Last Modified :2012.8.31
★CNとCPとVIAカナダの鉄道は、大きくはカナダ国鉄のCanadian National Railway(以下CN)と民間のカナダパシフィック鉄道(Canadian Pacific Railway:以下CPR)の路線で形成されています。両鉄道とも貨物専門で、鉄道輸送に関してはカナダ国内だけでなく広くアメリカなどもカバーし、大陸内物流を担う重要な役割を果たしています。 両鉄道の東西幹線の運転本数は1時間に1~2本くらいのかなりの頻度で走っており保線時間を考慮した24時間運転となっています。1編成の長さも100両以上、3重連や4重連の大編成が普通で、コンテナもトンネルなど上に対する車両限界のない路線ではコンテナ2段積みが普通となっています。大陸内の物流の大半は鉄道が占めているといってもいいでしょう。 これは日本と違ってコストの安い海上輸送が使えないため、一番大量輸送のできる鉄道が重要視されているからです。また、貨物輸送の距離が1000Km2000Kmにもなることから、日本のように小口配送のトラックでは物流効率が悪くなります。そのおかげで東名高速道路のような、都市間高速道路をトラックがブンブン走る光景はあまり見られません。 一方、このCNとCPRのレールを借りて運営されているのがVIA Rail Canada。VIAはもともとCN、CPRの旅客部門だったところを切り離して設立された旅客専門の鉄道会社です。ちょうどアメリカの旅客専門会社「アムトラック」と同じ形態で、私営企業ではなく公社という存在です。路線は広くカナダ全域を担当します。 カナダの旅客鉄道は都市交通や東部のトロント周辺を除き、ほとんど観光列車という位置づけです。すでに飛行機やバス、乗用車との競争に敗れ、鉄道といえば年寄り向きの旅行というイメージが定着しているくらいです。観光といえどもその経営は苦しく1977年設立から政府の補助金なしでは運営できない状態が続いています。かつては景勝地のロッキー山脈越えにはバンフ経由とジャスパー経由の2本走っていたのも、北側のジャスパー経由に集約減便。バンクーバー島のマラハット号は毎年廃止の議論がされるなど先行きは楽観できる状況にはありません(現在運休中)。 カナダの主たる鉄道会社はこの3つの鉄道となりますが、このほかにも私鉄としていくつか存在します。基本的には貨物鉄道がそのほとんどを占めます。バンクーバ周辺のSRY、アルバータ北部や北部準州をテリトリーとするレイルリンクなど、大小多数の貨物鉄道が存在します。 また、オンタリオ州のアルゴマ・セントラル鉄道、オンタリオ・ノースランド鉄道は、旅客と貨物輸送両方を運営しています。以前はスキーで有名なウィスラーを通るBCレイルがありましたが、2003年に経営破たんし、旅客は廃止、貨物はCNへ譲渡されてしまいました。また、VIA同様に線路を借りて旅客サービスのみを行う会社もあり、バンクーバを拠点とする通勤専門旅客運行のウェストコーストエクスプレス、観光ツアーのみ旅客扱いするロッキーマウンテニアツアーがあります。もちろんアメリカから乗り入れてくるアムトラックも旅客のみの鉄道会社です。 カナダ各都市には都市交通としてもいくつかの街に鉄道が走ります。地下鉄はモントリオール、トロントに、ライトレール(トラム)はトロント、エドモントン、カルガリーなどに、新交通システムはバンクーバに存在します。また、企業専用の路線や鉱山鉄道、保存鉄道、エリア限定の観光列車などもいくつも存在します。 たとえば、エドモントンには世界中から集めた路面電車を廃線跡を利用し運行されています。かつての阪堺電車が現役で活躍中です。また、途中で強盗に襲撃されるという西部劇仕立てのエンターテイメントがついてくる保存鉄道もあります。こどもには大ウケだそうです。
★カナダの鉄道旅行 1週間程度の旅行で乗車を考えるなら、西部ならバンクーバ発着の「カナデアン号」でロッキー観光をプランニングする方法、東部ならウィンザー~トロント~モントリオール~ケベックシティを結ぶ特急列車「コリドー」を旅程に挟む方法等で鉄道旅行が楽しめます。
カナダは国土が広いがゆえ、鉄道旅行も時間がかかってたいへんです。いろいろ短期間で周りたいという人には飛行機とバスツアーを組み合わせた旅行プランが良いでしょう。飛行機も「Westjet」という格安航空会社がカナダ全国に路線を持っているので、以前に比べて安く移動できるようになりました。
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