解説

ブリスベン近郊エリアの郊外電車「シティトレイン(CITYTRAIN 」は、ローマ・ストリート(Roma Street)駅を中心に放射状に8路線延びており、全長約300km、145駅を有します。それぞれの路線をローマ・ストリート駅を介して直通する5系統が組まれ、どこから乗ってもダウンタウン中心駅のローマ・ストリートに行けるようになっています。ラッシュ時には快速運転やバイパスルート経由の運転パターンもあります。

路線は住宅街やオフィス街をカバーしており、比較的利用者が多い鉄道です。都心に近いエリアでは日中フリークエンシーで運転され、市街地の鉄道として利用しやすいダイヤとなっています。パーク&ライドも発達していて、郊外の駅には必ずといっていいほど駐車設備があります。また都市部の渋滞対策として、自治体などが鉄道利用を推奨しています。メルボルンやシドニー、パースの近郊電車でもパーク&ライドが整備されていますが、車社会のオーストラリアでもこうした工夫で鉄道利用率の向上を図ろうとしています。

シティトレインの運行はすべて電車で行われ、1編成3両ユニットでそれぞれ編成に対して番号が振られています。タイプは在来車5タイプ+最近新型形式の6タイプあり、一番古めかしいものは釣り掛け電車で例のウォーンという音を出して走ります。どのタイプもステンレス車体にQRカラーがまとわれた統一デザインとなっていて前面黄色一色の警戒色が目立ちます。

荷物ラックがついた100系は空港~ゴールドコースト系統を中心的に使われます。また北方面の長距離運用には同じく荷物ラックが備え付けられた150系が中心に使われます。これら以外では車両運用に大きなルールはなさそうです。3または6両編成で運転され、同タイプ同士での連結が基本のようです。北部長距離運用には4両や5両といった組み合わせが使われます。

本数の多い区間では軌道の立体交差化も進んでおり踏切が少ない設計になっています。また市内ではほとんどの区間で複線構造になっており、都市鉄道らしい雰囲気があります。イーグル・ジャンクションからの空港線とドゥーンベン(Doomben)線、ケアンズ方面カブルチャ(Caboolture)以北、ゴールドコースト方面ビーンリー(Beenleigh)以南は単線で途中駅に列車交換設備があります。ケアンズ方面とローズウッド方面は貨物列車や長距離列車対応からかたいていの駅に交換設備が設けられています。

市内における路線延長もここ数年積極的に進めてられており、イーグル・ジャンクションからブリスベン国際空港へ伸びる線は最近に作られた新しい路線です。また、ゴールドコーストへの足としてビーンレイからの路線延長が段階的に進められ、2009年12月にはロビーナからバーシティ・レイクスへ1駅延長されました。ゴールドコーストダウンタウンへの連絡バスはネラング駅から発着します。

今後の新たな新線としてNorth方面、カブルチャ(Caboolture)手前ペトリエ付近から分岐してレッドクリフに至る路線とバーシティ・レイクからさらに南進してゴールドコースト空港があるクーランガッタまでの延伸計画があります。


旅メモ

このシティトレイン、基本的に沿線住宅と都心とを結ぶ路線ということで旅行者が使う機会はあまりないと思います。というのも見せ場あるところへは車が便利だからです。一番の利用はブリスベンに宿泊でゴールドコーストへ行く、またはその逆というのが一般的でしょうか。グラスハウス・マウンテンズの一光景。こんな感じの山々があちこちに点在します。なんとなくアフリカっぽいのも印象的です。

あとはゴールドコースト線のクーメラ駅からのドリームワールド訪問くらいでしょうか。不思議な山々が点在するグラスハウス・マウンテンズも駅名があるところからは結構距離があるのでちょっと使えません。ゴールドコーストのワンシーン。全長42Kmの砂浜は圧巻。散歩するだけでも気持ちいいです。潮が早くて意外と泳げるところがありません。

乗車方法ですが、ホームに券売機があるので行き先(ゾーン制になっている)、片道往復の選択、大人子供の選択をし、ボタンを押した後料金が表示させれるので、その後コインを投入します。小さな駅だと両替ができないので必ずコインを用意しておきましょう。乗降はドア横にあるボタンを押してドアを開けて乗り降りします。

信用乗車制度を採っているので改札はありませんが、抜き打ち検札を行っていますので乗車時には必ずチケットを持っておきましょう。なければ有無を言わさず高い罰金が科せられます。

