令和改元スペ:スウェーデン-SJ-首都圏

北欧の大国スウェーデンの鉄道をご紹介。スウェーデンは人口1000万人と北欧4カ国で一番多くが住む国。「王国」を名乗る立憲君主の国でノーベル賞でも有名。ただ広い国土のわりに住んでいる人は少なくて、大半が丘陵地と森林であり、農耕可能エリアがストックホルム以南ということもあって大半の国民は南側に住んでいます。ストックホルムの緯度は隣国ノルウェーのオスロやフィンランドのヘルシンキと同じくらいの場所なんですが、日本付近で同等緯度だとカムチャッカ半島あたりになるので結構北のほうに位置します。スウェーデンの鉄道は欧州あるあるの上下分離とオープンアクセス制度を取り入れており、旅客は旧国鉄の旅客部門である国営企業「SJ」が引き続きオペレーターとして就いています。・・・細かく説明となるとたいへんなので興味ある方はこちらをご参照・・・てことで、まずは・・・スウェーデンの鉄道と言えばこちらX2000が有名ですよね。↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

X2000は当時スウェーデン企業のアセア(ASEA)が開発した国産高速車両で、1990年登場から44編成が作られました。うち1編成は香港と中国広州とを結ぶ九広鉄道で活躍もすでに引退しています。登場から30年が過ぎましたが車両置換はせず、大規模更新にてあと20年は使うとのこと。スウェーデンの鉄道といえば・・という顔であり、自国製というのもあって愛されているんでしょうね。機関車+客車の動力集中タイプのプッシュプルスタイルで登場時は他国への売込みでTGVと競合してました。↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

登場時はブルーラインが入ったステンレス感そのままのカラーリングでしたが現在はグレー一色で統一。夏場は虫だらけで少し走るとこんな感じで悲惨な顔になるんで虫汚れが目立たないこの色になったのかな?↓

(写真:Stuvsta、2019.6)

X2000は幹線でほぼ毎時運行とあって、SJ利用中は必ずと言っていいほど巡り合えます。高速車両とはいえ丘陵地をぬって走るため大半の線形が悪く、あんまり高速走行してる感じがありません。一方でそういう線形に合わせた振り子車両なので、乗っていると、カーブが続く区間ではちょっとだけ気持ち悪くなります。日本でいう特急やくもの感じに近いです。↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

X2000の運用は恒常的に不足しており、補強的に入ったのがこちらボンバルディア・レジーナのX55タイプ。4両1ユニットのため、X2000よりは輸送キャパが少し小さいのかな。20編成導入されX2000の補完またはX2000が入らない路線で活躍中。内装はX2000より新しいので、こっちのほうが特急らしいインテリアです。↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

こちらSJストックホルム近郊で割とよく目にするX40タイプ。アルストム製のダブルデッカー車で2両と3両1ユニットの2種類があります。43編成が導入され中距離列車の主力車両となってます。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

X40はX2000と同じグレー一色のカラーリング。登場が2004年からで、ちょうどX2000のイメチェン時期でグレーに基本カラーが決まったころだったからなのかもしれませんね。着席率向上と機関車牽引の客車列車削減で増備もまだまだ客車は活躍中。 ↓

(写真:Stuvsta、2019.3)

意外と2+3の2ユニット組んだ5両編成も多く運転されています。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

そして機関車牽引の客車。X2000が特急だとするとこちらは急行のイメージでしょうか、全国を網羅、中長距離ともこなします。シーズンに応じた車両の増解結の対応もしやすいからでしょうか、客車つぶしをしている感じもなく、X2000と同じくらい多く走っている感じを受けます。機関車が160km対応なので意外にスピードが速く電車に負けません。 ↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

客車編成のカラーリングは黒一色。黒い物体の箱型電気が猛スピードでやってくるので、走行シーンはかなり迫力があります。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

黒一色の前はこちらのかつてのフィンランド国鉄のカラーリングに似た暖色系。リース車中心にこのカラーリングが残ってるらしいです。 ↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

