解説

JR中央本線春日井駅から発する専用線は、南西に位置する王子製紙春日井工場とつながります。全長約2kmとそこそこの長さがあり、途中変圧器メーカーの愛知電機専用線が分岐します。

路線はほぼJR線路脇を走り、愛知電機専用線分岐点からは学校裏手を走って工場内へと伸びています。工場手前のあたりがローカル線の風情があり、わずかながらへろへろレールが味わえます。

運行は平日、土曜日運転と結構活発な専用線で、1日1往復運転される春日井発着の貨物列車に合わせて専用機が入出場します。2012年3月ダイヤ改正まではワムが使われ、コンテナとワムの混合編成が発着してました。(今はコキのみ)


入換風景

運転系統は工場から仕立てた貨車を駅まで運搬、単機でいったん工場へ戻った後、JR貨物の入換後に再び単機がやってきて荷物を受け取り工場へ戻るというパターンです。

春日井に発着するJR貨物に合わせ、到着前に工場出場、到着後に工場へ引き込みというパターンです。かつてはワムとコキの混合だったため、いろんな入換パターンがありましたが、今はどうなったんでしょう?単にコキの引き出しと引き込みだけになったかもしれません。

場内の入換は朝7:30~8:30の間でスタート、工場出場まで入換が行われます。構内ヤードが少々狭いため、編成によっては場外まで列車が出てきます。かつてはワムが門に向って左手へ伸びる2本のラインから出てきましたがコキ化で変更されたかもしれません。

かつてはワムとコンテナを分けて出場するパターンのときは8:30~8:40くらいにまずワムだけを駅まで搬送。機関車が先頭に立って牽引するので駅では機回しを行います。ワムを置くと再び単機で工場へ戻ってきて今度はコキを引っぱり出します。コキの出場は9:20~30ぐらいでしょうか。コキ+ワム一括出しの場合は8:30~9:30のタイミングでまとめて出場してました。時間は変わったと思われますが配線などから大きくパターンは変わってないと思われます。

駅での入換後、工場への帰りはすぐの場合もあればしばらく停車してからの場合もあるようです。

専用機が工場に戻った後、春日井駅にはJR貨物列車が到着します。いったん春日井駅の上下線の間にある側線に入線。10:30過ぎに松本方向に列車を進めた後、大胆にも上り線を横断して推進運転で入換ヤードへ押し込みます。

駅から工場への引き込みはあっさりしており、10:50頃に工場から単機がやってきて入れ替えられた編成のお尻にそのまま専用機が連結され、すぐさま工場へ引っ張っていきます。

かつては、工場門前の踏切手前で列車は一旦停止し、愛知電機専用線分岐点~踏切間の線路を使ってワムとコキを分割していました。編成は松本側にコキ、名古屋側にワムという構成になっているので、まずワムを奥の出荷場へ押し込み、続いてコキを引っ張って場内に引き込み、すべての貨車が工場に入れられると入口門が閉められ場外作業が終わりとなってました。

春日井駅の入換もスイッチャーが朝持ってきた編成に電機がそのまま連結され出発となります。一連の流れは午前中にすべて片付きます。

ちなみに途中分岐する愛知電機専用線は大型変圧器をシキにて出荷する際に使われます。専用線といってもJR本線の側線のような感じで、王子専用線とJR線との間の岐阜愛知電機春日井営業所の駐車場(というか広場)を使って積み込みが行われます。DLは王子と同じネピアロゴの専用機が使われます。

愛知電機の工場は勝川駅の近くにあるのですが、わざわざこの王子製紙脇まで変圧器を持ってきます。日中、公道で大きな変圧器を移動させるのはたいへんなので、深夜に据え付けし、翌朝出荷するようなことをやっているのでしょう。


撮影ポイント

撮影カットを狙うなら工場入出場門前がベスト。トラックの入出場門と隣接してますが少し間があるので比較的安全に公道から撮影できます。

春日井駅名古屋方面ホームからも撮影可能です。ただ線路に密着してマンションが建っているので日陰になってしまいます。南口改札前脇で脚立を立てれば柵越えで日のあたる部分の撮影も可能ですが・・ちょっと顰蹙かも・・・。入換は貨車を一番南側(外側)側線に入れ込むため、駅では改札外からよりホームからの撮影がお勧めです。

