解説

インランダー号はQRの長距離旅客部門である「トラベルトレイン(Traveltrain)」が運営する列車で、週に2往復ケアンズの南に位置する港町タウンズビル(Townsville)から西へ1000km離れた鉱山の町マウント・アイサ(Mount Isa)までを結びます。

このタウンズビル~マウント・アイサの路線は、内陸部鉱山から算出される鉱石運搬が主たる使命となっています。全区間単線となっていますが、インランダー号も長大編成の貨物列車と何度も離合します。

途中大きな町といえば、強いて言えばチャーターズ・タワーズ(Charters Towers)くらいです。他の停車駅は半砂漠にある小さな町の駅 という感じで、都市間輸送の機能はないと言っていいでしょう。終点のマウント・アイサはそこそこの町ですが空港があり、鉱山関係のビジネス移動はすべて飛行機でしょうから、列車は交通の不便な途中駅利用の乗客かマニアックな旅行者向けといったところでしょう。

編成はDL+荷物車+客車で、編成もブリスベン~ケアンズなどで使われる長大編成でなく4両とか6両とかの短い編成が使われます。21時間かけての1000kmの旅を完走すべく、客車はコーチの他、寝台車、食堂車も連結されています。車両は他の優等列車と共通運用で、ステンレス製のQRカラーの帯が入ったものが使われています。


沿線風景

始発のタウンズビルは市街地に駅があるとはいえ、少し繁華街から外れたところに位置します。駅は単に旅客を扱うホーム1本だけで、インランダー号の他にも東部幹線を走るサンランバー(Sunlander)、DCティルトレインがタウンズビルに止まります。出発に際しては1線1面のホームのため、発車の数十分前に近くの操車場から駅までやってきます。

タウンズビルを発車すると南に東海岸の本線上を走ります。スチュアート(Stuart)駅で本線と分岐。マウント・アイサへはそのまま南進する形となります。

降雨のあるこのあたりはユーカリの木々とさとうきび畑などがひろがる、緑の田園風景を進んでいきます。丘陵地の中をぐねぐね進み、バーデキン(Burdekin)川の大鉄橋を渡るともうすぐチャーターズ・タワーズ。チャーターズ・タワーズ駅の構内は意外と小さく、貨物列車との交換、荷物車の積み下ろしがあります。

チャーターズ・タワーズを出ると急速に荒野の雰囲気になっていきます。樹木も疎らになってくるとともに、並行する国道を走る車も極端に減ってきます。地図を見ると河川といろいろクロスしますが、涸れ川であったり、クラークのようであったりと、今までの風景と変わってきます。

蟻塚も目立つようになってきて荒野に入ってきた感じがしてきます。昼に出発したインランダー号もこのあたりになるとたそがれが迫ってきます。列車は時刻表通り途中の小さな町を1つずつ停車していきます。ヒューデン(Hughenden)あたりからは内陸特有の半砂漠の風景になります。

赤茶けたアリ塚が並ぶ大地をひたすら走るインランダー号 周りの風景は一応牧場のような感じなのですが草木が乏しく、家畜を見ることはあまりありません。

夜が明けるとすっかりカサカサになった大地を見つつ、よく似た風景が続く中をつき進んでいきます。ちょっと町かなあ・・という風景になったらクロンカリー(Cloncurry)。国道が交差する中継ポイントのような町で、GSやちょっとした食べ物やなどがあり、久々に町らしいところです。

ここで、平行して走ってきた国道と分岐し、列車は少し南回りでマウント・アイサを目指します。岩山を遠目に赤い大地をずんずん進みます。ドューチェス(Duchess)手前にはダジャラ(Dajarra)鉱山への分岐線がありますが、ドューチェスは荒野の廃墟に近い小さな町で、並行する道は1車線の未舗装道路だけの未開の地です。

ドゥーチェスを出ると列車は北へ進路を変えます。引き続きごつごつした風景の中を進み、鉱山の煙突が見えてきたらマウント・アイサ。終点駅はホーム1面の小さな終着駅ですが、貨物ヤードが隣接し、また鉱山の精錬所の設備が間近に迫り、いかにも鉱山城下町という雰囲気です。

マウント・アイサの空気はとても乾燥しており、鉱石が風に舞い上げられているのかなんとなく埃っぽく感じます。ただ町自体は久々にまともな大きさで、町には車が行きかい、マクドナルドもあって文明世界に戻ってきたという感じがします。

なお、周りにはまともな観光スポットはなく、家族連れで訪れるようなところはありません。列車も荒野の旅を体験するという以外には面白みがありません。

PHOTO GALLERY

Townsville

・タウンズビルはグレートバリアリーフに浮かぶ島々を結ぶフェリー発着場があります。サンランダー号などで観光客はやってきますが、インランダー号は一通り有名どころを回ったような人が利用します。

