解説

JR新湊線はJRの貨物専用線で、JR氷見線能町駅から小矢部川右岸河口方面へ伸びています。万葉線(旧:加越能鉄道)開業時に旅客輸送が廃止され、以降、貨物専用線として現在に至っています。

途中駅はなく、終点は吉久にある高岡貨物駅で、分岐駅の能町から1.9kmだけの盲腸線です。高岡貨物駅は2002年に開業した新しい貨物駅で、以前はさらに先、新湊港まで線路が伸び、怪しげな専用線群を築いていました。

現在も万葉線中伏木あたりまで線路が残っていますが、貨物駅から先は使用されることはありません。かつては万葉線と平面クロスして日本重化学工業へ伸びる専用線もあったとのこと、最盛期を見てみたかったですね。

扱う荷はすべてコンテナで、高岡貨物駅から伸びる中越パルプ高岡工場(能町)専用線のコンテナ、小矢部川向かいにあった旧伏木専用線界隈の顧客、吉久界隈工場群から集荷・出荷するコンテナを扱います。

2014年春のダイヤ改正までは貨物駅構内での入換作業はJR機は行わず、構内業務を請け負う高岡鉄道産業が所有するスイッチャー「D352」が使われてました。入換業務の大半は、接続する中越パルプ用編成の本線貨物との編成・仕立ての入換だったので中越パルプ専用線スイッチャーが構内をウロウロ的な感じでした。

D352は赤と白の国鉄カラーっぽい小柄なボディーが特徴で、貨物駅北詰に車庫が設けられ、シャッターが空いてれば入換業務についていました。入換中のお休み定位置は貨物駅駅舎近くでコンテナが山積みしたところにいるため、スイッチャー自体は入換時にしかじっくり見ることができません。

このD352は貨物駅構内の入換だけでなく、中越パルプへの貨車の送り込み・引き出しも担当していました。貨物駅と国道415号線高架橋の間にある専用線分岐点まで本線上を走ります。

ちなみにこのD352は小矢部川向いにあった伏木専用線で活躍したD351の兄弟機でした。廃止後富士に再就職し現在も現役ですが、D352のほうは伏木の解体場に入ってしまい今後が気になります。かつての伏木専用線については こちら をご覧ください。


#連動していた「荻布倉庫専用線」はこちら、かつての「中越パルプ専用線」はこちら


かつての入換風景

高岡貨物駅の入換は、7:30~7:40のスイッチャーの出庫から始まりました。ヤードに人が出てきたら朝イチの中越パルプコンテナ引き込みがあります。基本朝イチ入換は平日のみです。

出庫後、要員を乗せてスイッチャーが出発。中越パルプ専用線分岐点まで進みます。そのまま場内に入ってコキを引き出すべく、コキ状況の安全確認を経て10分ほどで出てきます。

駅へ戻ってくると連れてきたコキを置いて、続いて中越パルプへ送り込むコキを仕立てます。前日最終便?で到着したコキのお尻を切り離し、コキを南向きに推進体制で側線に待機。続いてやってくるJR編成を待ちます。

8:30頃、高岡からの貨物が到着。JR機を切り離して定位置へ移動させます。その後さきほど仕立てておいた送り込み編成を中越パルプへ持っていきます。推進運転で専用線分岐点まで進み、ポイント切り替えでいったん停車。この作業中、コキが4両以上だと駅南側鉄橋詰め、ちょうど交通量の多い道路の上にスイッチャーが止まって大渋滞になります。

その後工場へ押し込んで単機で高岡貨物駅へ。この単機帰りが早いと専用線分岐点にコキ置き去りの荻野出庫パターン(基本形)となります。

戻ったD352は11時の貨物用の編成を仕立てるため入換を行います。基本は朝出してきた中越パルプのコキ編成を貨物駅コキ編成にくっつける作業を行います。この入換ではスイッチャーが南について駅南の鉄橋あたりまで出てきます。

11時発の貨物が出発すると朝高岡から来たコキ編成の入換タイム。またまた踏切あたりまで編成が出てきます。この入換の一環で中越パルプへの貨車の引き出し・送り込みが行われます。入換で中越パルプ用編成を朝同様に推進運転で分岐点へ。荻野スイッチャーに渡して単機で戻り、この昼前後の中越パルプ入換は別の専用機も合わせて使われます。

午後の高岡駅からの貨物列車が到着後、JR編成の折り返しまで入換が行われます。基本、入換は中越パルプからのコキを他のコキ編成と分割・連結する作業なので、残り1.5往復分には中越パルプ向けが連結されていないのでしょう。17時台発の列車発車までに終わってましたね。(D352が暗くなる前に機関庫に入ってた)


 ※場所はこちら→ GoogleMap

PHOTO GALLERY

■JR新湊線 高岡貨物(D352入換)

・スイッチャーを使った入換は基本中越パルプ発着となるコキの入換。ここの朝はD352の出庫から始まります。このあとすぐに中越パルプにコキを取りに行きます。

     -2011.7.13

・コキを連れて戻ってくるとすぐに入換スタート。

       -2011.7.13



・ヤード北側にある踏切までやってきます。ここでスイッチャーを間近で観察できます。

       -2011.7.13



・前日夜に着いていた?編成から中越向けコキを切り離し転線させます。これはJR機到着後に中越へ持っていく編成を仕立てる作業です。このあとJR機到着→DE10機回し→中越へコキ放置→朝持ってきた中越コキの入換という運用となります。午後の中越の引き取り・コキ放置も同じパターンだったと思われます。

         -2011.7.13

・中越からのコキをJR編成に組み込む入換は編成が長くなると専用線分岐点手前までやってきました。

   -2011.6.18




■おまけ:JR新湊線 高岡貨物(JR機入換)

・高岡貨物駅に到着後すぐにJR機の入換が行われましたが今も同じかな?HD300になる日もそう遠くないでしょう。

       -2008.8.2

・構内は結構大きい造り。JR機は事務所がある能町方へ移動します。

     -2011.6.18




・朝イチ到着便。この時点でD352が場内に見当たらない、車庫が閉まってる場合は中越パルプ引き取りが運休か午後便だけというしるしでした。今は合理化でJR機だけの入換です。

        -2011.7.13




■おまけ:JR新湊線 能町~高岡貨物

・定番の撮影ポイント。今ではDE10がうろうろする貴重な路線となってしまいましたね。万葉線跨線橋下からだとこんな感じ。

    -2008.8.2

・土手に上ってみるとこんな感じの俯瞰気味に撮れます。

     -2011.6.18



・サイドからだとこんな感じ。

       -2011.7.13



・かつての午前1便目は万葉線と時間的に合うのですが、なかなかぴったりと撮るのがむずかしいです。

   -2011.6.18  -2011.7.13



・田んぼ南側、上り列車もこんな感じで撮影可能。ちょっとバックの鉄塔がうるさくなっちゃうのが玉に瑕。

       -2008.8.2




■おまけ:JR新湊線 高岡貨物(その他)

・貨物駅からさらに北へ線路が伸びてますがこの先ですぐストップ。かつては新湊港まで伸びてました。放置されてる感じの除雪機は冬には活躍するのでしょうか。動いてるのを見てみたいですね。

   -2011.7.13

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