解説

めずらしい平面クロスがわかる一コマ 日本曹達(株)高岡工場専用線は、氷見線能町駅と工場とを結ぶ全長1.8Kmの企業専用線で、歴史は古く、戦中の昭和19年8月から運行してきたということです。

万葉線(旧:加越能鉄道)と軌道上で平面クロスするのが有名で、交差地点は当時の加越能鉄道高岡軌道線(万葉線)の旭ヶ丘~荻布の中間付近にありました。運が良ければ貨物列車通過時に万葉線電車が通過待ちをする光景を見れました。

平面クロスは踏切信号を切り換えて進みます。 この専用線の主な荷は工場で使われる化学品等で、晩年は塩素がメインの荷となり、黄タキが三菱製スイッチャーにひかれ、駅と工場を行き来してました。スイッチャーは三菱の35t機と予備機だった日立の25t機がいたと思います。

専用線の運行・管理は入換を含め日本通運が担当。運行は原則平日のみで土日祝日工場休業日は運休というダイヤでした。

15:30頃 に汽笛とともに出場、工場と能町駅を約5分で結び、能町での入換は5~10分ぐらいで終了、すぐに工場へ貨車を引いて戻るというスタイルでした。

列車には入換要員と信号係が機関車に添乗し、平面クロスの地点で一旦停車して信号係が下車、信号スイッチを操作して道路の踏切信号を赤にします。信号係はここで1人残って帰りの列車を待ち、帰りの列車が見えたら再び信号スイッチを操作して信号を赤にし、今後は一旦停止させずに道路をスルー。信号係はここでゆっくり走る列車にそのまま飛び乗って工場へと戻るということやっていました。路地裏を走る専用線らしい専用線風景。

2004年度末休止と発表してましたが実質は廃止で、現在はレールがはがされ、住宅街の一部になったりして工場近辺にしか跡は残っていないようです。 なお休止の発表は事前に本社からプレスリリースされた異色の公表でした。


 ※場所はこちら→ GoogleMap

PHOTO GALLERY

時系列:工場出場

・工場を出た列車は加越能鉄道との平面クロス前までそのまま進んでいきます。

      -2000.11.24

・平面クロスの手前で一旦停止。信号操作を行います。係員は1人ここに残ります。

     -2000.11.24




時系列:駅→工場

・能町で簡単な入換(たぶんスイッチャーの付替えだけ)後すぐに列車は戻ってきます。

     -2000.11.24

・古い工場や軒先裏のようなところを進んできます。ここは平面クロスの道路から撮影。

    -2000.11.24



・工場への帰還時は残していった係員がすばやく信号操作をして平面クロス前で止まらずに進みます。万葉線電車がうまくかぶるといいのですが、こればかりは運。

    -2000.11.24


・工場へは裏門のようなところから入ってました。場内入換は到着時には行わず、午前中にやっていたようです。かすかに予備機が見えますね。

    -2000.11.24




平面クロス

・万葉線電車はガンガン走ってますがこの専用線は本数が少なく、撮るのにひと苦労でした。線路袂に見える電話ボックスは踏切操作で残る係員の待機ボックスでした。

    -2000.11.24

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