   -2006.10.1

・タウンズビル駅はホーム1本のシンプルなつくり。1日1~2便の旅客のみなので、これでも豪華なつくりです。

       -2006.10.1


・長旅の始まりは楽しいもの。ホームではお客さん同士が談笑します。

     -2006.10.1




Roseneath:Townsville~Charters Towers

・ノースコースト・ライン分岐駅のスチュアートから南にすぐの交換ポイント。なぜか無造作に貨物編成が機関車付きで置かれてました。

    -2006.10.1


Woodstock North:Townsville~Charters Towers

・なんとなく日本っぽい感じのするところ。このあたりは踏切脇から簡単に撮影できます。

     -2006.10.1


Haughton Valley:Townsville~Charters Towers

・このあたりは最初のサミットです。

    -2006.10.1


Mingela:Townsville~Charters Towers

・A6跨線橋から。

      -2006.10.1


Dotswood:Townsville~Charters Towers

・内陸へ進むほどだんだん緑が少なくなってきます。

      -2006.10.1


Burdekin River:Townsville~Charters Towers

・有名なバーデキン川鉄橋。雨季にはすごい量の水が流れるそうです。

     -2006.10.1


Charters Towers

・タウンズビルからなんと138km、約3時間弱で最初の停車駅チャーターズ・タワーズ。かつて金鉱で栄えた町です。この先マウント・アイサまで大きな町はありません。

    -2006.10.1


Charters Towers~Southren Cross:Charters Towers~Pentland

・チャーターズ・タワーズ町はずれ。緑が深そうに見えますがじっさいは木々は疎らに立っています。

    -2006.10.1


Southren Cross~Dooroona:Charters Towers~Pentland

・チャーターズ・タワーズから車で10分走ればもう人家もまったくなし。

      -2006.10.1


Dooroona~Powlathanga:Charters Towers~Pentland

・ほんとに人家がなく、車も少ないのでだんだん心細くなってきます。

      -2006.10.1


Powlathanga:Charters Towers~Pentland

・心細いので列車の追っかけで気を紛らわせます。よく似た風景が続きます。

   -2006.10.1


Balfes Creek:Charters Towers~Pentland

・ひさしぶりの人家発見。

   -2006.10.1


Mungunburra:Charters Towers~Pentland

・いやあ、ほんとうに心細い。ひたすら走ります。

      -2006.10.1


Mungunburra~Thalanga:Charters Towers~Pentland

・だいぶ日も傾いてきました。列車は西を目指します。

     -2006.10.1


Homestead:Charters Towers~Pentland

・ちょっとした町がありました。人家があるとホッとします。

    -2006.10.1


Mundic Creek:Charters Towers~Pentland

・ちょっと追っかけしすぎました。この日の撮影はここで終了。

    -2006.10.1


Richmond

・がらんとした構内。インランダー停車駅。

   -2006.10.2


Julia Creek

・リッチモンドから久しぶりのまともな町。非常用なのかDLがぽつんと置かれてました。

    -2006.10.2


Cloncurry

・クロンカリーは主要道路のジャンクション。ちょこっとした店もなんとかあります。駅は鉄道員の事務所といったほうがいいでしょう。

   -2006.10.2     -2006.10.3


Marimo~Mitakoodi:Cloncurry~Malbon

・クロンカリーからダジャラヘ向かう道を入って最初の踏切近く。こんなすごい風景が収められます。

     -2006.10.2

・この辺りは開けていて手軽に撮影を楽しめます。

   -2006.10.2



Mitakoodi~Marraba:Cloncurry~Malbon

・荒れた大地を行くタウンズビル行き列車。

     -2006.10.2


Marraba~Malbon:Cloncurry~Malbon

・オージーらしい風景。道路と鉄道、それだけって風景です。ワイルド。

    -2006.10.2


Malbon

・一応停車駅にはなってますがホームがない。人家もほとんどありません。とりあえず列車交換は可能。あちこちに蟻塚もあって、さびれまくってます。いい感じ。

        -2006.10.2


Malbon~Kundora:Malbon~Duchess

・マルボンの先にある踏切から。カサカサの大地を突っ走ってきます。

     -2006.10.2


Mica Creek:Duchess~Mount Isa

・マウント・アイサを出発、21時間かけてタウンズビルへ向かいます。

      -2006.10.2


Mount Isa

・駅前に巨大鉱山・製錬所があって威圧感があります。観光?何あるの?って感じのところです。

    -2006.10.2

・旅客はホーム1本の小さな終着駅。貨物は巨大ヤードとさらに奥へ鉱山専用線が続きます。

     -2006.10.3


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