解説

ブダペストの都市交通はBKV(ブダペスト運輸会社)によって運営され、市内のメトロー(地下鉄)、トラム、登山電車、バス、トローリーバスとほとんどの公共交通をカバーしています。

ブダベスト市内の地下鉄は「メトロー」と呼ばれ、4つの路線からなっています。黄ラインのM1、赤ラインのM2、青ラインのM3、緑のM4の4系統で、うち黄・赤・青の3各路線はデアーク広場(Deak tér)で交差し、放射状にベスト側を中心に形成されています。

まず、M1は黄色の車体の3両編成で運転されるミニ地下鉄で、中心地のベレシュマルティ広場(Vörösmarty tér)を基点にアンドラーシ通りの下を英雄広場(Hösök tere)を経てMexikoi utまで結びます。この路線は駅間が短く車両も3両編成の1ドア車のため、パンタなしトラムが地下を走っているような感じです。古い施設なためなのか、全線地上からすぐの浅いところに作られています。

車両は通りぬけができない構造になっていて、座席も車体真中にある乗降口に向って向かい合って作られており、まるで公園のベンチのような感じです。電車というより観覧車やトロッコのような雰囲気で地下鉄車両としては少々貧相な感じです。

一見できそこないの地下鉄といった感じのするM1線ですが、実は由緒ある路線で、ロンドンに次いで世界で2番目に作られた地下鉄なのです。その名誉を称え、作られた当時の皇帝の名を取ってフランツ・ヨージェフ線とも呼ばれています。各駅は1995年に開業100年を記念してハプスブルグ朝時代の昔のデザインに改装されており、時代を感じるものとなっています。

M2は西駅と南駅、HÉVを結ぶメイン路線で、1970年に開業した路線です。防空壕も兼ねたのか、M1線と違ってかなり深いところを走ります。国際列車発着の駅を結ぶ路線とあって乗車率が高く、結構混んでいます。(旅行者狙いのスリには絶対注意!)

この路線では大型のレトロチックなソビエト製車両が使われていて、車両は青の車体の古風な外面、車内は照明に白熱電球が使われていて独特の雰囲気があります。旧共産圏の地下鉄によっくある顔つきです。 ただ電気をバカ食いするらしく、新型車両への置き換えを検討しているようですが、財政難からペンディングとなっています。

一部の車両では座席シートのモケットはブルー、内装の化粧板はライトグリーンで、ちょっと懐かしい感じがします。さらに吊革がなんと本物の皮ベルトで、まさに言葉の通り「吊り皮」となっています。

M3は路線の中間に中心地のデアーク広場を挟んで南北に郊外を結ぶ路線です。1976年に開業、途中いくつかの駅を基点にトラムやバスがさらに郊外へ伸びています。

Hatar ut.には大きなスーパー(INTERSUPAR)があり、結構乗降があります。 キーバーニャ・キシュペシュト(Köbanya-Kispest)は国鉄との接続駅になっていて、車庫もあります。

こちらの車両もM2同様、レトロチックな外観の100系?200系?が使われ、 内装は普通の日本の地下鉄のような感じです。乗客は市内の人がほとんどで、郊外で旅行者が乗っているとかなり浮いた感じになります。

M4は2014年に開業した新しい路線で、ケレティ駅からM2カールビン広場を経てドナウ川を渡り、マーヴのケレンフェルド駅までを結びます。車両はアムストルの白基調の新車が導入され、他の路線と一線を画しています。当初2009年完成予定だったものが財政危機で開業が延びに延びたいわくの路線です。延長計画もありますが財政事情で当分開業もお預けのようです。

なお、メトロの駅や車両はどの線区も薄暗いので、夜の一人での乗車はお勧めしません。どうしても夜間の利用となる場合はなるべく複数での行動か、人の多い車両を利用してください。

[ブダペスト鉄道路線図](PDF)


Tips

地下鉄の乗車にはブダベスト市内のトラムやバスが共通で使える回数券か1日乗車券、3日乗車券がお勧めです。たいていの市内交通が乗車できます。近郊電車のHÉVもブダペスト市内ならBKVの乗車券で乗れます。

乗車の際は自販機か窓口で乗車券や回数券を購入し、刻印機でパンチを入れて乗車します。1日乗車券、3日乗車券の場合は窓口のみ発売で乗車当日の日付を入れてもらいます。ハンガリーの市内交通への乗車は、改札をしない信用乗車システムを採っていますのでこの作業は重要です。

最近、恒常的に駅入り口での改札が行われており、駅ホームなどでも交通局による抜き打ち検札がしょっちゅう行われています。乗ってる車両のお客が突然交通局の腕章を取り出して取りつけ、数人でいっせいに車内検札をはじめるということもあります。

特に多いのが地下鉄3線が集まるデアーク広場駅。ホーム上にいたりエレベーターの降り口に待ち構えていたりと結構頻繁にやってます。駅入り口の改札がないと自由にホームまでいけるのですが、もし乗車するしないに関わらず切符を持っていなかったら2000Ft前後の(日本円で1100円)の罰金を有無を言わさずに取られます。

注意しないといけないのが回数券や乗車券利用のときで、乗車の際にはホーム入り口にある刻印機にかならず通さないといけません。もし検札の際、刻印が入ってなければたとえ切符を持っていても罰金が課せられます。刻印機には2種類あって自動でパンチや日付が入るものと自分でパンチを入れるタイプがあります。地下鉄の場合は概ね自動タイプです。

いろいろ市内を散策する場合や刻印が面倒くさい場合は「1日乗車券(Napijegy)」「3日乗車券」や市内交通乗り放題に加え美術館などの入場料が無料になる「ブダペストカード」を購入しておくのが無難でしょう。値段が安いので市内をうろつくようでしたらこうしたフリー切符を買ってしまったほうがいいでしょう。

