解説

中央本線竜王駅は甲府盆地に位置し、甲府駅の次の松本方にある駅です。甲府郊外の住宅街という雰囲気にあり、周りには繁華街など特にはありません。駅自体は有名デザイナーによるガラス張り天井高の駅で、海外の新しくできた公共交通の駅のようです。

竜王駅の専用線は、駅北に隣接するJX日鉱日石の石油荷役と南側にあるコンテナホームからのコンテナ荷役を扱う、限りなく駅構内の入換ヤードという専用線です。レールの構造から石油荷役のほうが専用線、コンテナのほうは構内入換という感じなんでしょうね(詳細割愛)。

貨物の発着はダイヤ上コンテナは毎日、石油が平日のみとなっていて、朝に根岸からの石油積車がきて入換、前日石油を抜いた返空を根岸へ持っていくのと、昼ごろ、梶ヶ谷で根岸からの石油積車にコキをつなげた混合編成で発着する、計2往復が存在します。土日はコンテナのみとなりますが、冬季の灯油需要増加時は土曜日でも石油貨物が朝昼とも運転されます。

スイッチャーは2台、メイン機は赤の協三機?、予備機が小っちゃい10t半キャブ機で、駅北東角と南西角にそれぞれ車庫を持っています。廃車となったもう1つの10t半キャブもそのままコンテナ荷役線端っこに放置されています。

入換風景(2012年2月現在)

ここの見どころはコンテナ線から発着側線へのスイッチャー+コキの本線横断でしょうか。入換業務が本線を挟んで北にある石油荷役と南にあるコンテナ荷役があるため、スイッチャーの本線横断が発生します。

まず午前の入換。まずはタキだけの入換で平日のみ運用ですが、冬季は灯油扱いが増えて土曜日もがっちり動きます。

朝、前日のスイッチャーの動きからおそらく朝イチ到着の石油貨物が付く前にタキの入換をスタートします(もしくは前日夜までに入れ換える)。石油荷役線は2本あり、この2本(夏場は1本かな?)に入っている空タキをつないで返空編成を仕立てます。出荷用側線は3番線北の、5番目の線がそれになります。石油荷役では配線上からスイッチャーは甲府方向にしか付きません。

返空編成は構内の関係から、貨物到着までに仕立てないといけません。スイッチャーが空タキを引き出して5番線でくっつけて、一旦スイッチャーは荷役線2本と5番線の間にある側線へ退避します。

続いて満車タキが到着。中線である2番線へ貨物編成が入りELを切り離して3番線を介して甲府方に頭を付け替えます。今度は編成を甲府よりに一旦引っ張って、バックにてそのまま荷役線へEL自身が押し込みます。重量があるからそうしてるのかわかりませんが、積車はJR機、返空はスイッチャーという仕事の棲み分けは全国あちこちに存在しています。

タキが長い場合はEL自身が2分割で荷役線へ押し込みます。押し込んだタキの微妙な調整はエンド部にそれぞれアントが置いていて、微調整は彼らが行います。

続いてELは貨物到着前に仕立てた空タキ編成にくっつき、甲府方へ引っ張ったあと、2番線へバックで押し込んで所定の発車時刻まで待機となります(たぶん:もしくは5番線で待機してそのまま出発?:未調査)。

その後スイッチャーは午後のコンテナ荷役のために本線横断して南側側線に入ります。いつ移動するのかわかりませんが、空タキ編成出発後~1200までの間に移動するんだと思います。これで午前の入換が終了です。

午後の入換は1200頃、コキ編成を北側にある5番線へ移動させる入換から始まります。スイッチャーは配線上から石油の逆の松本方にしかつけれません。松本方面行き普通列車が行った後、コンテナ荷役線から下り本線へ引っ張り出します。上りの特急あずさ号をやり過ごし、通過後バックで5番線へ押し込んでいきます。

押し込み後スイッチャーが切り離されて4番線⇒5番線へ。4番線を使って頭を甲府側につけ、今度は5番線奥へコキ編成を押し込んでいきます。竜王発の編成はEL+タキ+コキとなるので、コキを一番奥まで押し込みます。

続いて、石油荷役線の空タキをまとめる作業を行います。スイッチャーが午前(または前日夕方)と同じ空タキを引き出して5番線へ押し込む入換を行います。スイッチャーは甲府側だけにつき、荷役線から引っ張って5番線へ押し込んで・・という作業を行います。タキが多いと2本の荷役線を使うので引き出しは2回。5番線へタキを押し込んで編成が仕立てあがるとスイッチャーの作業が終了です。

スイッチャーは石油荷役線南にある留置線へ移動後作業終了となります(もしくは空タキ出荷編成まで仕立てあげる?)。

続いて甲府方から竜王行EL+コキ+タキの編成が竜王に到着します。2番線に入線、すぐにEL+コキとタキが切り離されます。コキ編成はそのまま松本方へ下り線へ入ってコンテナ荷役線へEL自身がバックで押し込みます。押し込み完了後すぐに3番線へ移動し、2番線に止まったままのタキの頭に付きます。

