解説

油槽所からはバックで押し出してきます。 JR高崎線岡部駅からはJX新日本石油岡部油槽所へ延びる専用線がありました。典型的な鉄道路線併設型の油槽所で、本線に並行して側線のような形で延びてるタイプでした。

駅から伸びる1本の側線から2本の荷役線が分岐する単純な構造で、オレンジのスイッチャーが1台(予備機の存在は不明)が入換に使われていました。

国鉄色のEF65もまだ健在。この日は岡部の返空タキを引き取りに来ました。 岡部には根岸から1日2往復の石油列車が運行されており、入荷と返空それぞれでスイッチャーが動くので1日4回荷役線と駅との間を行き来。平日限定ですが需要が増える冬季は土曜日も動いてましたね。

行き来するとはいえ、入換作業はとっても淡泊。スイッチャは上野方につくルールで、荷物の引取りは単機でやってきて貨車についたら引っ張って終わり。空車はスイッチャーが荷役線から押出して所定位置に持って行ったら終わり。右に行ったり左に行ったりの単純移動しかしません。冬場はタキの編成が長くなり、2分割して油槽所構内へ持ち込みますが淡白さは変わりません。

以前、廃止となった長野の村井油槽所の職員の方に聞いたのですが、ガソリン・灯油の需要減は相当な量で、ピークの半分以下だとか。 いまだ木造駅舎の味のある岡部駅。この先も量が増える見込みもないし、設備も更新しなければならないなど考えると、昨今の油槽所統廃合が進むのも納得できます。

ここ岡部もそんな事情からなのか、12年春で廃止が決定。予定通り3月末での運行終了となりました。


入換風景(2012年1月現在)

列車の発着に合わせて入換が行われました。朝は700頃に到着する満タキを場内へ入れる作業。4番線に貨物が一旦入線後、1番線駅舎側の側線へ転線。見たことありませんが、構内配線から考えると、一旦高崎側へ引いた後、バックで押し込んでいるのでしょうね。続いてスイッチャーが油槽所から出場。タキお尻についてそのまま引っ張って作業終了。ELは単機で高崎方向へ行ってしまいます。スイッチャーは荷役線の関係上、上野側に常につく形となります。

続いて空タキの返却。930頃、油槽所のゲートがオープン。推進運転で空タキが側線へ押し出されます。所定位置に止まるとスイッチャーはそそくさと油槽所へ戻ってしまいます。1000過ぎ、倉賀野(と思いますが)からELが単機でやってきます。2番線に入線後1番線転線にてバックで側線へ入り込み、空タキに連結。側線から編成を引き出し一旦上野方向に引き出した後、推進運転で2番線に戻り、発車時刻までしばし休憩となります。

午後便はこれと同じことを繰り返します。ここのスイッチャーは入換作業自体がないので、ほんのわずかしか動かず、捉えるのがちょっとたいへんです。たいていスイッチャーが入換であちこち行くのですが、ここはELのほうがあちこち動いて立場逆転って感じです。

冬場はタキが長くなり、荷役線へ2分割して引き込み、返空は側線にて1編成への仕立て(お尻につなぐだけ)が行われます。基本動きは同じでした。

ちなみに側線と1番線とをつなぐポイントはグルグルタイプのポイント切替器となっていました。1つの操作で2つのポイントを動かせるので、グルグル回す手間はありますが、便利はよさそうでしたね。

