#鉄道施設・設備の老朽化で2011.3に運行休止となりましたが、2024年現在も復旧の見込みは立っていません。

解説

終着駅コートニーに似合うVIAディーゼルカー ブリティッシュ・コロンビア州、州都ビクトリアがあるバンクーバ島の鉄道「E&N Railiner」、その上を走る旅客列車、VIAカナダの旅客列車がマラハット号です。「号」という名前がついていますが、列車は1両がメインで運転され、1日1往復しかない、完全なローカル線です。ビクトリア(Victoria)~ナイモモ(Nanaimo)~コートニー(Courtenay)を4時間半で結びます。車体はステンレスのディーゼルカーで、イメージとしては北海道の宗谷本線を走るキハ54なんかになるでしょうか。軌間は共通の1435mmで全線単線非電化の路線です。同じ型の気動車はアラスカ鉄道でも使われています。

この路線はかつて貨物輸送も行われていましたが、荷主の撤退などで現在は定期列車はなく、また夏場に走っていた観光列車も廃止されてしまい、本当に1日1往復しか走らない鉄道路線となっています。インフラはレイル・アメリカが所有していましたが2006年からは財政補填を条件にSYR(バンクーバ近郊の貨物専用鉄道)が管理することになりました。

ここ10年はほぼ毎年廃止の検討がなされていますが、貨物輸送なども活用しつつ当面路線を保持する方向性は決まり、とりあえず廃止論は先送りされることになりました。しかし路盤の老朽化から安全運行に支障をきたすということで2011年3月から全線運転休止となり、現在に至ってます。

225Kmの路線を1日1往復、1両のディーゼルカーのために維持するというのはコストが見合いません。また、鉄道に平行してハイウェーも整備され、フレキシビリティーではバスにかないません。 また、運用はディーゼルカーが3両だけでまかなっており、団体利用時でも2両編成で対応しています。2004年には1両落石事故で休車状態となってしまい、車輌のやりくりがくるしくなっています。どれも製造後20年以上経っているため老朽化もしており、これまでの存続問題からも難しい状況となっています。

このようにマラハット号は非常に厳しい経営環境なのですが、ローカル線を旅する旅行者には魅力的な路線です。起点となるビクトリア駅は街外れの鉄橋のたもとにあり、駅舎もない1線1面のさみしい駅です。列車がなければ廃線跡みたいでパッと見はわからないくらいです。早期運転再開を望みたいところです。


沿線風景

ビクトリア駅をでると道路との併用橋を渡り郊外の住宅街を進んでいきます。途中操車場・車庫があり列車はここからやってきます。少し走ると早速針葉樹林の中を走る風景に変わってきます。ランフォード(Langford)~マラハット(Malahat)のあたりはサミット越えで列車スピードも遅くなります。車窓にはシャウニガン湖(Lake Shawnigan)が見え、カナダらしい風景が木々の間から望めます。起点のビクトリア駅はちっぽけな駅

サミット越えの後はハイウェー沿いに木々の中を突き進む、少々単調な風景が続きます。乗降がある場合に小さな駅に止まっていきます。ちょうどバスと同じで途中の小さな駅から乗る場合は手をあげて止まってもらわないといけません。なのでホームでうろうろしていると運転手から乗るのか乗らないのか怒鳴られます。

車窓にめずらしく家々が見えるようになってきたら島第2の都市ナナイモに到着です。乗降も結構あり、お客さんの大半が下車してしまいます。観光客もここでほとんど降りてしまいます。ナナイモを出ると、いっそうローカルな風情になってきます。車窓はあいかわらず木々の中を走る単調な風景が続きます。海沿いを走っているのですがなかなか海を見ることができません。

そうこうしているうちに終着駅コートニーに到着。かなり田舎になりますがここには駅舎があって窓口もあります。ただ1線1面の小さなホームで旅愁そそるローカル線終着駅らしい風景です。3線ほど貨物の入れ替え用の小さなヤードがあってほんと、らしい終着駅です。しばらく停車後、再び列車は来た道を戻っていきます。1日1本の列車が発車した後は再び廃駅のように静まり返ります。