タキについたELは休む間もなく甲府方へ移動後石油荷役線へバックで押し込みます。ここは午前入換と同じです。ELが荷役線へ押し込んだ後、5番線に仕立てられた編成にくっついて甲府方へ引き出し、バックで2番線へ押し込みます。所定の発車時刻まで休憩となり、竜王駅での貨車入換は終了となります。

主にコンテナ荷役は下しは午後、積み込みは午前に行っているようで、最大コキ4両までと小ぶりですが活況のようです。

撮影ポイント

ヤード周りはほぼ私有地のため、駅ホームからの撮影がベストです。主に2・3番線ホームが便利でしょう。駅改札につながる跨線橋からも撮影可能ですがガラス越しの撮影になるのでちょっと難しいです。




 ※GoogleMap

PHOTO GALLERY

◆時系列:コンテナ出発仕立て

・竜王駅南側にコンテナヤードがあります。荷役線は1本のシンプルなもの。朝のタキ入換が終わってスイッチャーがコンテナ荷役線に移動した後から。

       -2012.2.18

・1200頃普通列車をやり過ごして本線への移動開始。押し込みに必要な位置まで移動します。

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・特急電車をやり過ごさないと本線マタギができません。待ちぼうけを食らってしばらく小休止。やっとあずさ号がやってきました。

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・本数が多いので本線横断はすばやくやらないといけません。特急が通過したらすぐに転線し駅ホームと石油荷役線間にある入換ヤードへ押し込んでいきます。

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・所定位置に到着するとスイッチャーのつく位置をいれかえます。

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・コキから切り離されて転線し頭のつく位置を変えて・・・。

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・スイッチャーがさきほどのコキ編成をどんどん押し込んでいきます。かなり端っこまで押し込みます。

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・単機で戻ってきて今度は石油荷役線へ移動します。このあと昼過ぎに到着するJR貨物に引き継ぐ編成を仕立てていきます。

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◆時系列:タキ入換&出発編成仕立て

・石油荷役線は2本。それぞれ空になったタキを引っ張り出してくっつける作業が続きます。

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・引き出した空タキは今度はさっきコキを押し込んだ側線へ押し込んでいきます。

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・コキとタキを連結させ、さらに押し込んでストップ。スイッチャーが切り離されて・・・。

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・残った空タキをつなげるため転線して荷役線へ。

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・さっきと同じく空タキを引き出してコキ+タキ編成へギャッチャンコさせます。

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・長ーいJR貨物引き継ぎの編成が仕上がるとスイッチャー君のお仕事が終了します。ヤード所定位置に収まっておしまい。

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◆時系列:JR貨物到着&入換

・入換が終わると続けてJR貨物編成が到着します。入換手順を考えたEL+コキ+タキでやってきます。待避線に使う2番線へ入ります。

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・到着後すぐに入換スタート。まずはコキを切り離しコンテナ荷役線にEL自身で入換業務に就きます。タキは一旦ホームに放置されます。

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・お昼時のスイッチャー君入換の逆と同じく、松本方面線路へ入って、バックでコンテナ荷役線へ押し込みます。胴体の長いEH200が入換をするのですごく違和感があります。

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・ELは終わると急いで2番線へ戻ります。特急が走る線路の上に長居は禁物です。

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・続いてELは3番線に入って残ったタキの甲府側につきます。

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・一旦甲府側に編成を持っていって、石油荷役線へバックで押し込んでいきます。ELが積車の入換をすべて行います。重いからスイッチャーがやらないのかな?

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・2つの荷役線に積車を押し込みます。押し込みが終わると・・・

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・ELはさきほどスイッチャーが仕立てた編成へくっつき、編成ごと2番線へ移動させます。わざわざ2番線へもって行くのは安全上のルールがあるのかな?

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・ELの入換中は積車からの抜き取りで荷役線での作業が忙しくなります。

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・スイッチャーはお休み中。抜き取り作業が終わったら返空タキを仕立てて甲府側にある車庫へ戻っちゃうのかな?この日はタキを少し動かしたりするためのアント君に雨よけカバーをしちゃったのでどうなったかな。

       -2012.2.18




◆その他:アント君

・朝持ってきたタキの抜き取り作業はお昼前までやってました。タキの位置を少し変えるのは小さなアント君がやってました。荷役線に各1台設置されてます。生意気にも機関車と同じ警笛音です。

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◆その他:10t半キャブ

・協三君が来る前現役だったと思われる半キャブがコンテナ荷役線に留置されています。予備機の10t半キャブ君はコンテナ荷役線側の車庫に入っていて、たまに使われるようです。

       -2012.2.18


◆その他:通過列車たち

・松本方面からの石油列車も合間に通過していきます。少なくなった113系もまだまだ現役です。

      -2012.2.18

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