旅客用に使われる機関車はRc6とRc3のタイプ。Rc6はRc5を改造した60両と新造の40両で合わせて100両の大所帯。客車を引くロットナバーが1300~1400番台の機関車がRc6。 ↓

(写真:Älvsjö、2019.6)

こちらロットナンバー1421はかつてRc7だったASEA製最後の増備機関車(ロット1418-22までの5台)。180km高速対応として登場もその速度対応の牽引する客車がなかったため、現在は性能を落としてRc6となっています。 ↓

(写真:Älvsjö、2019.3)

こちらRc6牽引の客車、青の赤帯はかつてのスウェーデン国鉄の基本カラー。日本でいう国鉄色ってやつですね。機関車にもまだこの塗装が残っているものがいます。この写真のようにたまにお尻にも機関車がついたプッシュプルが走ります。どこかで分割運転するかもしれませんね。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

通勤電車のX60との並び。客車が猛スピードで新型電車を抜いていくという違和感たっぷりなんですが、スウェーデンらしいというか、新しいものと古いものがほどよくブレンドされています。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

こちら少数派となったRc3。外観はRc6とそっくりです。登場から50年近く経っておりそろそろ置き換えられそうです。 ↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

こちらはスウェーデン中部の中距離専門オペレーター「TÅGAB」が運行する列車。SJのお古を活用しているため機関車はRc3がメインで使われています。客車も古い世代のものが編成に入ってますね・・X10系電車も持っていてお古が地方にって絵面はどの国でも同じ。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

動力分散の電車が導入される度に数を減らしているものの、夜行列車や夏場の波動対応もこなすため客車の活躍は当面続きそう。 ↓

(写真:Stockholms Central、2018.3)

続いてこちら。オープンアクセスにてストックホルムとヨーテボリを結ぶ「MTRX」。ストックホルム~ヨーテボリ路線はドル箱路線で、X2000とバリバリ競合します。MTRXは香港資本のオペレーターで、別のグループ会社がストックホルム地下鉄の運行も受け持っています。 ↓

(写真:Stockholms Central~Stockholms södra、2018.3)

シュタッドラー製のX74の1形式6編成が運用に就いてます。X2000のような振り子式ではありませんが最高速度200kmの高速運転可能となっています。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

こちらもオープンアクセスにて参入した、ストックホルムとマルメ・ヘルシンボリを結ぶオペレーター「Snälltåget」。大規模なグローバル展開をする仏公共交通オペレーター、「トランスデヴ」の子会社。もともとベオリアだった会社で現在は客車主体の運行を行っています。機関車はシーメンス製のベクトロンシリーズ「193」を使っておりスウェーデンでは異色の存在。運行はマルメ都市間だけでなく、北部ストーリエンドへや季節運転でベルリンまでの夜行列車も運行しています。先述のヨーテボリ、このマルメ方面の路線はドル箱とあって昨年には新たにドイツのオペレーターが参戦、両区間は三つ巴の戦いとなっています。 ↓

(写真:Älvsjö~Stuvsta、2019.6)

こちら、ストックホルム国際空港であるアーランダ空港とストップホルムダウンタウンを結ぶ高速鉄道の「アーランダ・エクスプレス」。X3タイプ7編成のみの小世帯です。空港と中央駅を20分で結び10-15分間隔の運転とあってとても便利なんですが、SJと料金体系が別で値段が高い!!(片道299クローネ=約5000円相当) 英ヒースローエクスプレスより高い。。。まあ、アーランダ空港にはSJ在来線の駅もあり、通勤電車も乗り入れてます。倍の時間がかかり、かつ運転本数が少ないんですが、急がなければSJ利用も可能だけども・・・スウェーデンはすべてで物価が高いので(カフェの一番安いサンドイッチでも1200円相当だったり・・・)慣れるしかない?・・・次回はストックホルムの地下鉄・近郊列車をご紹介。 ↓

(写真:Arlanda södra、2018.3)