毎年自動改札機の導入が検討されているようなのですが、予算がなく、抜き打ち検査のほうがコストが安く雇用も生まれるとあって、こうした特異な光景はまだまだ続きそうです。

なお、窓口購入の場合、釣銭をよくごまかしますので、お釣りをきちんと確認してください。また、自販機はつぶれていることが多かったり旧型はマジャル語だけでどうやって買っていいかもわかりませんので乗り降り自由タイプの乗車券をお勧めします。

PHOTO GALLERY

 M1

Hösök tere(英雄広場)

・駅は道路のすぐ下、地階に下りるような浅いところにあります。乗る方向の列車のホームだけがある簡素なつくりです。

       -1999.8.13

・10年ぶりの訪問。タッチパネル式の自動券売機が設置されたことが何よりの驚きです。検札係のおっさんが買い方を教えてくれるのですが当然マジャル語でさっぱりわかりませんでした。

     -2009.10.13


・歴史的な感じのする扉などがあります。しかしこれ、何が入ってるんでしょう?ところどころの駅にこうした謎の扉が付いています。

    -2009.10.13


・地下鉄入口も歴史を感じさせます。階段下りるとすぐホームです。

    -2009.10.13



・Vörösmarty tér vá.行きがやってきました。平日帰宅時とあって混雑気味です。

   -2009.10.13




Opera(オペラ)

・入り口や構内はハンガリー帝国時代に作られたとあって風格があります。

    -1999.8.12


Deák Ferenc tér(デアーク・フェレンツ広場)

・3つの路線が集まるだけあって乗降が多い駅です。

    -2009.10.13

・この日はM2/3への乗り換え通路で検札をしてました。

   -2009.10.13




Vörösmarty tér vá.(ヴルシュマルティ広場)

・駅での折り返しは先にある折り返し線で行います。

    -2009.10.14

・単純に上下線の列車の入れ替えをするだけです。

    -2009.10.14



・駅構内は他の駅同様あまり特徴はありません。

      -2009.10.13



・駅を上がったところは繁華街。この日はとても寒く、またシーズンオフとあって閑散としていました。

   -2009.10.13




車両紹介

・M1の車両は3両の1つ1つが箱型になったもの。車両間の行き来はできません。

    -2009.10.13

・路線図も掲げられています。

   -2009.10.13




 M2

Déli pályaudvar(南駅)

・以前に比べて明るい駅になりました。列車は一旦引き返し線に入っての折り返しとなります。

   -2009.10.15



Maszkva tér(モスクワ広場)

・深いホームの地上駅は中規模スーパーみたいな感じの建物。駅前広場にはトラムがたくさん止まっています。ホームはかなり深いところにあります。

   -1999.8.13    -2009.10.15      



Deák Ferenc tér(デアーク・フェレンツ広場)

・ホームはかなり深いところにあります。エスカレーターが止まるとたいへんです。スピードもかなり早いので乗り降りに注意が必要です。

    -2009.10.13

・シールド工法で造られたのでしょうか。上下線の間に地上へ出るエスカレーターが設置されています。

     -2009.10.13  -2009.10.14


・いくつかある入口の1つ。自動券売機も設置され10年前と比べ便利になりました。

     -2009.10.13




Stadionok(スタジアム)~Pillangó utca(ピランゴー・ウッツァ)

・地下区間を出てくるところ。Pillangó utca駅ホームから手軽に撮影できます。

     -2009.10.14



Pillangó utca(ピランゴー・ウッツァ)

・改装されて共産色がなくなりました。まわりは住宅街で結構乗降客が多いです。

       -2009.10.14



Pillangó utca(ピランゴー・ウッツァ)~Örs vezér tere(ウルシュ・ヴェーゼル広場)

・この間には車庫があり、車両の出入りから3線構造になっています。Pillangó utca駅から撮影。

      -2009.10.14

・Örs vezér tere駅からだとこんな感じ。ホーム先端が狭いため、撮影には向いてません。

    -2009.10.14




Örs vezér tere(ウルシュ・ヴェーゼル広場)

・ガラスをうまく使った近代的な駅に様変わり。これだとドイツのどこかの駅のような感じです。 Gödöllői HÉVとトラム3、62、62Aとの乗り換えターミナルで乗降が多いです。デパートもあり、日中は賑やかです。

    -2009.10.14

・駅とボロボロ車両との格差が大きいですね。

     -2009.10.14





 M3

Nyugati pályaudvar(ニュゴッティ鉄道駅)

・直訳すると西部鉄道駅。トラム24番との乗り換え駅で24番は東駅とRáckevei HÉVに接続する準幹線です。

       -2009.10.15


Deák Ferenc tér(デアーク・フェレンツ広場)

・乗換駅なのでホームはかなりのゆとりを持ってます。昔ながらのメトローの雰囲気が残っています。

     -2009.10.13


Köbanya-Kispest(キーバーニャ・キシュペシュト)~Hatar ut.(ハタール通り)

・地上を走る区間が限られるのためキーバーニャ・キシュペシュトのホーム跨線橋からぐらいしか撮れそうなところがありません。

      -1999.8.13


Köbanya-Kispest(キーバーニャ・キシュペシュト)

・国鉄と乗り換え駅で空港バスも連絡。旅行者には使いにくいですね。M2・M3は車両が共用されています。

    -1999.8.13



M2/3車両紹介

・車内は木製部分も残る古風な感じが漂います。照明も車両によってはまだ白熱球仕様もあり、レトロ感が漂います。

   -2009.10.14  -2009.10.15



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