解説

グレート・サザン鉄道が運行する長距離旅客列車「ザ・ガン」は、アデレードを基点にアリス・スプリングスを経てダーウィンまでを結ぶ人気列車です。週2往復の運転があり、長大編成のシルバー車体が目を惹きます。

2004年のアリス・スプリングス~ダーウィンの開業前まではアリス・スプリングス止まりでしたが、開業後は1本をダーウィンまで延長運転する形で運転開始。以降人気の高まりで全列車ともダーウィン行きとなりました。

ザ・ガンがノーザン・テリトリーで走る路線はフレートリンクという貨物専業会社が運行・管理しますが、この線路を借りての運行となっています。この列車を運行するグレート・サザン鉄道は長距離専門の旅客会社で、「ザ・ガン」の他にもシドニー~パースを走る「インディアン・パシフィック」、メルボルン~アデレードの「ザ・オーバーランド」も運行しています。どの列車も線路を借りての運転となっています。

このザ・ガンは機関車が牽引する客車スタイルで、座席車の他に個室寝台や食堂車など豪華列車ならではの車両も連結されています。ザ・ガンは世界的にも有名で往年のカップルが世界中から集まる人気列車となっています。そのためシーズン中の予約はむずかしく、旅程が決まればすぐの予約が必須となっています。

ツアーでの列車利用だと途中ウルル(エアーズロック)訪問が組み込まれるのが一般的で、アリス・スプリングスからは500km離れたウルルまでバスで連絡、帰路は飛行機というケースもあるでしょう。個人旅行で余裕がある場合はアリス・スプリングスに泊まってキングス・キャニオンなどまわるという感じでしょうか。数日後に来る上り列車または下り列車に乗って次の目的地へ向かう旅程などいいでしょう。

ただアリス・スプリングス自体には何か特別な見所があるわけではなく、あくまで各名所にいくための玄関口利用といった感じです。鉄道好きなら空港近くにあるオールド・ガン博物館がお勧め。とはいえ、単に車両を並べているだけなのでわざわざ行く価値はありません。

さて、沿線の風景ですが、アデレードからの場合、ちょうどアリス・スプリングスあたりがマクドネル・レンジの岩塊地帯を抜けることになるため、赤茶けたむき出しの岩山があちこちで目にすることになります。アリス・スプリングス駅は駅舎はコンクリート造りのしっかりした構造になっていますが、ホームは貨物ヤードに雨よけテントが並んだような簡素なつくりとなっています。週に4回しか列車が来ないため、普通はかなり閑静な状況となっています。入口にはゲートがあり、列車発着時しか中に入れないようになっています。

アリス・スプリングスを出た列車は、以降の風景も至って単調で、多少起伏はあるものの、赤茶けた大地にぽつぽつとユーカリが生える光景を車窓に眺めます。緑が増えてきたらダーウィンも近くなってきます。時折巨大な蟻塚を見ながら、2900kmの長旅も終わりとなります。終点のダーウィン駅は貨物の積み出し埠頭に線路が繋がる事から街から少し外れたところ(手前になる)にあり、街までは連絡するバスやタクシーを利用する必要があります。

この列車でダイナミックなのは夕暮れや日の出前の車窓。人家もない広大な大地と徐々に変化していく空を眺めながらの食事は最高だとか。わたしはまだ未体験ですが、テレビで紹介されるときは必ずそのシーンが組み込まれています。夕暮れのサバンナを見ながらの食堂車での食事なんて、贅沢なひとときですね。一度は乗ってみたい列車の1つですが当分先になりそうです。

なおギャラリーは友人が撮影したものがほとんどです。

PHOTO GALLERY

Alice Springs

・20両ほどあるザ・ガンは機関車1両で牽引。

   -2000.8.29


・ホームと客車の高低差はステンレス製のはしご風の階段で穴埋めます。

    -2000.8.29


・大陸縦断ということもあって壮大な長さです。

    -2000.8.29


・名前の「ザ・ガン」はアフガニスタンの略称アフガンから取ったもの。砂漠の移動用にアフガニスタンかららくだを輸入し、その後野生化したものが沿線に住むことから名づけられたとか。

    -2000.8.29


・アデレードに向けて出発です。子どもたちが見送りで走ります。

     -2000.8.29


・列車がいなくなると広い構内はさびしくなります。

      -2000.8.29


・週4便でも立派な駅です。

    -2000.8.29  -2005.5.6


・アンザックヒルからの俯瞰。

     -2005.5.6

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