Crichton-Lovells Flat

・夜8時半を越え、日没終了となりました。このあとも貨物列車と何回かすれ違いましたが、もう少し早い時間帯に運転してもらいたいものです。

     -2003.1.7


  * © Kazumoto Ogawa

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