解説
JR東北本線石橋と雀宮との間にある宇都宮貨物ターミナルから公道を挟んでわずかに伸びる専用線が日本たばこ宇都宮倉庫専用線です。宇都宮とはいえ住所は河内郡上三川町にあります。上三川町は日産栃木工場の企業城下町で国道4号線も南北に貫くある意味での車社会の町です。

また宇都宮貨物ターミナルはかなりの大きさがあり、コンテナヤードと大きな石油荷役線ももっています。場内入換はJRのDE10が担当。スイッチャーは貨物駅にはいません。

宇都宮倉庫は北関東物流拠点

さて、このJT宇都宮倉庫ですが、北関東エリアで生産される(北関東工場(宇都宮)、郡山工場、須賀川工場、友部工場)タバコを中心とした関東地域の物流センターで、大きな倉庫が2棟建っています。このうち出荷メインで使われているのが西側の道路に面した一番大きな倉庫で、専用線もこの建物に荷役ホームがあります。

路線は至って平凡で、ターミナル操車場から枝分かれした1本の線路が公道をクロスしてJT倉庫内へ伸びる というもので、いいとこ100mほどでしょうか。荷役線の関係でコキは2~3両、1日出荷1回ということでかなりこじんまりしたところです。専売公社時代に引き込まれていた線路を使えば貨物ターミナルまでの横持ち費用が助かるからでしょうか、合理化徹底の平成時代でありながら、昭和らしさが生きています。

スイッチャーは1台

スイッチャーは1台の少々グロテスクな保線車両のような外観の富士重工製DB251。予備機は見当たりませんので検査時は代車を使うのでしょう。きちんとした車庫を持っており、JT敷地内の隅っこにあります。場内ヤードはそこそこの大きさがあり、過去の栄華が偲ばれます。

現在は倉庫荷役ホーム1本のみの使用なので、ほとんどの線路は使われていません。ただ、荷役線は直接専用線とつながっていないため、荷役線からの出入場では転線のため、また車庫からの入出庫では端っこの車庫とを行き来するため場内を動きます。

運行形態ですが、平日のみの土日祝日お正月運休という、典型的なサラリーマン運用です。お盆は倉庫を回すためか意外と動いています(盆休みはあるかもしれない)。朝に空コキをターミナルから引き込んで午後に出荷という単純パターンです。

世の中の嫌煙が進む中、いつまでJRを使った出荷が続くか気になるところです。この物量だと時間の問題かなと思ってしまいます。


入換風景(2011年夏現在)

ここの入換は貨物列車との相関がないため、結構アバウトに行われています。入換に従事する人は貨物ターミナルからやってきます。JT倉庫側での荷役はコキへの積み込みだけのようです。

まず、ターミナルからのコキ引き込みは朝830~900くらいから行われます。まず専用線上を作業員2名が歩いてやってきます。これはスイッチャーがJT倉庫内にあるためですが、入り口の門の開閉もやるので、門が開いてるかどうかで運行があるかどうかの見極めができます。

続いて車庫からスイッチャーを出します。スイッチバックで専用線まで持ってこなければならないので多少場内を行ったり来たりします。その様子は北側隣接道路から金網越しに容易に観察できます。

スイッチャーは警笛とサイレンを鳴らしながら公道を横断します。ほとんどの車はこの踏切での一旦停止をしないので、警笛を鳴らしまくります。高架橋(ちょうど直下に地下状の交差点がある)を渡ってすぐの番線へ進入。あらかじめ留置されているコキ(早朝か夜に構内入換をするDE10が持ってくる)に連結しそのまま工場へ戻ります。

コキを連れてきたスイッチャーはスイッチバック後JT倉庫へ入ってきます。ここは専用線上ではスイッチャーが進行方向につく運用をしていますので、頭にスイッチャーがついて出入りします。

場内に入ると荷役線への入換開始。スイッチバックで荷役線に入れるため、スイッチャーが前後入れ替わります。荷役線へ入れてしまうと朝の入換は終了。スイッチャーは荷役線側に留置され午後の入換まで動きません。

午後の入換はもっと適当な時間となります。1200~1500の間で、いろんなブログから判断すると一般形は1400~1500くらいなのではないでしょうか。係員がターミナルから歩いてくるのでそれが入換の合図です。

入換は午前と逆の運行でスイッチャーが荷役線から出荷線に転線後、貨物ターミナルへ。午前と違って分岐点より北にあるコキ置き場へスイッチバックで持って行き、単機で帰還。帰ってきたスイッチャーは車庫への入庫で線路横断をして入庫し作業が終了となります。

係員がターミナルへ戻る際に門を閉めて帰るので、午後訪問時に門が閉まっていたら運行終了かウヤ。確実に押さえるなら午前訪問がよさそうです。


所在地

 JT宇都宮倉庫(GoogleMap)

PHOTO GALLERY

■時系列:出庫~貨車引取り

・8:30頃、貨物ターミナルから職員がやってきて車庫からスイッチャーを出します。構内の配線都合上、一旦スイッチバックしなければなりません。

       -2011.8.24

・JRと直接つながる線路に来て方向転換。そのまま貨物ターミナルへ貨車を取りに行きます。

       -2011.8.24



・貨車を連れて戻ってきました。貨車はあらかじめ専用線につながるポイント付近に置かれているので、スイッチャーは単に行って取りに来るだけ。すぐに戻ってきます。

       -2011.8.24


・引き込むとスイッチャーが切り離され単機で転線します。北側を走る公道にかなり近づいてきます。

       -2011.8.24



・スイッチャーは移動して持ってきた編成の反対にスイッチャーが付きます。

       -2011.8.24



・荷役ホームへ移動させ、入換完了となります。スイッチャーは切り離されて少し先へ行って留置となり朝の入換が終了となります。入換とはいえ、荷役線ホームにつけるだけで、ずいぶんあっちいったりこっちいったりします。

     -2011.8.24




■時系列:出荷~入庫

・ターミナルから入換に従事する職員がやってくると午後の作業開始の合図。この日は14:40頃にやってきました。

    -2011.8.12

・入換は午前の逆をやってるのでしょうか。門に張り付いていたので憶測ですが、汽笛が何回も聞こえます。10分ほどして出てきました。

       -2011.8.12


・門を出てすぐの道路は一旦停止をしない車が多いせいでしょうか、ミュージックホーンに警笛鳴らしまくりで出てきます。

     -2011.8.12


・道路を渡ると向こうは貨物ターミナル駅構内。

    -2011.8.12



・午前と違って置き場所が変わるのでスイッチバックで北側に移動していきます。

       -2011.8.12



・100mほど行くのでしょうか。持って行っても入換するわけではなく・・・

     -2011.8.12



・単に切り離して単機だけが戻ってきます。

     -2011.8.12



・そしてご帰還、は、は、早い。10分かからない出場でした。

    -2011.8.12



・しかし入庫は簡単にできません。ジグザグスイッチバックを行かねばなりません。

     -2011.8.12



・入庫に出荷と同じ時間がかかってる~・・・ポイント切り替えとかイチイチやらないといけないので、ここはスイッチャー入出庫が一番手間かかってるんじゃないでしょうか。

     -2011.8.12


・こうして門に施錠がかけられるとすべての作業が終了。この日は大変暑く、作業されてる方々もたいへんだったと思います。撮ってる私はかなりへばりました。

    -2011.8.12




■その他

・ターミナル構内にはシキが置かれていました。小山かどっかに行くんでしょうか。大体このあたり倉庫寄りに朝の引き取りコキ編成が置かれています。

    -2011.8.12

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