撮影ポイント

線路には草が繁茂し廃線と見間違える状態です この路線は1日1往復しかないので撮影は車利用でないと苦しいです。またたくさんのカットを狙うには路線の地形とハイウェーの地形をよく見て列車追っかけをするのがいいでしょう。ただ全線森林地帯を走るので意外と手軽に撮影できるポイントがありません。案外、駅の近くや街中を走る部分で狙うのがベターです。ビクトリア駅あたりは開けていて、鉄橋と絡めての撮影ができますが、駐車スペースがあまりないので苦労します。車なしで観光でビクトリアに訪れた場合は街中から歩いていけるビクトリア駅周辺で撮影することをお勧めします。

また、車でしたら途中ダンカンにある森林公園のミニ汽車やナナイモから西へ行ったポート・アルバーニの保存鉄道も掛け持ち可能です。ちなみにポート・アルバーニに走る保存鉄道はかつてパークスビルまであった路線の一部を活用して走らせています。



観光スポット

ビクトリアへはバンクーバから飛行機で行くのが早いですが、訪問にはフェリー利用をお勧めします。レンタカー利用でもフェリーの乗り方は日本と同じなので心配要りません。また、バンクーバからビクトリアへ行くバスを利用すると自動的にフェリー利用することになります。

このフェリーがお勧めなのは、狭い海峡を進む、風光明媚な風景を楽しめるからです。ちょうど瀬戸内海を旅してるような感じです。内海を行くので揺れもほとんどなく快適です。またレストランもあって、ここで食事を採ることもできます。贅沢な風景を楽しみながらの食事もいい感じです。値段も公共フェリーということで高くありません。

ビクトリアはブリティッシュ・コロンビア州の州都で古い街でレトロな雰囲気が漂います。街中は港を中心としたきれいな風景で、ハーバー沿いのレストランから夜景を楽しみながらの夕食はグッドです。ダウンタウンはコンパクトでショッピングもそんなに歩かずに楽しめます。また有名なブッチャート・ガーデンもお勧めです。夏場の園内はいろんな花が咲き乱れきれいな景色を楽しめます。

レンタカーでの来訪でしたら島内ドライブの目標地としてナナイモを訪れてみてはいかがでしょうか。バンクーバへの帰りのフェリーをナナイモ発で乗るルートを組んで訪問してみてもいいでしょう。あまり見所がないですがこじんまりした小さな町でハーバー沿いのレストランで休憩してもいいでしょう。さらに西に行ったポート・アルバーニへも時間があれば訪れてみましょう。途中の国道は深い針葉樹林の中を走り気持ちいいです。

なお、現在運転休止中です。ご利用の際はVIAのホームページをご確認下さい。

PHOTO GALLERY

■Victoria ビクトリア

・これが始発駅?っていう貧相な駅ですが、バス乗り場の様な駅舎と廃線跡のようなレール、そこにやってくるくたびれたディーゼルカーがローカル線の旅の始まりを予感させます。

        -2003.8.11


■Shawnigan シャウニガン

・深い木々の中に駅があります。秋の紅葉が美しそうな一帯です。

    -2003.8.10


■Duncan ダンカン

・ダンカン駅はまともなホームもなくバスの停留所の様。乗車するときは手を上げてとめてもらわないといけません。

      -2003.8.10


■South Wellington ~ Starks サウスウェリントン~スタークス

・海沿いを走ってそうで山の中ばかりを走ります。意外と車窓は退屈です。

    -2003.8.10


■Parksville パークスビル

・かつてはここからポート・アルバーニまで貨物の運行がありました。今は休止状態で運転されていません。駅は町外れにあります。

    -2003.8.10


■Deep Bay ~ Backley Bay ディープ・ベイ~バークレー・ベイ

・針葉樹林の中を1両のディーゼルカーがひた走ります。

      -2003.8.10


■Backley Bay ~ Union Bay バークレー・ベイ~ユニオン・ベイ

・「ベイ」と名が付きますが海沿いを走るわけでもなく、単調な風景が続きます。線路には草が繁茂し、さながら廃線のようです。

      -2003.8.10


■Courtenay コートニー

・2×4風の駅舎と1両の列車がマッチングします。列車到着にあわせ売店も開業、始発駅のビクトリアと大違いです。

      -2003.8.10


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