PHOTO GALLERY

Cooroy

・Tiltトレイン停車駅。普通列車は朝夕と休日の日中だけやってきます。

       -2007.1.7



Eudlo

・山間の小さな駅。このあたりは勾配とカーブが多く、列車の速度も遅くなります。

    -2007.1.7



Eudlo-Mooloolah

・並行する道路からダイナミックに撮影できるポイント。ただ、橋の高さが高く、手すりが低いためちょっと怖いところです。

      -2007.1.7



Beerwah

・ピンク地のペイントをまとった駅舎が基本形なのでしょうか。結構こんな感じの駅が多いです。

   -2004.8.9



Glasshouse Mountains

・列車交換可能駅。駅近くには駅名になってるグラスハウス・マウンテンズという不思議な山々が点在します。駅から歩いていくには少々遠いので実際山々をめぐるのはレンタカーが便利です。

   -2004.8.9


Beerburrum~Glasshouse Mountains

・ギンピー・ノースまでの北行きラインは、カブルチャ以北には2ドアの長距離用タイプ150系が主に使われます。

      -2004.8.9



Elimbah

・カブルチャからは単線となり、各駅に交換設備が備わります。

    -2007.1.7

・駅の前には数軒の家しかなくさみしいところです。

      -2007.1.7





Eagle Junction

・4方向からの列車が集まる、まさにジャンクション。駅事務所はホームの上にあります。信用乗車システムを採用しているため改札はありません。

        -2006.9.29



Wooloowin~Eagle Junction

・一見複々線になっていて結構立派。イーグル・ジャンクション駅ホームから手軽に撮影できます。

          -2006.9.29



Airport Domestic Terminal

・空港ラインはほとのどが単線高架。駅はこじんまりながらも洗練されたデザインで作られています。

    -2004.8.7



Airport International Terminal

・国際線ターミナル駅から国内線ターミナル駅までは複線構造になっています。

   -2006.9.29



North Boondall

・ショーンクリフラインは全線複線構造。フリークエンシー運転の列車はそこそこの利用者があります。駐車スペースはそう大きくないですがとりあえずたいていの駅にパーク&ライドを完備。

    -2004.8.9


Boondal~North Boondall

・ノース・ブーンドル駅ホームから撮影。時間通りに走っていればここですれ違いをうまく撮影できる。

      -2004.8.9


Doomben

・ドゥーンベン線終点駅はやや大きめの造りですが一時間に1本の発着しかありません。この駅の先に貨物ヤードがあり1日1本程度の運転がされてるようです。

   -2006.9.29


Ascot

・ドゥーンベン1つ手前のアスコット駅はやたらと腕木式信号が目立ちます。実際の列車交換はない模様で過去の遺物といったところでしょうか。

    -2006.9.29


Hendra~Ascot

・跨線橋から手軽に撮影できます。この路線は全線単線です。

     -2006.9.29



Rosewood

・西方面の終点駅がここローズウッド。近くには隔週で走る保存鉄道もあります。この先へはウェストランダー号がチャールビルまで週2便運転されています。

     -2004.8.7


Thagoona~Rosewood

・このあたりの開発は進んでおらず、牧草地の中を走ります。QRのCITYTRAIN走行部分には線路敷地との境界線に高めのフェンスが設置され、撮影できるところが限られます。

    -2004.8.7


Karrabin~Walloon

・このあたりらしい風景の中を走ります。カーラビン駅そばの駐車場縁石から背伸びしてフェンス越えに撮影できます。

      -2004.8.7


Karrabin

・ここは駅舎のない無人駅です。

   -2004.8.7



Wulkuraka~Karrabin

・カーラビン駅ホームからの駅撮りで直線を狙えます。

       -2004.8.7



Goodna~Gails

・線路に並行する一般道から俯瞰で撮影できるポイント。看板がなければウェストランダー号もいい感じで撮れるんですが・・仕方ないですね。

        -2004.8.7


Gails~Wacol

・ワコール駅ホームからの駅撮りです。そんなに特徴ありません。

          -2004.8.7



Wacol

・結構乗降客が多い駅です。

     -2004.8.7



Helensvale~Nerang

・ゴールドコースト線の新線開業区間は現在単線で運行されていますが、将来の複線化も視野に入れたつくりになっています。立体交差がしっかりしており踏み切りはありません。

    -2004.8.10



Coomera~Helensvale

・途中の陸橋から撮影。車の往来が多いため、あまり落ち着いて撮影ができません。同じ車両ばかり来るのでちょっと飽きてしまいます。この線には貨物は運行されません。

     -2004.8.9



Coomera

・新線駅らしく立派な駅です。といってもQRとしてはということ、結構貧相な駅が多い。

   -2004.8.9

▲TOP