PHOTO GALLERY

◆時系列:午前タキ返空出荷~駅ホーム観察編

・朝イチついたタキからの石油類の引抜が終わると返空の入換。9時半前くらいに人がドドッと出てきます。

     -2011.12.15

・閉じられていたゲートが開きます。でも荷役線1本だけだと全開せず半開き。すかさずスイッチャーが押し出していきます。

     -2011.12.15



・どんどん押し出してきます。1番線より駅舎側にある貨物側線へ押し込んでいきます。

      -2011.12.15



・スイッチャがホーム前までやってきます。

      -2011.12.15



・ザ・スイッチャーというような典型的なスイッチャー。

      -2011.12.15



・所定位置(スイッチャーがとまるところが返空タキ頭となる定位置)にとまるとスイッチャーの切り離し。

      -2011.12.15


・単機でそのままエンジンをふかして・・・

      -2011.12.15



・あらら、あっという間でご帰還。

      -2011.12.15



・午後の引取りがあるので奥の車庫まで行かず入り口近くに止まって運用終了。ゲートが閉じられあっという間の出来事でした。

      -2011.12.15




◆時系列:午前タキ返空出荷~油槽所前観察編

・この日は年明け後の大寒波で需要増なのか、2本の荷役線にタキが入ってました。荷抜き作業が忙しそう。

    -2012.1.27

・荷役線一番奥は畑脇の小道から簡単にアクセスできます。

    -2012.1.27



・9時半ごろまで待つ間、こんな特急の写真も近くの踏切から撮れます。

   -2012.1.27



・所定時刻になりスイッチャーに運転士が入ってスタンバイ。

     -2012.1.27



・ドドッと押し込んで・・・というのはワンパターンで・・・。

   -2012.1.27



・単機で帰ります。この日はもう1本荷役線に返空がありますので取りにいきます。

   -2012.1.27



・同じくタキを押し出してきます。

      -2012.1.27



・先に出した空タキにくっつけるので、ちょっと慎重に動きます。踏み切り上から安全に真正面の写真が撮れます。

       -2012.1.27



・微妙に調整して連結が完了するとスイッチャーはすぐに解結されて・・・。

      -2012.1.27



・すぐに単機でご帰還。

        -2012.1.27



・そのあと、JR単機と倉賀野からの返空タキの貨物が通過します。

       -2012.1.27




◆時系列:午前返空EL仕立て~駅ホーム観察編

・スイッチャーが引っ込んだ後、単機と石油専用貨物が通過。

     -2011.12.15

・その後職員さんが出てきます。黒の物体はぐるぐるポイント切換機。

    -2011.12.15



・返空をもっていくELが到着します。一旦2番線へ入ります。

        -2011.12.15



・運転手が無線機を受け取ってしばらくすると深谷方へ移動し、バックで0番線側線へ戻ってきます。

      -2011.12.15



・さっき出してきた返空貨車に連結して・・・

      -2011.12.15



・上り線本線へ引き出します。

      -2011.12.15



・ポイント切換えは1つで2箇所が変えられるグルグル切換え機が役立ちます。職員が非常用ダイナモ懐中電灯のようにぐるぐるぐるぐる回してポイントを切り換えます。

          -2011.12.15



・さっきの編成はバックで2番線に押し込まれます。そのまま出発しないのは入換時間のバッファを稼ぐためなんでしょうね。これで入換終了です。

      -2011.12.15




◆時系列:午前返空EL仕立て~油槽所前観察編

・上段紹介の別立ち位置から。単機でELが到着。ラッキーなことに国鉄色EF65が来てくれました。

    -2012.1.27

・0番線に入るため一旦深谷方向へ行って、スイッチバックします。

      -2012.1.27



・同じく、貨車を2番線へ転線させるべく引き出してきます。

         -2012.1.27



・この日は長いため、ずいぶん深谷方向まで来てしまいました。2番線へ押して・・・

        -2012.1.27



・所定位置に止まって発車を待ちます。

     -2012.1.27




◆その他:荷役線

・ここは典型的な油槽所荷役線。踏み切りすぐにあるので危険物を扱うことから大きなゲートが設けられています。

           10 -2011.12.15

◆その他:関東分岐機

・油槽所と隣接して分岐機メーカーの引込み線もあります。こちらは月に1~2回動くか動かないかというレアもののよう。動いているところを見てみたいですね。岡部油槽所の廃止でこっちも鉄道輸送は廃止になったかもしれませんね。

   -2011.12.15

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