PHOTO GALLERY

■時系列:出荷1回目

・入口門が開くと作業開始。編成が長いと入換のために場外に出てきます。古びた門柱もあっていい感じです。今はワムがなくなりコキのみです。

     -2011.10.3

・以前は門に向って一番手前の引き込み線からワムを出してきました。ワムの扱う荷役線は一番手前と2番目ですが、手前の入換がかなり盛んでした。

   -2011.10.3


・この日のワム引き出しは8:40頃。この前に入換もやっていたと思います。ラッキーなことに予備機の25tが出てきました。

     -2011.10.3


・ワムが長い!何両つないでるんでしょうか。この風景はもう見ることができません。

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・10分ほどで単機が戻ってきました。

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・踏切前で一旦停止し入場後、手前荷役線へ入っていきました。

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・あれ、またワムを出してきました。持って行ったばかりなんですが。。。2番目荷役線に入れて、今度は奥のコンテナ荷役線へ。

      -2011.10.3



■時系列:出荷2回目

・以前はワムとコキの出荷を分けてましたが今はどうなんでしょう?当時コキ荷役線は門正面奥にありました。今度は春日井駅ホームから。スイッチャーがコキを連れてきました。

     -2011.10.3

・同じタイミングでJR?の職員が出てきます。

         -2011.10.3



・南側の側線にコキ編成を入れて・・・

      -2011.10.3



・機回しをして・・・

         -2011.10.3



・そのまま帰っちゃいました。この時点で9:30頃、2回の駅への引き出しは約1時間の作業です。

        -2011.10.3





■時系列:出荷1回のみパターン

・基本、動きは2回出しと同じ。ワムがあったときは場内での入換が2つ同時に行われてました。この日は主力機の35t機で8:00過ぎから動き始めました。

        -2010.12.11

・ワムを持ってきて一旦場外に出た後コキ荷役線へ押し込んでいきました。

    -2010.12.11



・ワム荷役線へは単機で行って単機で帰ってきました。荷役線での入換をやっていたと思われます。

     -2010.12.11


・コキを奥から持ってきました。さきほどのワムとくっ付ける作業をします。

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・この日は9:15に出場。コキ+ワムの編成で引き出しです。コキワム合体バージョンの時は引き出しは1回だけでした。

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・朝鮮学校裏手を進みます。結構長い編成を引っ張り出しますが紙は重量物なのでDLへの負荷もかなりありそうです。

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・駅で入換後、単機で戻ってきます。このあたりがわずかなへろへろ感のあるところですね。

       -2010.12.11



・工場入り口前の踏切で安全確認のための一旦停止。ほんのわずかですが目の前でDLを観察できます。

      -2010.12.11


・安全確認ができるとすっと場内へ。入り口門も閉められ、春日井到着貨車引き込みまでしばらく休憩です。

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■時系列:返空コキ受け取り

・王子製紙向け貨物が春日井駅に到着。春日井駅上下線の間にある待避線に一旦入線します。

     -2010.12.11

・待避線から貨物側線へは上り線へ一旦入線後、大胆にも下り線をまたいでのバック推進で一気に側線へ突っ込みます。

     -2010.12.11


・10:50頃、スイッチャーが出場し駅に到着した貨車を取りに出てきます。

        -2011.10.3



・工場からDLが単機でやってきました。単にお尻に連結しそのまま出発。朝イチで出荷した別側線に止めた貨車をELが引き出し、駅での入換終了となります。

   2   -2010.12.11




■時系列:工場貨車受け入れ

・以前はコキ・ワム編成が長いと全編成を入れることができなかったのでコキとワムを専用線上で分割してました。分けるあたりにあらかじめ係員が待機。

    -2011.10.3

・踏切手前あたりまできてストップ。コキとワムを切り離しです。一旦停止してたので突放まではしてないようでした。

        -2011.10.3


・切り離しが確認できると工場へワムだけを一旦引き込みます。

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・ワムはワム荷役線へ入れず、コキ荷役線側へ一旦入れ込みます。

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・コキはこんな感じで専用線上に放置。しばらくこのままです。

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・スイッチャーが戻ってきてさらに押し込んでいきます。そんなに奥があるんでしょうか。

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・ワム荷役線二番目に置いてたワム編成を持って、帰ってきたワムと合体させます。で、ゴゴゴ~と場外へ長い編成が出てきて・・・

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・どどっとワム荷役線へ押し込んで行きます。そのあと帰ってきたスイッチャーはなぜかワム数両を持ってきて・・・一旦解放。

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・で、スイッチャーがそのまま放置状態のコキを取りに行きます。

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・コキをつないですぐに工場へ。

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・場内に入るとスイッチャーの頭を付け替えてコキ荷役線へ押し込んでいきます。これにて入換終了です。今は途中分割をせずコキをそのまま場内に入れてしまうんでしょうね。

       -2011.10.3


・一方で春日井駅ではJRのELがワム・コキのつなぎ込みの入換をします。EL自身が編成を整えた後出発となります。

      -2011.10.3

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